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今回は少し短いです
俺達4人は店番をしながら作戦会議をすることにした。
先程羽村さんが俺がクラスの出し物を手伝うことをクラスメイトに告げるが、誰も不満の声を上げることはなかった。
俺としては多少の反感を買ってしまうと思っていたので驚きである。
その理由として羽村さんはこのように語っている。
『みんなクラスの出し物には興味がないんですよ』
『興味がない?』
『そうです。部活に、特に文科系の部活の人にとっては文化祭が最後の発表になる人が多いんです。あっ、私と朱里は8月で中学の部活は引退しているんで今回はクラスの出し物に専念させてもらいました』
『でも、それってなんか寂しいよな』
こんな会話をした。
様はどうやら部活の方を取ってしまっているため、クラスの活動への関心が薄い。
中には高等部の部活に入部する予定の生徒はそっちの出し物にかかりっきりになって全くクラスの出し物に参加しない人もいるらしい。
羽村さんと水谷さんの2人も高等部の部活に入部する予定だが、人がいないという理由でクラスの出し物に専念させてもらったようだ。
高等部の部活の出し物に専念とか本当にいいのだろうかと疑問が浮かぶがそのことには突っ込まないでおく。
「それよりも集客の案をどうにかしないとな」
「何かいい案はないでしょうか」
中学生3人とも3者3様の困った表情をうかべていて、誰からも代案は出てこない。
そりゃいきなりそんなこと言われたって出てこないに決まっている。
こんなにあっさり出てくれば俺がこんなでしゃばる行動をしなくてもよくなるわけなのだから。
「やはりチラシを使って地道に集客をしていった方が‥‥」
「でも、さっきからそれやっているのに全然人がこないじゃんかよ」
羽村さんの案に真っ向から対立するのは水谷さんである。
彼女の言っていることは正しく、先程からチラシを配っているがその効果が全く出ていない。
こうなってくると取れる方法は1つである。
「何か目玉イベントを開催するしかないな」
「目玉イベントですか?」
羽村さんは不思議そうに尋ねてくる。
「そう、人が入らないときには何かしら集客できる突発的なイベントを用意した方がいいんだよ。そうすると一時的に人が入るからね」
「でも一時的に入ったとしてもその後人が来なくちゃ意味がねぇじゃん」
今度は水谷さんが反論を言うが、俺に言わせれば彼女の反論など甘すぎる。
伊達に今までバイト先の手伝いをしていたわけではない。
「確かに水谷さんの言う通り一時的にしか入らないけど、この店は内装もよく出来ているから1度来ればよさは伝わるはずだよ。ただ立地が悪くて知られていないだけだからその目玉イベントでこの店のことを知ってもらうんだ。そこからこのクラスはすごいって口コミが広がれば、この店に大勢のお客さんが来るはずだよ」
実際この方法は俺のバイト先でも定期的に使われている手法で、店内で定期的に開かれる店舗大会はそのもっともな例である。
店舗でダーツの大会を開き、その店の良さを知ってもらいお客さんにまた来てもらうためにこのようなイベントを開いているらしい。
叔父さんと店舗大会の準備をしているときにしょっちゅうその話を聞かされていたためその手法を思いついた。
「じゃあ目玉イベントはどうするの?」
柚子ちゃんの素朴な疑問に俺が今度は口をつぐむ番であった。
確かに目玉イベントをどうするか決めないとこの作戦は無意味である。
これはさすがに俺も考え付かない。
「輪投げの大会を開催するのはいかがでしょうか?」
「それだと印象薄くないか? やっぱりここはすいか割りでも‥‥」
「それこそ予算の都合がつきません。それにすいか割りは夏の海でやるものです」
予算がなくても簡単に出来て、尚且つ集客の目玉になるもの。
羽村さんと水谷さんが言い争っている中、俺は何かいい案がないかと必死に考えていた。
ふと柚子ちゃんがいないことに気づき辺りを見回すと後ろの方でごそごそと何かを探していた。
「柚子ちゃん、何やってるの?」
「小道具の中に何かないかなって」
そういい、柚子ちゃんは小道具を漁り続ける。
小道具の中から出てくるのは俺の父親世代が懐かしいと思える遊び道具である。
ビー玉に面子、それにベーゴマ。
そういえば昔父親がダーツばっかりやっている俺に他の遊びを教えようとして、よくこういうので遊んでたっけ。
待てよ‥‥。
「柚子ちゃん、それってどれくらいあるの?」
「面子はけっこうある。ベーゴマはそんなにないけど‥‥」
「それだ」
頭にはてなマークをうかべた柚子ちゃんを横目に、俺は慌てて携帯でとある場所に電話をかけた。
3コール後電話がつながり、声の主である戸田さんがでる。
『もしもし、どうした健一? 今日は文化祭だろう?』
「そうなんですけど実は折り入って戸田さんにお願いがあって‥‥」
俺は戸田さんに明日の集客アップに向けてあるものをもらえないか交渉を試みた。
『そんなものでいいのか? それならいいぞ。家にたくさんあるからな』
「本当ですか? ありがとうございます」
『それよりも明日は俺と佐伯ちゃん2人でそっちに行くから。今回の報酬に俺達の接客は雪菜ちゃんと飛鳥ちゃんがするようにしろよ。これは命令だからな』
「わかりました。ちゃんと手配しますよ。明日の朝に取りに行きますのでよろしくお願いします」
そういうと、俺は携帯の電源ボタンを押し通話が終わる。
これで戸田さんにあるものを提供してもらうことで見事合意した。
適当に約束したが、佐伯さんが行くのだから最低でも遠野さんは出てくるだろう。
宮永さんは出てこなくても俺は知らん。
それよりも後は佐伯さんと叔父さんに合意をもらうだけだがこちらは何とかなる。
「後はチラシを使って‥‥‥‥羽村さん達もちょっといい?」
俺は羽村さん達を呼び出してある作戦を伝えた。
作戦を伝えると彼女達はいぶかしげな視線を俺に向けてくる。
「本当に大丈夫なんですか?」
「あぁ、俺に任せておけ」
俺は自信満々に3人の少女に向かってそう言った。
どうやら俺にとっての文化祭もこれから始まるようである。
こうして1日目の昼過ぎ、俺達は文化祭2日目の巻き返しに向けて動き出した。
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