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狙撃手の日常  作者: 野兎
拠点
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88 キャラメイキングの場所で

10月3日、気配遮断→思考加速に変更しました。


『GODS WORLD ONLINE』へようこそ。ここはキャラクターメイキングの場所です。自由にあなたのキャラスキルをお選びください』

 本来ならこの女性に案内してもらうはずだったんだな。何か流れ作業的な魔王様じゃなくて、この美人さんが良かったなぁ。


 俺が今こんなに楽しいのもワイズさんのおかげというのもあるから何も言わないが。

 さて、10ポイント。たかが10。されど10。最初の10分の1だが、スキルを選ぶだけならこれで充分だ。

 見ると種族も変更可能だった。しかし10ポイントで選べる種族のみだが。ゴブリンとかスライムとか、人間になら種族を変更することができる。しかし今更帰る気にはなれない。わざわざひ弱な種族を選ぶというのもどうかと思うし。


 ここはスキルを見ていこう。

 槍術は取らない。


 俺が気になったのをピックアップしていこう。


 隠蔽、気配遮断、泳ぎ、MP消費軽減、詠唱短縮、造園、牧畜、養蜂、醸造、思考加速、自動戦闘だ。

 MP消費軽減は5ポイント、自動戦闘が10ポイントで後は2ポイントだ。


 この中で1番重要度が低いのは泳ぎだな。海に行くのに泳げないのはと思っただけだ。波打ち際で遊ぶのでも良いだろう。そう、あの岩まで泳ごうぜ! っていうのが友情で、キャー冷たい! ってのがリア充なのである。必要ないな。


 隠蔽だが、隠密と何が違うのか。隠蔽は何かを隠すって感じで、隠密は隠れるって感じ。

 取る必要はないな。

 その点気配遮断はわかりやすい。気配察知に引っかからなくなるのだろう。レベルの低い高いも関係すると思うが。


 造園。庭師になれる。

 牧畜。これが気になっている。もしかすると、生き血の確保が楽になるかもしれない。

 養蜂。これだな。これは取得しなければいけないような気がする。

 醸造。酒。ぜひとも作ってカラコさんに飲ませたいものである。


 思考加速は戦闘補助だから優先度は低く。自動戦闘は10も使うから論外。MP消費軽減は5ポイントだから重い。他にMP関係のスキルはないのか?


「この瞑想の効果って?」

『心を落ち着かせ、疲労を回復させることができます』


 要領の得ない回答だな。よくわからない部分が多すぎるってのがこのゲームの特徴でもあるけど。

 疲労回復。HPを回復させるのか、MPを回復させるのか。2ポイントだし取得しとくか。


 瞑想、養蜂、牧畜、醸造、思考加速。この5つに決めた。

 全体的に生産よりになっているが、戦闘はもう充分だと思う。

 思考加速は生産中にも使えたりしないのかな?


『では楽しいファンタジーライフを』

 全然ファンタジーじゃない部分があるけどな。

 俺がまた現れたのはギルドではなく、俺達の拠点。

 名前もつけなきゃな。何とか館とか、何々城とか。ぜひ明日また良い図案を持ってきてほしいものだ。


 さて、ログアウトするか。

 明日は……一日中ポーションの解析をしていたいなぁ……。





 今日も良い天気だ。

 さて……さて、ここはどこだ?


 と思っているところで昨日の記憶が蘇った。そういや家を買ったんだったな。すっかり忘れていた。


 それにしてもこのボロい部屋の中に放り出されるとか、忘れていたらかなり驚くぞ。

 ボロいベッド、ボロい机、壊れかけの窓から朝日が差し込んでいる。


 とりあえず……畑の様子を見に行くか。


 森の中だからか、全体的に霞がかっている。幻想的というか、不気味というか。俺は霧は好きだな。マイナスイオンに満ち溢れているような気がする。

 マイナスイオンに健康によいという科学的根拠はないとか理系は言うかもしれない。まあ、それ以前にVR内だからマイナスイオンすらないけどな。プラシーボ効果だよ。プラシーボ。


 ホースを取り出し、また水をやる。小さな苗だったのが、全てそこそこの大きさにまで育っていた。

 俺は農作物の知識があるわけではない。だから植物学の知識でしか作物の種類がわからないのだが……ネギとかは食べれそうな気がする。気がするだけで実際はどうかわからない。農作物が育てられるNPCを雇うのは確定だな。後コックも欲しいな。ルーカスさんを引っ張ってこれないだろうか。

 ギルド専属コックとか良いな。


 俺もただなら毎日ちゃんと食事を取ろうと言う気が起きる。逆においしい食事をゲーム内で出されたら腹が減ってちゃんと現実でも食事を食べる気力が湧くかもしれない。


「シノブさん……おはようございます」

 なんだか朝から疲れてるな。


「朝ログインしたら、いつもの賑やかなギルドじゃなかったので驚いたんですよ」

 目覚めたら廃墟。どこのホラーゲームだろう。そんな風にならないように、さっさとリフォームしなければな。


「でも、あのギルドの人混みじゃあ朝から来てもげんなりするってもんだろう」

「確かにそうですけど」

 俺はこの静かな自然溢れる環境で畑に水を撒いていると定年後にはこんな暮らしをしたいと思ったりするが、実際やるといったらまた大変なんだろうな。虫とか、腰が痛いとか。

 その点VRは楽で助かる。

 俺も将来宝くじでも当てて電脳世界で生きたいものだ。


「アオちゃんとキイちゃんも今日の夜ログインできるそうです」

 夜からなんて何時間プレイできるのだろうか。

 昼からのヴィルゴさんでさえ、俺達と離されないように、ほとんどの時間を戦闘に使っているというのに。いや、あの人は戦いたいから戦ってるだけか。


 それにしても健全だ。昼は学業に励み、夜にはVR内で趣味のことをやる。俺達とは大違いだ。

 カラコさんも勉強しろよ?


「カラコさん学校は?」

「やめました」

 即答。

 何の反応もないが、聞いてほしくなさそうな顔してるな。最近じゃ色々な家庭があるしな。あれだろう、いじめられて不登校になってそのまま辞めたって感じだろう。親が甘かったらある話しだ。しかしそれだとしたらいきなり親にVRをやめさせられる危険性があるってことだな。

 そのまま叩き壊されたりさ。


 俺の親はVRに理解があったから良かったけど。



 カラコさんにも色々あるのだろう。ヴィルゴさんはおそらく朝から昼まで働くだけでいられる金持ち。ワイズさん達は……廃人だな。運営にも関係してるみたいだし、何かGMみたいな仕事でもしているのかもしれない。


「ほら、シノブさん行きましょう。色々買い物をしたり、ギルドに行ったり、やることはたくさんありますよ!」


 ……俺の部屋が完成したら、一日中引きこもっていたいな。

ありがとうございました。

最近7時になってから書き始めるということが……頑張ります。

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