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今回は少し短めです
「やっと終わった」
期末テストの最後の科目が終わり、俺は思わず机に突っ伏した。
1週間にも及ぶテスト週間も今日が最終日。
バイトをこなしながらの勉強は辛かったが、それも今日で終わり自由の身になる。
期末テストが終わったことで、今まで張り詰めていた緊張の糸が切れ一気に気が抜けた。
「お疲れのようだな健一」
気が抜けてだらけきっている俺が横を見るとそこには達也がいた。
期末テストが終わったばかりだというのにこいつは相変わらず元気そうである。
「達也は元気そうだな」
俺は達也に問いに適当に答えた。
「当たり前だ。やっとこのだるいテスト週間が終わったんだぞ。これでテンションが上がらない方がどうかしてる」
そう語る達也は何故か上機嫌である。
中間テストの時もこんな風にだったし、いつも通りといえばいつも通りのようにも見えた。
「悪いが遊びの約束なら遠慮させてもらう。他を当たってくれ」
「そう言うと思った。だから今日は別の話を持ってきたんだ」
「別の話?」
俺がいぶかしげな視線を達也に向けるが達也は構わず話を進めようとする。
先程から俺の前に立つ達也はどことなく誇らしげに胸を張っていた。
こいつがこういう話をする時は大抵ろくなことがない。
そのことは今までの経験から予想済みである。
「そう、クリスマスの日に宮永さん達を誘ってクリスマスパーティーでもしようと思うんだが、お前も参加する気はないか?」
「悪い。その日もバイトだから無理だ」
「そうかそうかその日はバイトか‥‥‥‥‥‥‥‥ってなにーーーーーーーーーーーーーーーー」
達也の雄たけびはクラス中に響渡る程大きかったため、近くにいた俺はうるさくて耳が痛い。
思わず反射的に耳を両手で押さえてしまった。
あいつの声のせいで周りの人達も一斉にこちらを向く。
「お前、声のボリュームをもう少し下げろ。みんなから注目浴びてるから」
「あっ、悪い悪い」
達也は後ろを向くとこちらを向いている人達に一声かけ、その言葉を聞いた他の人は何事もなかったかのように雑談に戻る。
普段はうっとうしいだけだが、こいつのコミュニケーション能力は本当にすごいと思う。
「お前の言うことはいつも急なんだよ」
「急って、クリスマスまでまだ時間があるだろ」
「バイトのシフトはもっと前に出てるんだよ。1週間前なんかに変えられるわけないだろうが」
俺がそう説明すると達也はしょげていた。
「それに宮永さん達の許可は取ったのか?」
「それもこれから取る所だ」
「相変わらず行き当たりばったりなことをしてるんだな」
俺があきれた表情を達也に向ける。
既に雪菜に関しては店舗大会に出るので、その日の予定が埋まっていることを知ったら達也はどんな表情をするのだろうか。
もしかしたら一緒にいる宮永さんの圧力に押されてクリスマスの日に無理矢理予定を入れるってことも考えられる。
そうしたら雪菜は店舗大会よりも達也達の約束を優先してしまうのではないだろうか。
そんなありえないような不安が俺の脳裏をよぎった。
「私がどうかした?」
俺と達也が前方の方を見ると宮永さんと雪菜がこちらに向かって歩いてきた。
「丁度よかった。実はクリスマスの日にパーティーをやろうと思ってて、今人を集めてるんだよ。もちろん2人は参加するよね」
俺は達也が宮永さん達を誘う時、妙に緊張していた。
そんな緊張する俺をよそに2人は戸惑った表情を達也に向ける。
「達也君ごめん。私その日はちょっと予定が入ってて‥‥」
「私も‥‥」
そういうと2人は達也に向かって頭を下げる。
そのことに俺は何故かほっと胸をなでおろしていた。
達也はというと床に膝をついて絶望に満ちた表情をうかべている。
それにしても雪菜はバイト先の店舗大会に出場するから断るのはわかるが、まさか宮永さんまで断るとは予想してなかった。
その日は彼女も何か予定でもあるのだろうか。
「そうか‥‥‥‥‥‥‥‥2人共予定入ってるんだ」
達也はゆっくり立ち上がり静かにそうつぶやくと「フフフフフ」と笑いながらフラフラとどこかに行ってしまった。
こう見ると少し可哀相に思えなくもない。
「それにしても以外だな。宮永さんがクリスマスに予定が入ってるなんて。てっきり雪菜と2人でどこかに行くものだと思ってた」
「ひどい。私が予定あること健一君も知ってるでしょ」
「おい、馬鹿‥‥」
雪菜は少しむくれた表情で俺にそう言う。
この質問は雪菜には少しは意地悪な質問ではあったが反省はしていない。
それよりも今の不用意な発言は正直まずい。
現に今宮永さんは俺達の顔を交互に見てにやついている。
「雪菜がそんなことを言うってことは‥‥‥‥2人でデートでも行くの?」
「行かないよ。この前たまたま雪菜の予定を聞くことがあって‥‥‥‥そうしたら予定が入ってるって話を聞いてただけだから」
正確には予定を聞いて空いていたので、無理矢理予定を入れたのだがここはごまかすためにはこういうしかない。
しどろもどろだが、宮永さんの質問に何とか答えられた
「そっ、そうだよ。この前健一君に予定を聞かれて‥‥‥‥」
待て、それは余計に墓穴を掘ってるぞ。
まるで俺が雪菜をデートに誘っているように聞こえるじゃないか。
「ふ~~~~~~ん。まぁ深くは散策しないであげるね」
雪菜の言葉を聞くと宮永さんは俺の方をニヤニヤと笑いながら見つめてくる。
正直今最高に居心地が悪い。
「私達より、飛鳥の方はその日どこ行くの? 飛鳥のことだから男の子とデートとかだと思うけど‥‥」
「デート? 違う違う。私その日大会に出るんだ」
「大会?」
俺は今怪訝な表情をを宮永さんに向けているだろう。
それほど宮永さんの発言は俺の心に引っかかっていた。
「そう、ダーツの大会に出るの。なんか雪菜に教えてもらったお店でクリスマスの日に大会があるんだって。それに誘われちゃった」
その言葉を聞いた瞬間、俺の頭の中は真っ白になった。
宮永さんは可愛らしいしぐさを交えているが、そんなものは俺の頭に入ってこない
横にいる雪菜も宮永さんの方を見つめ、どこか動揺しているように見える。
「そっ、それって‥‥‥‥だっ、誰から聞いたの?」
「戸田さんって人が教えてくれたんだよ。ほら、雪菜も知ってるでしょ。雪菜の行きつけのダーツのお店によく出入りしていて、この前の文化祭の日にも来てくれた格好いい人」
「あぁ、あの人ね」
このまま戸田さんののろけ話をする宮永さんの会話は俺の耳には入ってこない。
クリスマスまで後1週間、本気でその日はバイトを空けようか俺は真剣に悩み始めた。
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