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狙撃手の日常  作者: 野兎
拠点
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95 時計



 サルディスの前は相変わらずの人だかり……というわけでもなくいつもより少し少ないような気がする。一体何があったのだろうか。

 そういえば海が発見されたって言ってたな。それが今日だったのか?


 何か店舗を持っている人をたくさん知っているから、それが普通なように思えてしまうが、実際店を持っているのは僅かなプレイヤーでしかない。それかギルドだな。デカい生産ギルドの店もできてきてはいるが。露店もまだまだ沢山あるな。

 俺もこういうところで金魚すくいとか射的とかをやってみたい。あれってどれぐらい売上出るんだろうな。



 さあ、お目当ての時計を売ってる露天を探すか。

 様々な武器や鎧、洋服やアクセサリー。薬や、食べ物も売っている。珍しいものでは家具なども売っている。家具とかは何か機能があるのだろうか。机とかは確かにあったほうが良いけど。


 そんな中、広場の隅で時計を売っている人を見つけた。あれが例の時計職人か。


 男じゃねえか。いや、俺が勝手に妄想をふくらませていただけだ。彼に罪はない。

 赤色の髪をしたしょぼくれた男は何かカチャカチャと歯車をいじっていた。頭に垂れた犬耳がある。男のケモミミは正直引くが、これはまだマシだ。垂れていて目立たないからだろうか。

 そんなにしょぼくれてたら売れるもんも売れないぞ?


 こういう露天で自分から声をかけるのは緊張するな。

「すみません」

「すみません。……何か気に障らないことでもありましたか?」


 声をかけたら謝られた。何だ? 俺の人相が悪かったのか? 確かにフードをすっぽり被っているし、怪しい外見といえばそうだけど。でもそんな人なんか沢山いるし。単にこいつが客慣れしてないだけかな?


「いや、時計を作ってもらおうと……」

「お、お客様ですか!?」

 ナチュラルに様付けしてくるとは。客慣れしているのか客慣れしてないのか一体どっちなんだ。それにそんなに驚かなくても、商品広げているんだから、客が来てもいいじゃないか。

 確かに掲示板でも悲観主義者だったな。


「すみません。初めてのお客様なので……」

 なるほど。全てきっちり在庫が残されている。


「すみません。手間がかかるのでどうしても高くなってしまうんですが……」

 時計とか大変そうだもんな。模造で大量生産はできるのだろうか。まあできるにしても手作りのものが良い。そのほうが品質も高いだろうしな。


「高くても良い。特注で9個作って欲しい」

 特注って言葉って響きが良いよな。


「9ですね? で、デザイン。いやその前に材料はどうしましょう」

 時計といえば……金か銀? ファンタジー的な鉱石とか宝石もあるのかもしれないが俺はよく知らないからな。


「安いやつとオススメは?」

「オススメといっても時計は時間を知る効果しかないので……すみません。色の違いしかありません。今安くなっているのは金ですね。金稼ぎとして大量の炭鉱夫が採掘した結果、市場に氾濫しています」

 市場に素材が氾濫とはリアルに作られてるな。レア鉱石でも、確率で出るのだったら時間をかけさえすればいくらでも取れるもんな。今となっては金もただの石か。

 金だけが氾濫しているというのは金が武器とか鎧にしにくい性質だからだろうか。


 なら金色の時計で良いか。時計といえば金と銀だしな。

「じゃあ金でシンプルな懐中時計を」


 あまりゴタゴタしていると人によっては嫌がるかもしれないしな。装飾はまだ良い。でもそれでは既製品と変わらないから……。

「針を矢じりの形にしてくれ」

 矢じり型の時計だって良くあるけどな。オリジナリティがないよりかはマシだろう。

 さて……。


「本当に時計としての機能しかないのか?」

「すみません。何か他のスキルがあれまた別なのかもしれませんが、私のスキルでは……」


 腕時計型麻酔銃は時計作りの範囲に収まらないのだろうか。アクセサリーとしての装備で戦う手段が一つの増えるなら売れると思うけど。この世界の時計はアナログだしな。麻酔銃と時計の機能は同時に作れないか。というか弾とかの問題もあるな。


 時計をナックル代わりに使う武闘家がいてもいいような気がする。頭に時計巻きつけて頭突きとか。身体全体を時計で覆って体当たりとか。

 どこかのプロレスラーみたいだな。それにわざわざ時計じゃなくても良いような気がしてきた。


 という旨を伝えてみたが。


「耐久値が……すみません」

 すぐ壊れるのか。それなら仕方ない。

 中に爆薬を入れて投げれば壊れて……時計じゃなくてもいいか。というより1つ1つが高い時計をそんなことに使えないか。


「てか魔法陣を時計に刻めば手軽に魔法使えるプラス時間も見えて、おしゃれってなるんじゃね?」

 というと時計屋は首をひねった。


「魔法陣って何ですか? すみません知らなくて」

 自分で調べろよ……。と思いながらはっきりと言えない俺は魔法陣の効果について良くわからないまま教えた。

 魔法陣刻んで魔力を使えば魔法がでるってのが確か魔法陣の効果だったな。魔物とか呼ぶのは本来範囲外だったはず。魔法陣って使い捨てなのだろうか。それだとしたら使いづらいことこの上ないが。


「といっても俺もよく知らないからな。プロフェッショナルを紹介する」






「結局何をしに行ったんですか?」

 何だろう。なんでワイズさんに弟子ができたのかはわからない。成り行きというやつか。それともテンションが高いバージョンのワイズさんの気迫に時計職人が飲まれたのか。


 カラコさんに服を買ってきてあげようかと思っていたんだが。それも忘れていたな。


 良いことをした……のかな? そして思うことは魔法陣って強くね? ってことです。転移までできるしさ。


 俺が帰った時には石材の山、木材の山、とにかく山ができていた。屋敷も解体されている。

 今からコウメイさんの指示のもと、ゴーレム達が作業するらしい。



 図面見てないけど、頭に入ってるんだろうな。というか俺外観イメージしか見てないぞ? ギルドマスターの部屋はちゃんと盛り込まれているんだよな。

短くてすみません。

お読みいただきありがとうございました。

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