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狙撃手の日常  作者: 野兎
拠点
121/166

120 採取して生産

《行動により【木魔法Lv21】になりました》

《行動により【収穫Lv13】になりました》

《行動により【暗視Lv9】になりました》

《行動により【発見Lv13】になりました》

《行動により【植物学Lv4】になりました》




 即死系植物トラップ、具体的に言うと酸が溜まっている落とし穴や、綺麗な花に偽装した食肉植物は発見と植物学のコンボで安全に避けられている。


 稀少で危険な植物が多い割にモンスターのレベルが釣り合ってもいないような気がする。やはりここはレベル上げには向いていないな。採取用フィールドだ。


 ここは発見、索敵系スキル、そして罠を事前に調べられる盗賊職の独壇場だと思う。そうでもなければ死ぬ。どんなに防御力のある鎧を着ていても毒蛇に咬まれたり、酸に溶かされたりしたら意味がないだろう。

 念力をモンスター相手に使ってみた結果、ダメージはほとんど与えられなかった。ただし相手の行動を阻害したりするのに使える。また、植物の罠を発動させるのも容易だった。


 植物を採取しながら、西へ向かっていると森の中で明るい場所があるのを見つけた。


 普段は目立たないだろうが、真っ暗な森の中ではとても目立つ。


 何かあるかもしれない。

 ただ木が倒れただけとかもあるが。



「おお……」

 そこには、巨大な。大木と同じぐらいの大きさの鎧がある。鎧というか、ゴーレムなのだろうか。全身は苔に覆われている。


 巨神兵という言葉が頭に浮かび上がる。

 恐る恐る触れてみたが、いきなり起動するということはないようだ。上を分厚く覆っている苔を剥がすと黒色の装甲が見えた。


 アイテムとして持って帰れるわけでもないが。写真だけ撮っておくか。

 えーと、どうやって撮るんだっけな。


 お、撮れた撮れた。

 今度師匠に見せてみるか。



 蹴ったり、魔法をかけてみてもうんともすんとも言わない。

 俺はその巨大ロボットを置き去りにしてまた西へと進む。


 途中2人組の女の子のグループと会ったが露骨に警戒されてしまった。PKの可能性もあるし、それが正しいんだけど。

 他のパーティーに会ったなら街も近いはず。との思いで急ぎ足で森を歩くと、直ぐに抜けられた。



《行動により【風魔法Lv14】になりました》

《行動により【収穫Lv14】になりました》

《行動により【暗視Lv10】になりました》

《行動により【発見Lv14】になりました》

《行動により【植物学Lv5】になりました》



 さて、拠点に戻るか。

 畑の方からもうもうと煙が出ている。全く役に立たなかったな。


 その煙が出ている周りには俺を除くギルドメンバーが。


「お帰りなさい。大丈夫でしたか?」

「ああ、途中変なものを見つけたが、それ以外は」

 何やってんのかと思ったら焼き芋かよ! 確かに少し肌寒いけどさ。


 さつまいもの種なんかあったのだろうか。それにさつまいもって種で増やすんじゃなかったと思う。


「ほら、これ。鉄人っぽい」

「巨大ゴーレムですか」

 これも古代の遺跡なのだろうか。

 というより森の中でばっかりこういうのが見つかるな。北の山岳地帯ではどうなのだろうか。


「……見たことあるな。……何かイベントに関係するんじゃないか?」

 今のイベントというと神関係で巨大ゴーレムは関係ないと思うが。

 ゴーレムといえば唐突に襲いかかってきたゴーレム。あいつに似ている気がするな。材質的に。


「……このゴーレムを解体して作られたのが……地下にあったものか」

 となると、他にも何体かがあるということか。というよりあんなでかいのを解体するとか凄い技術だな。


「今の所の報告はあのゴーレムは高度なAIを搭載しているということですね。こちらの言葉に反応しているそうです。よって武装解除は行っているが、本体の分解はしていないと」

 ということはNPC枠なのか。

 こちらの言葉に反応する。ということは言語は理解できるレベルなんだな。あのゴーレムが帰ってきたら、色々とわかるかもしれない。

 どうやって作られたのか。そしてあのデカブツは何なのかとか。



「お、ありがたい」

 イェンツさんから焼き芋を受け取る。

 うん、美味い。腹が減ってきたな。これは3時のおやつか。

 これだけ糖度が高いともうスイーツだな。英語で言うとスゥィートポティトォゥだ。そのまんまとか言ってはならない。薩摩芋だって大分安直な名前なんだから。


「……折角全員いる。……重要なことを決めようじゃないか」

 ギルドのエンブレムだな。

 今の所バラバラで同じギルドなのを証明できないし。


「決めゼリフだ」

 そっちかい!

 ヴィルゴさんは剣呑な目でワイズさんをにらみ、他の人はさつまいもに集中しており、特に反応を示す様子はない。


「やはり、現れた時に……何か言うのは必要だと思う」

「普通に、参上! じゃダメなんですか?」

 カラコさん、律儀に答えなくていいんだよ。


「……もっと味わい深いものが良い」

 もう意味がわからないな。なんだよ味わい深いって。


「深淵から放たれる神の弓はお前の心臓をいつも狙っている、とかはどうですか?」

 この人も意味がわからない。

 何故深淵なのか。それにそれだと無条件で人に喧嘩売ってるじゃないか。


「……もっと短いのが良いな。……言いやすいものだ」

「普通にギルド名と役職名で挨拶すれば良いんじゃね? ま、どっちにしろ。俺は名乗らないけど。っつーか、そんな厨二っぽいセリフ、俺の年じゃ恥ずかしくて言えねー」

 ネメシスはやはりまともだな。しかしカラコさんを遠回しに批判するのは良くないぞ。カラコさんは絶対なのだ。

 と思い憤ったが、本人は何も感じていないようだった。自分で恥ずかしいということは知っているのかな? 良識と常識を持っていてそれでも厨二を突き通すとは、とんでもない人だな。悪いことを悪いことと知っているがあえてやる犯罪者のようだ。

 ネメシスの皮肉に気づいていないだけかもしれないが。それだろう。


「……神弓の射手、図書館館長のワイズだ」

 図書館の館長だったのか。

 というか館長ってカッコ悪いな。というか最後に長がつく言葉はあれだな。あまりカッコ良くない。


 園長、館長、村長、部長、係長、社長、隊長。

 そうでもないな。ただ館長がアレなだけだ。

 なんでも良いか。


「とそれより、エンブレムの方が大事じゃないのか?」

「アオちゃんに任せました」

 そういや、絵を描くとか言っていたな。


「は、はふっ、はい」

 かわええなぁ。

 任せてるなら安心か。とんでもないものになることはなさそうだ。アオちゃんはリアルも忙しいし、待つか。

 80%の確率で弓のエンブレムだな。

 ちなみにこの数値には何の根拠もない。



 じゃあ俺は当初の予定通りポーション作るか。素材もあるし。

 食べ物に釣られて集まっていた面々は食べ終わると散り散りになっていった。

 それぞれ自分の部屋や、明日の準備に忙しいのだろう。



「カラコさん、ガラス瓶って倉庫にある?」

「ショップで売ってますよ」

 う、売ってるのか……金持ってないがギルドマスターだから良いよな。


「作った分、ショップに置いてくれるなら持っていっても良いですが。まだ売り子も雇っていないので、好き勝手はやめてください」

 失礼な。俺がそんな好き勝手するような人間に見えるのか?

 ……見えるんだろうな。仕方ない。こればかりは日頃の行いが悪い。だからと言って正そうとはしないが。


「それにしても、ワイズさん達が何を作っているか知っていますか? 聞いてみたんですけど、シノブさんの指示に従ってるだけで何を作ってるのかはわからないとか言っていて」

 あいつら……俺に全部押し付けやがって。


「地面に穴を掘って、そこに水を流す。わかるだろう?」

「何がですか?」

 何か良い言い訳はないか。


「そう、日照りの時のためのため池だ」

「雨なんか降ったことないじゃないですか」

「いつどんなイベントが発生して水が足りなくなるかもわからない。そして周りにある柵は転落防止のためだ」

 凄い苦しい言い訳だと思う。

 転落防止にしては高すぎる壁に、その横にある小屋。


「は、はあ。そこまで言うなら聞きませんが」

 聞いてたじゃん。

 いや、ここはカラコさんの配慮に感謝するべきだろう。というか見れば何作ってるかわかるようなもんだが。

 まあ外だしな。露天風呂は思いつかなかったのか。


 拠点のショップでありったけのガラス瓶を手に入れる。といっても300程度だが。


「装備で器用も上がってるし、やるか」

 俺が調合をするのは食堂だ。水があるからな。


 最初は慎重にやろう。それから模造で量産すれば良い。魔結晶を丁寧にすり潰し水を加える。その水ですり潰したヤク草を煮て濾す。

 ガラス瓶に流し込めば完成だ。


 ガラス瓶の品質がCだったことは確認している。ガラス瓶の中身を劣化させることもないし、効果を上げることもない。これで俺の実力がわかる!



 ポーション

 品質 C

 シノブが丁寧に作ったポーション。体力を回復し、MPも微量回復する。



 ふむ。

 可もなく不可もない。そういうことか。模造でこれと同じもの50ほど作ってみるか。



 ポーション

 品質 F

 シノブが作ったポーションの模造品。体力を微量回復する。



 微量かよ!

 これはガラス瓶がもったいないから、飲むしかないな。いや、飲んでポーション中毒になるのも嫌だな。流しに捨てとくか。薬品だけど変な反応起こさないよね。



《生産行動により【調合Lv10】になりました》

《レベルアップによりスキル【目分量】を取得しました》

《生産行動により【模造Lv5】になりました》


 目分量ですか。

 アクションスキルだ。系統的には魔眼と同じ系列らしい。目分量というスキルだが、目の前のポーションの重さがはっきりわかる。

 これで計って最高のポーションを作り出せということか。でももう大体で濃くも、薄くもないポーションが作れるんだよな。

 しかしメモしておくのも良いかもしれない。


 ポーション作るよりドク草作って調合をレベル上げしてからの方が、レベル高くなるかもな。

 キッチンで毒物を調合するのは……毒ぐらいで死ぬような人たちじゃないか。



 ドク草

 状態異常【毒】にする草。その毒は内臓に作用し、服用者に吐き気や倦怠感、頭痛を与える。ヤク草に非常に似ており、間違えて食べる者が絶えない。その見分け方は葉の裏側にある白い線。これを知っていれば簡単に判別することができる。ヤク草と同じく一年草。薄紫色の花を咲かし、種を作ると枯れる。しかし匍匐茎によっての繁殖も一般的なので花を咲かせることなく寿命を終えることも多い。花を咲かせている時はヤク草との判別は容易。湿潤な土地ほど品質が高く、湿地にも生える。日陰を好み、藪の中や木の根元などに生える。主に毒薬などに使われる。その花には毒性はなく、お茶として飲まれる。また花の色は紫色なのでヤク草との判別は容易。



 いつかドク草のお茶も飲んでみたいものだが。これを上手く使えば毒薬になると思う。幸い毒壺は持っている。

 まず毒壺の中身を抽出して、何が入っているのか見てみよう。


 真っ黒な成分と透明なものに分かれた。

 透明な方は魔水のようだ。

 そして真っ黒な液体は薬品鑑定で鑑定不可能なものだ。何これ。


 ⁇⁇⁇

 ⁇⁇の⁇⁇。主に水の中に棲息しており、岩などに擬態して獲物を探す。



 これ……薬品じゃないよな。

 抽出したから元に戻すことは不可能ということではないみたいだ。魔水を足すと毒壺は元の毒になった。


 さすが確か5ポイントぐらい使ったような気がする毒だ。とんでもないんだな。ちなみに薬品鑑定の結果はこうだ。



 毒壺

 品質 X

 状態異常【出血毒】にする毒。魔水を注ぎ足すことで長く使える。長い間使っているものほど高い効果になる。



《行動により【抽出Lv9】になりました》

《行動により【薬品知識Lv3】になりました》

《行動により【鑑定Lv14】になりました》



 出血毒。

 ただの毒とは違うのだろうか。確かにドク草は触っても大丈夫だけどこれは触れたらヤバそうだもんな。


 なんの情報もないけど、ポーションみたいに簡単に作れるかな?

 やってみよう。



 毒薬

 品質 D

 シノブが作った状態異常【毒】にする薬。服薬することで効果を表す。



 ポーションと同じ配合で良かったみたいだな。それにしても飲まなきゃいけないのか。毒殺用だな。

 それにしてもDとは、薄くも濃くもないのにDとはどういうことだ。何か駄目出ししてくれないとわからない。

 抽出して試してみるか。


 魔力保存酵素

 魔力を吸収、保存する分子


 何これ。鑑定ではここまでしかわからなかったが。

 分子。これが分子か。

 抽出って一体何なんだろうな。まさか分子レベルまで分解できるとは思ってもいなかった。酵素というと酵素ダイエットが思い浮かぶ。効果には個人差がありますの代名詞だったような気もするが、具体的にはわからない。魔力を保存するのだろうか。


 何か毒とは別なもののような気はするが、何か関係はあるのだろうか。

 その他に具体的な名前の出ている成分はない。ドク草の汁があるだけだ。それに毒性はない。飲んだらお腹を壊すとは書いてはあるが。



 状態異常毒というのはこれを食べることによって起きるのか?

 確かに魔力を吸収されれば、魔法使いに取ってはキツいが。


 そういえば魔毒花がある。

 これで試してみよう。



 魔毒花

 品質 B

 状態異常【猛毒】の花粉を持つ花。舞い散る花粉を吸い込むと朦朧とし、非常に危険な状態になる。魔力の濃い場所に群生して生える。この花が群生して生える場所はモンスターも発生しやすく非常に危険なため、発見次第冒険者ギルドに報告しなければならない。どこの土にも種が含まれているとされているため、魔力を土に流すのは危険。日向を特に好むが魔力の濃い場所ならどこでも育つ。一面に紫の花が咲き花粉が舞い散る様子はとてつもなく美しいと言われるが、それを目にして生き残ったものは少ない。戦争などで大規模な魔法が発動させられた後に咲き乱れることから、死の花とも呼ばれる。



 吸い込むと非常に危険な状態になるのか。今まで何度も魔毒花の中に入ってきたが、大丈夫だったのだろうか。猛毒と毒、食べると毒になるのと、吸い込むだけで毒になる。これの違いはあるが、取り敢えず花粉だけを水に溶かして煮てみるか。



 毒薬

 品質 E

 状態異常【猛毒】にする薬。服用することで効果を表す。



 変わらないな。毒と猛毒の違いはわからないが、同じものみたいだな。説明文を見るからには。

 これも抽出してみよう。

 さっきと変わらないものが出てきた。


《生産行動により【抽出Lv10】になりました》

《レベルアップによりスキル【指定抽出】を取得しました》


 何々……指定したものを抽出できる。

 今みたいに勝手に2つに分かれるわけじゃなくなるということか。

 便利なのか? 俺にはよくわからないな。水だけを抽出してポーションの濃さを調整できたりするということか。それも最初からちゃんとすれば良いだけだが。これは置いておこう。



 俺は理系ではないが、推測はできる。

 ドク草は地中の魔力か何かを少しずつ吸い上げ毒性を持つ。そして魔毒花は空中に漂う魔力を察知して花を咲かせ、取り入れた魔力を花粉として放つのだろう。何故魔力が毒になるのか。


 体内の魔力が乱されるとかそんな感じじゃね? じゃあ、カラコさんには効果ないのかというとそうでもないと思うが。確か機械人間って魔力はなかったよな。カラコさんは例外的に魔法を使えるが。

 


 誰か設定としての機械人間の成り立ちを知らないのだろうか。機械人間なんて凄く闇がありそうな種族だろうし。元は人間に奴隷として使われていたが反乱を起こして自らの権利を勝ち取ったとかありそう。


 そういう点でいえば、俺みたいなハーフも両方から迫害されてきたとかありそうだけどな。


 まあ、差別される種族で1位はモンスターだと思うが。



「遡行成分だの、魔力保存酵素だの、何かに使えそうな気もするけどな」

 特に魔力保存は上手く使えばMPの回復手段になったり、相手の魔法を無効化するアイテムになったりしそうだが、 今のところは放っておこう。

 ここには特許がない。

 どこかの誰かが作り出したものの製法を盗み出せば良いだけなのだ。



 この世界の毒は魔力を吸って毒状態にするタイプと、体の中に寄生虫のようなものを入れて毒にするタイプの2つがある。

 そういえばポイズンタイガーの毒腺もあったな。それに東の森にはモンスターではない毒ヘビもいる。


 ポイズンタイガーの毒腺を具現化させてみる。毒々しい緑色。見てるだけで倒れそうだ。


 薬品知識は反応しない。

 ただの内臓だから当たり前だな。


 毒虎ポイズンタイガーの毒腺

 この毒腺は牙に繋がっており、獲物に致死性の毒を注入することができる。



 ふーん。知ってた。

 取り敢えず内臓から毒だけを搾り取ってみるか。

 ポーション瓶6本分の毒。抽出もできないみたいだ。




 と、最初の予定通り毒薬量産して調合レベル上げるか。

ありがとうございました。

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