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ちょっと短いですが2章のプロローグになります
「お前は本当にすごいな」
「さすが、俺等が見込んだだけはあるぜ」
ダーツ終了後、対戦相手が手放しで俺のことを賞賛してくれる。
これはあるダーツ屋のいつもの光景だ。
夕方ぐらいになるとこうして大勢の高校生や大学生が来るので、その人達を相手に俺もダーツをしている。
投げれば投げるだけ、ここの人達はほめてくれる。
中学の奴らとは違う。
あいつらの話すことは好きな人がどうとか学校の格好いい人はどうとかしか話さないから退屈極まりない。
もっと他に話すことがあるだろう。
例えば……ダーツとか。
「お前ら、そいつを調子にのせるな。後が面倒なんだから」
「俺等は素直な感想をいったんだけどなぁ~」
「佐伯ちゃんは頭が固すぎるよ」
豪快に笑うお客さんに対し、佐伯さんはあきれた表情を見せる。
ここのお客さんはさすがだな。
俺のことがよくわかっている。
それなのに何で佐伯さんはこんなにあきれているんだろうか。
俺がすごいのは本当のことなのに。
「大丈夫、佐伯ちゃん。俺がこの中坊の伸びた鼻をへし折ってやるから」
その男性は意気揚々と俺の方に近づいてくる。
風貌は髪にメタリックアッシュを入れたショートカットタイプで細身の筋肉質。
100人いれば100人の人がイケメンと呼ぶ人種の人だ。
きっとこの人もクラスで人気者と言われている奴と同じようなバカな奴だろう。
どうせダーツやってる俺カッコイイとか思っているに決まってる。
そんな調子のっている奴に俺がダーツで負けるものか。
「おい中坊。次は俺が相手だ。お前に現実を思い知らせてやるよ」
「現実を見るのはどっちですかね」
「なにぃ」
初めてこの人と会った時は非常に子供っぽい人という印象を受けた。
俺の簡単な挑発にものってくるし、すぐ熱くなる。
実際この人と仲良くなった後も、印象通りだと思い知らされるのだが……。
「戸田、そいつはお前が思っている以上に強いぞ」
「佐伯ちゃんも俺のこと馬鹿にするのかよ。こんな根暗な中坊なんかに俺が負けるはずないだろう」
根暗な中坊か。
その自分より年下の根暗に負けた時、この人はどのような表情を見せるだろう。
そのことを想像しただけで俺のわくわくは止まらない。
「種目はゼロワンの501でいいですか?」
「あぁ、俺の得意ゲームだしな」
ゼロワンが得意ゲームか。
この人の底が知れる。
こんなイケメンのリア充なんかに俺が負けるはずがない。
そんなことを考えつつ、俺はダーツ台のセッティングを始める。
セッティングをする際、もちろん自分のライブカードを指すのを忘れない。
今日この時のダーツをやった記録を残すために。
「準備出来ました」
「お前から先にやっていいぞ」
「いえ、俺は後攻でいいので早く始めて下さい」
「言ったな。後で後悔しても知らないぞ」
そういい、男の人はスローイングラインに立ちゲームが始まった。
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