46 電撃に慣れよう
「装填、加速、破壊、付加、ダブルアロー、ウッドショット」
「邪眼!」
俺が矢を放つのに邪眼を合わせてくれるカラコさん。ヴィルゴさんは盾を振り回しながら戦っている。
ライチョウの特徴はわかった。常に纏っている電撃は触れるとダメージがあり、高い魔法防御を持つ。攻撃が突きと放電だけという貧弱さが唯一の勝てる点だ。
その突きも重いし、放電もかなりのダメージだが、ヴィルゴさんの盾は突破できていない。突きは受け流し、放電の予兆が来た時には接近して後ろへのこぼれ球を無くしている。
そしてその放電の時が攻撃時だ。本体が纏っている電撃が薄くなる。
ファイアショットより魔法成分の少ないウッドショットを打ち込む!
それに何ともやり難いのがファイアフライが意味をなさない。電撃はライチョウの意識がなくとも自動で発生しているようだ。
素の能力も高く、攻撃も厄介とか一体どんなのだよ。
木のように枝分かれしたした矢はライチョウの体に突き刺さる。
これでも半分削れるほどだ。これがボスだとしたら柔らかすぎる。
そして時折見せる回復行動。その時だけ纏っている電撃が消える。その時だけは前衛3人の攻撃ができる。回復はきっちり俺が与えた半分回復してくる。
このライチョウの攻略法はこれであっているのだろう。遠距離攻撃で大きなダメージを与え、相手が回復している時に近距離でダメージを蓄積していく。ソロで攻略はほぼ不可能だろうな。
《戦闘行動によりレベルアップしました。ステータスに5ポイント振り分けてください》
《スキルポイントが2増えました》
《戦闘行動により【弓術Lv13】になりました》
《戦闘行動により【狙撃Lv11】になりました》
《戦闘行動により【木魔法Lv13】になりました》
《戦闘行動により【遠見Lv11】になりました》
種族:半樹人
職業:狙撃手 Lv25
称号:神弓の射手
スキルポイント:16
体力:90(-35)
筋力:25
耐久力:40
魔力 :70(+5)(+58)
精神力:70(+49)
敏捷 :20
器用 :80(+12)
パッシブスキル
【弓術Lv13】
【狙撃Lv11】【隠密Lv7】
【火魔法Lv15】【木魔法Lv13】
【マゾヒストLv6】
【遠見Lv11】【発見Lv7
【精密操作Lv3】
レベルアップしたし、やはりレベルが高かったのだろう。
「強かったですね」
「消耗もしている。引いた方がいい」
ヴィルゴさんの助言に従い、俺たちは下ることにした。
「上に行けば行くほど相手が強く、厄介になっていくのだろう。雷撃に耐性のある防具などをつけていれば耐えられるのだろうが」
ドロップしたのは雷鳥の尾羽。羽ペンって風切羽だっけ? 尾羽って何に使うんだろう。
「私の実力がまだなく……すみません」
カラコさんは自分がほとんど何もしてなかったことを申し訳なく思っているようだ。回復の時のタメージを与える時は1番のダメージを与えていたけどな。
「カラコちゃんとは相性が悪かっただけだよ。気にやむことはない。シノブを見ろ」
何でここで俺が出てくるのだろう。
「俺は接近戦は苦手だな」
これであっているのだろうか。コミュ力0の俺に話を振らないで欲しい。人が落ち込んでいる時は沈黙は金を実行してきた人なのだ。
そしたら相手は勝手に立ち直ってありがとうとか言ってくる。
俺はそのやり方で凹んでいる人を戻してきた。意外にもリアルでは頼られる口の硬い人だったのだ。最後の方では教会の神父のように罪を告白しに来る人が来て大変なことになったものだ。そのせいでいらない争いに巻き込まれたり、とんでもない秘密を知って1人心の中で真っ青になっていたりしたものだ。懐かしいな。
「ゴーレムが2体だ!」
《戦闘行動により【火魔法Lv16】になりました》
俺たちは下山して冒険者ギルドへと向かった。
「イベント前に良いレベル上げになりましたね」
「後は防具がいつできるか、だな」
カラコさんは放電だけでかなりのダメージを負っていた。
えるるは急ぐと言っていたが、今日中に完成するのかどうかもわからなかった。
「ギルドに報告したらえるるさんのお店に行きましょうか」
「しまったあ!」
ラビに格闘の極意を伝授していたヴィルゴさんが急に叫び声をあげた。ちなみに格闘の極意を伝授していたというの俺の予想である。ラビとの会話を盗み聞きするほど無粋ではない。それにしてもヴィルゴさんが何か忘れるとは珍しいな。
「どうかしましたか?」
「ラビの装備を受注するのを忘れていたんだ」
そういや、二本足で歩くようになった今も裸で武器も持っていないな。ラビの場合体当たりや、蹴りが武器だから防具がそのまま武器になるだろう。
「人間以外の防具ですか」
「ああ、イッカクに作ってもらうつもりだ」
イッカクさん何でも作れるんだな。刀でも弓でもウサギ用の防具も。
「特注になるからな。今から行って間に合うかどうか」
「なら報酬は受け取っておきますから、ヴィルゴさんはイッカクさんのところへ」
「助かる!」
ヴィルゴさんとラビは駆けていった。腕の中に抱かれていたラビも今では二本足で走っていた。本当に俺がいない間に何があった。
それにイッカクさんに頼むってことは金属の防具だよな。
すごい凶悪になりそう。
『おめでとうございます。階級が上がりました』
依頼達成報告の時にそんなことを言われた。ランクはDか。
なんか新しく使えるようになった施設はあるのだろうか。急いでいたから説明を断ったが、イベントが終わればゆっくり聞いてみたいものだ。
3度目のえるるさんの店に訪問。顔が隠れているからそれほど気後れはしない。男性客を拒むこの店の外見はどうにかした方がいいと思う。可愛いものがあまり好きではない女性にも入りづらいだろう。
「いらっしゃいませー」
アクセサリーを思い出した。よし、ヴィルゴさんが帰ってきたら渡そう。
店内にはダラけている猫と5人組がいた。この店ってコスプレ屋なの?
全員顔まで隠れるコスチューム。全身を覆う単色の防具はビニールのような光沢である。
赤、青、緑、黄、ピンクだ。黄とピンクは女性。赤、青、緑は男だ。
戦隊ものだ。日曜の朝にやってるあれだ。
頭が痛くなってきた。
「自己紹介、やるか?!」
「ここじゃえるるちゃんが怒るからダメよ」
テンションが高い赤を黄が抑える。
「外に出よう。すまないがお二人さん。ちょいと外に出てやくれねえかい?」
緑の先導によって、店の外に出る俺たち2人。猫がため息を吐いていたが、吐きたくもなるだろう。
5人は店の前の道路に立つ。俺たちは扉の前だ。通行人のすごい邪魔になっている。
「じゃあ、行くぜ! 俺はレッド! 燃え盛る炎みたいに斬撃を繰り出すぜ!」
「俺はブルーだ。穏やかな」
「カラコさん。店に戻ろうか」
「そうですね」
背後で何か叫んでいるのを無視して、また店の中に戻る。
赤がレッド。青がブルーならば後の名前も同じようなものだろう。あの後の緑がグリーン。黄がイエロー。ピンクはピンクだろう。
「みゃあ、あいつらはほっとけばいいのにゃー。逆にあの場にいたら困ることになる」
最初に入った時に目に入ったのが派手な5人組だったからか。カラコさんは初めて会う猫に目を丸くしている。
「シノブさん来てくれましたかー」
この声はまさかあの幼女か!
「あれ? イッカクさん何でここにいるんですか?」
ヴィルゴさんは無駄足を踏んだだろうな。この店はイッカクさんから紹介されたのだからイッカクさんがいてもおかしくないが。
店の外で爆音が終わる。窓から見ると決めポーズをしているところだった。野次馬がやんややんやと手を叩き、硬貨が投げられる。しかし手を叩いているのがNPCがほとんどでプレイヤーは何やってんだろうという目で見ているのが可哀想でもある。
「何でってー。それはもちろんシノブさんの装備を作るためですよー」
カラコさんがそうなのかという風にこちらを見るが、そんなことを言っていたような気もする。
「あと、ヴィルゴさんがラビ用の装備を作ってほしいって」
「それならもうメールでやり取りを終えたので、大丈夫ですー」
「あ、シノブさんにカラコさん。いらっしゃいデス」
奥からえるるが出てきて、店の外にいた戦隊達が戻ってきた。
10人入ってもそれほど窮屈さを感じさせないのが、この店の広さを表している。
「イッカクさん! お願いします! 俺たちの装備を作ってください!」
5人で土下座をする戦隊。誇りも何もないのか。
「メリットがありませんからー。シノブさん。大体の防具の形はできてますー」
おい……イッカクさん。空気読めよ。土下座してまで頼む5人組を軽くあしらい、俺に防具の話するとか。
「女の子3人に囲まれて……」
「ロリコン……」
「イッカクさんの防具とか羨ましいぜ……」
「あんた達男でしょ。そんな女々しいこと言わないの!」
恨みがましい男達をイエローが一喝する。俺はロリコンでもないし、女子に囲まれてるのは不可抗力だし、イッカクさんの防具つけてるし……。ごめんな。
でもロリコンではない。カラコさんはロリの中に入らない。中学生だったら危ないけど。たぶん高校生。背が低い高校生だっているし。いや、でも高校生でこれだったら今後の成長は望めないかもしれないな……。10歳差とかってきついよなー。カラコさんがもう成長が絶望的な18とかだったら。まあ、まあ大丈夫だろうが。
胸を選ぶか、顔を選ぶか……。
足はどうなんだ!
黙れ。混乱させるな。確かにカラコさんの足は魅力的だが。
髪はサラサラでいい匂いがしたほうが! 鎖骨! 鎖骨! いや、ここは口の形でしょう。巨乳求む。はあ? 指に決まってんだろ? 良い女かどうかは指ででるんだぜ? 鎖骨! 鎖骨! ニーソ1択。ボンキュッボンよりスレンダー。幼女ペr
頭の中で様々な意見が交差する。俺の変態度がわかり、そして俺が微妙な鎖骨フェチであることも分かった。
潜在意識との対話とはこうやってするものなのか。というか俺ってこんなことしか考えてないの?! 飢えすぎだろ。最後とか凄い危なかったぞ!
結論が出た。
胸とかそんなもの関係ない。
昔の偉人も言っているではないか。天は胸の下に胸を作らず、胸の上に胸を作らず。
胸に貴賎なし!
大きくても小さくても愛が詰まっていれば変わりないんだ!!
何か一歩成長したような気がする。煩悩が消えたな。また悟りに近づいた。
「ああ、行こう。イッカクさんが作ってくれたものならばさぞ凄いものに違いないんだろう」
「あー、はい。そうですねー」
ハハハ、今の俺はどんなものにも負ける気がしない。愛。すなわちLOVEがあれば、全て勝てる!
将来教師になって子供達に愛を教えよう。いや、ロリコンじゃない。ロリコンじゃないって!
全く……最近の小中学生は発育が良いんだぞ。俺もこの時代の子供に生まれたかったぜ。
「シノブさん。これデスよ!」
「……」
おかしい。俺の前にはフルプーレトアーマーがあるだけなんだが。
「素敵な鎧だね。これを誰が着るって?」
「シノブさんですよー」
一体どういうことなのだろう。思わずステータスを確認するが、別に重戦士でも何でもない。いつも通りに狙撃手だ。
何だろう。何かのドッキリなのかな?
カラコさんもいつもの可愛らしい顔を困惑させているし。
「フルプレートメイルは敏捷が落ちるんですが、元々敏捷が低いシノブさんには問題にならないどころか。耐久が上がるのでますます死ににくくなるでしょうー」
完璧に俺用のようだ。
「カラコさんの装備もできてマスよ! シノブさんが説明を受けている間に着てみてください」
俺の心の癒しなカラコさんは連れて行かれた。
そして目の前にいるのは、にやけ顏のイッカクさんだけ。
「一回着てみてくださいー。返品はできますからー」
本当だよな。嘘だったら消費者庁に訴えるぞ?
いかつい見た目の全身鎧に手を触れ、装備をする。
「えるるさんに手伝ってもらったのでー。音はなりませんよー」
少し重いと言ったところだ。スムーズに動き、ガチャガチャとした音もならない。これは良いかもしれないな。
「この防具の本領は別にあるんですよー。例のスキルはつけてますかー?」
例のスキル? ああ、この変態的な名前のスキルか。今では見るのも嫌だな。すぐに控えに回したいぐらいだが、イッカクさんが言うなら、そのままにしておこう。
「つけてるなら、良いんですが。舌を噛まないようにしてくださいねー」
舌? 何で舌なんか。
「ブースト」
イッカクさんがそう言った瞬間身体中に電撃が流れた。
「グァアアアアアア!!」
先ほど戦ったライチョウみたいな声が口から出る。それに足に手に激痛が走る。
鎧の隙間からイッカクさんが嬉しそうにしているのが見える。
「(自主規制)!」
俺はそれだけを言って、地面に倒れた。
ちくしょう、このサドロリめ。
一体俺が何をしたっていうんだ。もう嫌だ。世の中には鬼しかいないのか。
「うーん、少し強すぎましたかねー」
涙で霞む視界でHPを確認するが、減っていない。一体何なんだこれは。
「ステータスはどのぐらいの補正ですかー?」
ステータス?
ステータス画面を開くとそこには悪夢みたいな光景が広がっていた。
「の、軒並み2倍……」
「そうですかー。2倍が最高ならギリギリのところを見極めなければなりませんねー」
本物のマゾの1人勝ちじゃねえか!
このゲームの名前『Mazo World Online』に変えたらどうだ?
さっきまでの激痛が嘘のように体の痛みはなくなっている。
「この鎧は一体なんなんだ?」
「幻痛を与える装備ですねー。コピたろうに手伝ってもらってなんとか完成させましたー」
コピたろう……こんな悪魔の鎧つくるなよ……。
「痛覚軽減は適用外なんですよー。プレイヤーに直接かけると犯罪ですが、鎧に付与させるとあら不思議ー。キーワードを言うだけで激痛が走る鎧の完成ですー!」
あら不思議ってなんだよ!
本当にふざけた奴だ。
今までの恩義を全て考えてもこれはやりすぎだ。
「まだ調節が必要ですね。もう少し弱くしてみるように頼むので、脱いでくださいー」
反省とか、謝る言葉もないのか!? どこまで自分の欲望にしか忠実ではない人だ。ここは俺が断固として抗議すべきだろう。
「こんなもの俺は着ないぞ」
「精神力と魔力にボーナスがついて、音もしない。色を黒に変えれば隠密行動にもさしつかえないし、全プレイヤーの中でトップの腕を誇る私直々に打ち上げた防御力の鎧を着ないんですかー」
ぐ……なんということだ。それぞれ魔力と精神力に+20されているじゃないか。これは大きい。いや、ダメだ。
「こんな非人道的な実験には付き合っていられないな」
「そうですか。なら弓の代金を払っていただきましょうかー?」
な、なんてこった!
「あ、あれはワイズさんが……」
「あれはわざわざ魔法陣を掘ってもらったから、その弓以上の価値があると思って代金をなくしていただけですー。払えないならば借金ですねー。私の発言力は強いので、逃げられませんよー」
悪魔みたいな人だ。俺がこの人にスキルを教えたのが間違っていた。
「わかったよ。俺の強化のためにやってるんだろ?」
「わかってくれましたかー。こうなったらとことん強くして装備だけで言えば最強にしてあげますからー」
装備だけか。装備と同時に中身もかなり強化されているけどな。
俺は大人しく脱いで、イッカクさんに渡す。もうどうにでもなーれ。
程よい痛みだったら耐えられると思うし、いざという時に使えばいいだけ。新しい扉を開かないように気をつけて、痛みに耐えてればいいんだ。
ははは、ははははは……はぁ……。
「なんか凄い声が聞こえましたけど大丈夫ですか?」
カラコさんが新しい装備を身につけてきたが……なんと身につけている外套にはウサ耳がついていた。
「いや、大丈夫だけど……なにそれ?」
俺が指をさすとカラコさんは恥ずかしそうに顔を俯ける。いや、ウサ耳のカチューシャをしていた人がいまさらフードにウサ耳がついているぐらいで。
「すみません。私のミスデス。てっきりカラコさんは兎人だと思っていたノデ……お代は割引します」
いいや、えるる。むしろグッジョブと言いたい。
「いやいや、そういえなわかりにくい見た目だったな。あんまり変わらないし。それにうさぎ人じゃなくて兎人だよ」
装備を全て外した時のカラコさんを見たえるるはさぞかし驚いただろう。その場面に居合わせたかった。
「笑い事じゃありませんよ」
「いや、ごめんごめん」
カラコさんの装備は全て大蜥蜴の革で作られている。胸、肘などの急所や、当たりやすい場所を覆っている。上は肩、胸、肘、手についており、下は腰回り、膝、足とついている。それぞれのパーツがバラバラで、実際に着ようと思ったら装備が大変そうだ。
その下にはぴっちりとした服を着ており、露出が多いというわけではない。ぴっちりとした服が逆にエロいとかい言うことは考えていない。
そして1番の違いは髪型だ。ウサ耳の方に気がいって、髪型など気にしたことがなかったが変わっていることぐらいはわかる。今までは短めの髪型だった。短いのはもちろん何も変わらないが前髪の一部をピンで止めている。これが頭装備か。軟弱そうだな。
ゲーム空間では皆イケメンになれるが、顔を隠すような装備をしている人は多い。大半はコミュ障か厨二病か何かだと思うのだが。俺としては女性アバターはなるべく顔を隠さないで欲しいな。目の保養だ。
ボブとオカッパでお洒落な言い方がボブなのは言いようのない事実だがボブってアメリカ人の名前だよねとも思ってしまう。アメリカ人といえばトムかボブ。
それを隠せるように俺のようなフード付きのコートを羽織っている。そちらは柔らかいベージュで頭には耳を入れられる用にウサ耳がついている。ウサ耳さえついていなければ普通のコートだがウサ耳のせいで可愛らしくなっている。
「可愛らしいじゃないか」
「シノブさん、さっきから何かおかしいですよ?」
おかしいとは失礼なことだ。事実を言っただけなのに。いや、さっきのショックの前に悟りを開いていたな。そして激痛で更なる進化を得て意味がわからなくなったのだろう。
「おかしくはないと思うが、色々あった。寝たら治ると思う」
「便利な体ですね」
寝る子は育つを有限実行してきた結果ここまで背が伸びたからな。
カラコさんは手持ちが足りなかったようだ。割引してもらってもだ。
ツケにしてもらったらしいけど。
聞けばイベント前には全ての金を使いきらんばかりに色々なものを買う人が多いのだという。それでつい装備用の金がなくなることもあると。
「まいどありがとうにゃー」
猫のお陰で忘れかけていたアクセサリーを思い出した!
さっきの激痛で色々なことが頭から抜け落ちたような気がする。それもこれも全てイッカクさんのせいだ。
5人戦隊と別れを告げて、俺達は外に出た。あいつら暇なのかな?
イッカクさんは夜までに手配をして調整してもらうそうだ。コピたろうも大変だな。頑張れ。
カラコさんは新しい装備を見て嬉しそうにしている。これで戦ってみたくてウズウズしているのだろう。
「ヴィルゴさんはどこかの店にいるみたいです。私達が装備ができているか確認に行くと言ったら、終わったら教えてくれとのことでした」
「じゃあ、そこに行こうか」
カラコさんはメールを見て、住所を確認しているようだ。
あ、ルーカスさんからもらった住所!
思い出した!
危ない危ない。
ありがとうございました。




