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狙撃手の日常  作者: 野兎
神の弓は月の形
78/166

77 成長が実感できない

ステータス操作画面を入れ忘れていました。

修正、投稿日同日11時35分

 振られる剣を避け、一歩後ろに下がる。


「はぁぁああ!」

 渾身の突きはまたもやかわされた。


『ギギィ!』

 剣を杖で受け止めて蹴る。ダメージはないが、突き放すことには成功した。

 体勢が崩れているところを刺す!


 ゴブリンのHPは一撃で全てなくなった。

 こいつは強敵だった……。一撃で倒せるけど、当たれば倒せるけど、当たらない。ゴブリンてスピードファイターだったか?


「シノブの技能ってゴブリン以下だったんだな」

 うるせいやい!


「それじゃあ、次行くぞー」

 ゴブリン達は手足の関節を外されて転がっている。それをヴィルゴさんが治療して俺の対戦相手とする方法だ。ヴィルゴさん怖い。こういうことを普通にできる人ってやっぱりどこかおかしいよな。ゴブリンに関節を戻すだけの知能がないのが幸いだ。


 残り何体だろう。

 俺は内心げんなりしながら槍を構えた。



《戦闘行動により【両手武器Lv7】になりました》



 槍術手にはいらない……。

 あんだけゴブリン相手に戦って最後の方は先制一突きで倒せるようになったのに。


「マシにはなったな。次行くぞ」

 まだ、マシなだけですか。

 頑張ります。



 第四試合。

 茶色のよくわからない生物。


 一体だけ。静岡っぽい形してる。静岡を時計回りに90度回転させて、可愛らしい目をつければ完成。これで体色が青とかならばスライムだと思ったのだが、茶色。暗めの茶色だ。


「靴か」

 靴でしたか。茶色だから革靴かな?

 てか、靴なのこれ? 思わず同意しちゃったけど、静岡県だよね。お茶とか吐いたりしてくるんじゃないの?餃子焼いてきたり、みかん投げてきたりしそうだけどな。



『ニョギャハボボ?』

 これ宇宙人じゃね? 静岡県型宇宙人。


「ラビ、気をつけろ」

 いつも通りに最初にラビが突っ込んでいく。ラビの蹴りが静岡を吹き飛ばした。ダメージはない。


「物理無効か。シノブ、頼む」

 これは俺の活躍できる場面なのでは?

 というより俺がいなかったらヴィルゴさん達出れないよねここ。


 頼まれたし、魔力操作も使ってやりましょうか。

「ファイアァアロー!」

 出てきたのはもちろんファイアボール。

 弓持ってないからね。これは撹乱に使う練習だ。違う呪文名を叫びながら、ファイアボールを使う。世の中にはスキル名編集というスキルがあるけど、スキル欄食うしな。弓を持ってないとファイアアローは発動しない。しかしファイアボールとファイアアローの最初の部分は共通だ。

 ファイアの部分を溜めて言えばできる。


 龍槍の効果で心なしかエフェクトが大きくなっている。なっているのか?

 エフェクトは関係ないな。問題はダメージだ。


 やっぱ俺ってシューティングゲームとかFSPに向いてるな。いや、魔法はシステムの補正が結構かかってるから、当てるとか適当なんだけど。良く言えばプレイヤースキルが関係ない能力だな。

 寸分違わず飛んでいった火球は靴か静岡かよくわからないものに当たった。


 え、効いてない?


「これは倒すのにトリックがあるようだな」


 さっきから目をぱちぱちとしてこちらを見ているだけだ。

 攻撃してくるのだろうか。


 ヴィルゴさんはその場で何かの操作をし始めた。

 なら俺も出来る限りのことをしてみようかな。


「クラック!」

 身体の下半身が地面に埋まっている感じだ。うーん、魔法そのものが効かないというわけじゃなさそうだな。

 あ、そうだ。


「ファイアゴーレム」

 コサックダンスも良いが、ボクシングでもやらせておこう。サンドバッグっぽいし。

 姿が変わってもカグノはカグノだとわかるのか、体を明滅させて何か話している。んだと思う。


「さっさと殴ってこい。そしたらコサックダンスやれよ」

 何か呆れているような気がする。俺がやらせたいんじゃないぞ。いや、確かに俺が交換条件として出したんだけどさ。


 のそのそと近づいていったエウレカ号はよくわからない生物を殴った。

 気の抜けるような声がして飛んでいく。やっぱり効かないみたいだな。

 いいぞ、コサックダンスやってろ。


 やっぱできないよな。


『イッヒヒヒヒヒヒィィ』


 お前そんなに面白いのか? てか笑い方大丈夫? なんか不安になってきたな。血を吸い始めたせいでおかしくなったのだろうか。血を吸うというと妖刀を思い浮かべるな。手に持っただけで剣豪となって人をバッサバサと斬れるとか。これ槍だけど。

 そういうのできないのカグノ。


『たぶん無理!』

 たぶん無理って、もしかしたら自立駆動できたり、俺を操ったり出来たりするんですか?

『たぶん!』

 すげー、天才だ! かっこいい! もうこれで心配から解き放たれるじゃないか! やったー!

『エヘヘへ』


 でどうやってやるんですか?



『わかんない!』

 そうだよねー、わからないよねー。少しでも期待した俺が馬鹿だった。システム的には何かできるのかもしれないが、カグノが戦えるとは思わない。


「掲示板で調べたら戦闘前例があったぞ」

 ネットって便利だよな。何でも調べれば出てくる。


「あいつの背中の中に入れば、その入ったやつと同じ戦闘方法になるそうだ」

 何だよその能力は。警戒して近づかなかったら無理じゃないか。何を試してもダメだった人が近づいたんだろうな。

 ソロの場合はどうなっていたんだろう。中に入ってそのままとかないよな。


「これは当たりだな。ラビ行って来い」

 え? ここはレベルとかも考えてマラじゃないの?


 ラビは律儀に槌を持って走っていく。え、ちょ、大丈夫なの?

 何かゴソゴソしているが、なんで静岡の形をしている必要があったのだろう。静岡観光協会とかから金を貰ってるとしても敵として出したならイメージダウンのような気がするが。


 茶色の色がカメレオンのように白に変わっていく。悪堕ちの反対……善昇り? 凄く語呂が悪いな。手も生えてきた。そこにはラビの持っていた槌がある。

 ヴィルゴさんが構え、俺達にマラのサポートがかかる。

 スピードアタッカーなんてとてもじゃないけど、俺の手に終えそうにないんですが。

 ヴィルゴさん、頑張ってください。



 目にも止まらぬ戦闘。無数にくりだされる拳撃。そしてその戦いは1人の雄叫びと共に終焉を迎える。


「1人じゃ厳しかったな」

 だからマラにしろって言ったじゃん。回復魔法でHPは回復しているものの、少し疲れているようだ。無限のスタミナでも持ってそうなのに。ステータス的には大丈夫だけど、精神的に疲れたってやつかな。


 この相手に練習になるとは思えない。存分に魔法を使わせてもらおう。


「クラック!」

 かわされました。

「アースニードル!」

 かわされました。


 何だよ土魔法使えないな。何か発動を予知でもされてるのか?


「ファイアウォール! グラストラップ!」

 どうにかして拘束しなければ。やっぱスピードファイターってやりにくいな。どんなに強力でも当たらなければ問題ないんだから。残念ながら俺の魔法で当たりそうなものはない。ファイアストームで焼き払ってしまうのが1番良いのか。


「ポイズナスフラワー」

 こちら側へは通さないよ。

 うーん、進退窮まったな。


 超再生の効果を知るために前に出てみてもいいけど、装備が紙だからな。死にたくはない。例え死んでもヴィルゴさんたちがいるからアイテム紛失とかにはならないけど。


 数で攻めるか。


「トレント、ファイアゴーレム。捕まえろ」

 トレントの頭が天井にのめり込んでいる。もしかしてドラゴンとかがここで召喚されたら頭が刺さって死ぬのか? 出てくるモンスターに部屋の大きさは対応しているようだが。こちらには対応してないようだ。鳥人とかには大変なところだろうな。


「グラストラップ」


 すっげー、熱いはずのファイアゴーレムの腕をふっ飛ばしてるぜ。

 こっちが遅すぎて、一方的に殴られてるだけだな。トレントも地面から根を出して奇襲しているけど、捕まえられてないし。


「何であんなに予知能力が高いんだ?」

「野生の勘じゃないか?」

 俺としてはヴィルゴさんに前線に戻って欲しいんだけどな。ここで休んでないでさ。

 エウレカ号突破されましたー。その次に近いトレントを狙ってる。槌で木を折ろうとするとかどこのバーサーカーですか?


「グラストラップ」


 俺の減っていたMPが少し回復している。マラは良い仕事するな。必死に戦っているトレントにも何かやってあげてるみたいだし。

 マラがあの中に入ったらステータス異常の嵐だったのかもな。それはそれで面倒くさそうだけど、今よりは楽だったはずだ。ヴィルゴさん、自分で撒いた種はちゃんと刈り取ろう?


「グラストラップ」


 トレントさん、お疲れ様でしたー。時間稼ぎありがとね。

 しかし俺達の周りには罠が張りめぐらされている。ここを突破することは至難の技だろう。引っかかって転んだ瞬間にあっつあつの火魔法をお見舞いしてやる。


 しかし静岡は予想もしなかった行動に出た。

 投げた。槌を。


 そしてそれを空中で叩き落とすヴィルゴさんも凄い。確かにラビは武器なくても戦えてたな。

 叩き落とした槌の後ろから現れたのは跳躍してきた静岡だった。さすが兎。

 同じように叩き落とされる。


 そして地面を転がっている途中で罠にひっかかる。草と草を結び合わせたような罠に背中から着地してどうして罠にかかるのか。

 システムと言ってしまえばそこまでなんだろうが。


 盛大にズッコけた。元々ズッコケていたようなものだが。


「エクスプロージョン!」


 ちょっと爆発がこっちにも来たけど、これは誤差の範囲内だ。


「やったか!?」


 魔法には弱かったようだな。砂煙のエフェクトで見にくいが、倒したことはわかった。中々の強敵だった。ラビとは敵対したくないものだ。

 紙のように凹んだ死骸からラビが出てくる。元気そうだ。あんなにダイナミックな動きをされて、酔ったりしなかったのだろうか。


《戦闘行動によりレベルアップしました。ステータスに5ポイント振り分けてください》

《スキルポイントが2増えました》

《戦闘行動により【土魔法Lv10】になりました》

《レベルアップによりスキル【クレイゴーレム】を取得しました》

《戦闘行動により【火魔法Lv22】になりました》

《戦闘行動により【魔力操作Lv7】になりました》


職業:狙撃手 Lv31

称号:神弓の射手

スキルポイント:34


 体力:90(-35)

 筋力:25

 耐久力:40

 魔力 :100(+58)

 精神力:95(+5)(+49)

 敏捷 :20

 器用 :80(+24)


 久しぶりのレベルアップだな。ここは精神力だな。次のレベルアップでは筋力を上げよう。うん、あまりに非力なのも良くないしな。魔法には関係ないけど。

 そしてクレイゴーレムか、ファイアゴーレムの下位互換っぽい。マッドが使ってたあれだろうな。それほどMP消費が激しいわけじゃないなら、使ってもいいかな。


「今回の戦闘でわかったことがある」

 無謀な戦闘をしないってことですか?

「シノブは近距離戦に向いてないな」

 そっちですか。

「魔法を放っている時はイキイキしてるしな。上達しない槍の練習をわざわざしても辛いだけだろう」

 確かに。それに上達しないって何? システムの恩恵を受けずに鋭い突きは出せるようになったよ?


「それにそれは槍というより短槍だからな。棒術も同時に覚える必要があるし、難易度が高い」

「じゃあ、火魔法を使う時のオトモとして使うか」

 弓が使えない狭い場所での運用になりそうだな。


 外に出た時には既に日も暮れかけているところだった。


「ここも夜になると寒くなるんだ。さっさと街の戻るぞ」

 俺は寒い方が好きだけどな。

 街に帰ったらイッカクさんに言わなきゃな。使うのは諦めったって。

ありがとうございました。

私用がありまして、明日の更新はお休みになります。

ストックもないので。

すみません。

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