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狙撃手の日常  作者: 野兎
王都解放戦
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148 太陽のダンジョン

 そういえば職業のことを聞いてすっかり忘れていたが俺が恐れていた事態があったような気がする。

 そう、2人で戦っていると必ず窮地に陥るというジンクスである。



「俺達はまだ知らなかった。あんな出来事に巻き込まれるとは……」

「フラグを立てるのはやめてください」



ダンジョンとは地下牢を意味し、城などの地下に作られた監獄などを指すらしい。なので本来の意味を取るのならば俺達は地下牢にいなければならないのだが。



《~太陽のダンジョン1F~》



「……森ですね」

「だな」

 森といっても鬱蒼と生い茂った森ではない。人の手が入っている雑木林という感じだ。

 ここが太陽のダンジョンなことはインフォを見てわかることだが。



 一体どういう感じになっているのか。ダンジョンというよりどこかのフィールドに転送されたといった方が良さそうだ。

 それにこれじゃ宝箱とかはなさそうだな。





「あ、可愛いですね!」

 そんなことを言いながら刀を抜いてるカラコさん怖い。

 いや、公私混同していない。良い態度だととも考えられるが。そこはもう少し可愛くて斬れないー、とかカワイ子ぶってもいいんだよ?


 出てきたのは手に小さな木の実を持っているリス。可愛らしく小首をかしげていたが、カラコさんの凶刃を受けて一瞬で砕け散った。

 特性を見極める間もなく死んじゃったよ。


 いや、まだ1階なんだ。俺達が苦労するにはまだ早い。先手で倒せるのならそれに越したことないだろう。俺の力は温存しとくに限る。


 いやー、本当にカラコさん強くて安心だなー。



《~太陽のダンジョン9F~》






「え? 俺何もやってなくね?」


 太陽のダンジョンは1階降りるごとにどんどん木の数が減っていき、今や荒れ地のような様相だ。そして地下に潜っているはずなのに降りると空がある。もちろん手を伸ばしたからといって天井には届かない。不思議な時空が広がっているようだ。



 それはどうでも良いんだ。俺の活躍が何もない。俺が魔法を準備する間にカラコさんが背後から1発。倒しきれなかったらもう片方の刀でもう1発。それでも倒しきれない時はバックステップしながら目からビームを放ちモンスターを焼いている。

 恐ろしい破壊力。そしてこのゲームってこんなヌルゲーだっけという感じだ。



 初めて見た目からビームだが、見た目がカッコ悪いということさえ除けば、高威力で外すこともなく強力なスキルっぽい。その代わりにそれっぽい感じの代償はある。



「周りを警戒してくれるだけで十分ですよ」


 しばらくの間目が見えなくなるという代償だ。先ほどの戦いは激しく、かなり消耗しているようだ。俺は何をしていたかって? 横で応援してたよ?



 来た!


「カラコさん、俺がやっていい?」

「できればシノブさんには温存してほしいのですが……」

 んなこと言ってもカラコさんは戦闘できないんだから仕方ない。



「さあて、俺の前に出てきた無謀なモンスターさんは誰かな?」


 ゴリラ。

 詳しく言うならば直立して、手に棍棒を持っているゴリラだろうか。




「展開、グラストラップ、クリメイト!」

 俺めがけて駆け寄ってきたゴリラは罠にかかり、火だるまになった。

 念力で武器を奪う。


「装填、加速、付加、ウッドショット!」

 放たれた矢はゴリラの顔に当たると根を伸ばすように分かれ、顔に突き刺さる。


「ファイアゴーレム!」

 火に包まれながらこちらに突進してきたゴリラをエウレカ号がしっかりと受け止める。筋力は拮抗しているようだ。

 俺も加勢しよう。


「バンブースピア!」

 ゴリラは竹槍に突き刺されうめき声を上げているが、まだHPは3割残っている。どんだけ硬いんだか。


 ここは少し緊張感がなくなるが、彼女を呼び出すしかない!

「カグノ!」

『なにー?』

「こいつを燃やしてくれ」

『うん』

 残り3割だったのか、カグノが強すぎるのか。ゴリラは消し炭になった。




《戦闘行動によりレベルアップしました。ステータスに5ポイント振り分けてください》

《スキルポイントが2増えました》

《戦闘行動により【木魔法Lv30】になりました》

《レベルアップによりスキル【ジャングル】を習得しました》


種族:半樹人

第一職業:狙撃手 Lv40

第二職業:森呪術師 Lv2

称号:神器の使い手

スキルポイント:76


 体力 :100(-35)

 筋力 :30

 耐久力:50

 魔力 :150(+88)

 精神力:150(+49)

 敏捷 :35(↑5)

 器用 :100(+82)




 さすがにレベルアップしたか。というよりこういう感じでレベルアップするんだな。レベルアップに必要な経験値は圧倒的に低いと。しかし俺が戦闘に参加せずにいた時はレベルアップしなかったということは、それなりに必要ではあるみたいだな。


 何を上げるべきなのか。という答えには敏捷と答えよう。俺はバランスタイプというよりせめて現実と同じくらいの速さで走れるようになりたい。


 ジャングル。その名前通り、ジャングルを作り出す呪文だ。

 もしかして木魔法って最強なんじゃないかな?

 いや、地形変える系の魔法はどれも最終的に得られるのかな?

 風魔法が気になるな。足場をなくしたりするのだろうか。


 風魔法は目標のレベル25になってからレベルアップしていない。フライを使えばエレメントが出るというが。時間があればフライを使いこなしてみたいんだが。




『エウレカルテル号ー!』

 感動の対面だな。


 この2人は置いておいても、随分強くなかったか? カラコさんはこんなレベルの敵を相手取っていたのか?


 ……損害がなかったから良いのか。

 考えないでおこう。




「シノブさん大丈夫ですか?」

「ああ、うん。こんな程度の敵楽勝さ」

 カグノは随時呼び出していた方がいいな。


 カグノは既にエウレカ号と融合している。そちらのほうが俺に無駄なMPを消費させるんだが……大幅にパワーアップしているようだ。カグノの皮膚の表面がマグマみたいになっている。


 戦闘はカグノに任せますか。


 その後も戦闘は激しさを増して続いた。



《戦闘行動によりレベルアップしました。ステータスに15ポイント振り分けてください》

《スキルポイントが6増えました》



種族:半樹人

第一職業:狙撃手 Lv40

第二職業:森呪術師 Lv5

称号:神器の使い手

スキルポイント:82


 体力 :100(-35)

 筋力 :30

 耐久力:50

 魔力 :150(+88)

 精神力:150(+49)

 敏捷 :50(↑15)

 器用 :100(+82)







《~太陽のダンジョン10F~》



「ボス戦ですね」

 大きな岩の影にあった階段を降りるとドアがある小さな部屋へとついた。ここはダンジョンらしく、苔むした壁に松明があるという感じだ。その天井の隙間からも少し日が漏れてきているが。


「少し待ってくれないか」

 装備の修復はしたほうが良いし、MPも回復させておきたい。

 というか、カグノもいるが2人だけで倒せるのか? 道中のモンスターは大分大変そうに見えたが。



 ボス戦前に弱気になっていてはダメだ。

 さっさと終わらせよう。



「シノブさん、大丈夫ですか?」

「ああ」

 MPも十分だし、準備は万全だ。

 俺達が負ける要素はない。



 カラコさんが扉を開くとそこには思わず引き込まれそうになりそうなほどの暗闇が広がっていた。

 暗視スキルは必須だな。


「私はライトを使えるので大丈夫です」

 しかし太陽のダンジョンなのに真っ暗闇なんだな。まぶしすぎる太陽の化身がいてもいいのに。



「ライト」

 あれ?

 魔法が不発している。一瞬光りは現れるのだが、その光は闇に飲まれるように消えていっている。


 どうしろというんだ。こんな暗闇の中にカラコさんは入れないし。


「あ、カグノ。カグノはどうなんだ?」

『なにがー?』

 話しは聞いていてほしいな。

 ボーッとしていたカグノをドアの中に放り込む。


 光っている。光っているが、それは全く辺りを照らしていない。不可思議な空間だ。

 しかしカラコさんだけ行かせないというわけにも行かない。



「ここまで来て戻らなければいけないんですか……」

 ここまでの道のりは長かったもんなぁ。俺は何もしてないけど。


 10階とか絶対セーブポイントありそうなのに。

 カラコさんが暗視スキル取るとかいうことはできないのだろうか。 



「暗視スキル取りましょうか」

「ちょっと待った!」

 こんな時に役立つものがあったはず。

 珍しく俺の頭が冴えている。思い出したのは神の天啓かもしれない。


「カラコさん、これを飲んでくれ」

 俺は1つの薬を取り出す。

 月神薬。

 まだ作り方を知らない薬。


 この薬の効能は、昼の生き物を夜の生き物にする。これだ。

 これを飲めば暗視効果もついたりするんじゃないか?



「何ですかこれ?」

 そんな警戒心マックスにしなくても、俺がカラコさんに変なもの飲ませたことなんかあったか?


「さあさあ、早く飲め。時間はないぞ」

 カラコさんは俺に対して猜疑の目を向けているが、手は素直なようで薬を受け取った。

 綺麗な銀色の薬だ。


 カラコさんが薬を飲んでいるのを見て思ったが、カラコさんが飲んだポーション瓶って売れるんじゃないだろうか。写真付きで。

 ……バレたら俺の命に危険が及びそうだな。現実リアルまで影響を及ぼすようなことをされそうだ。



「あ……」

 どうなんだ? あ、だけじゃわからないぞ。


 カラコさんはガタガタと震えながら暗闇を指差す。

 おい、そんな冗談はやめろよ。ちょっと怖くなるじゃないか。

 暗視スキルつけてみようか。



「クトゥルフだな」

「それです」


 暗闇の中にはクトゥルフっぽいタコの生物がそこにはいた。

 何とも醜悪だ。触手が大量。そして人間の目や口が身体中についている。



「帰りましょうか」

「だな」

ありがとうございました。

2日に1回の更新を心がけたいです。

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