表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/52

044. 叫び声

 晃生さんは暗闇の中、アーティファクトたちの声を頼りに慎重に進んでいきます。

 私はというと――


 空気の固定する高さを“地面から十センチ”と設定したためか、時々ある凸凹に少し戸惑いながらも、引っ掛かることなく、転ぶこともなく順調に進んでいました。


 黒い光は変わらず揺らめき、白い光を取り込もうとしているようにも見えます――


 何かのきっかけで呪いのアーティファクトになる……

 これまでアーティファクトを見てきて、感じてきて――使用者が望まなければ、そんな変化が起きるはずがないと思うのです……


 だから使用者を……なんとしてもアーティファクトから離さなければ――!


 だいぶその場所に近づいてきたようで、晃生さんの歩みが少しずつゆっくりになってきました。


 人感センサーアーティファクトたちの配置を見ると、少し行った先を右に曲がると、広めの空間があるようです。


 微かに聞こえる水音も、その場所が近い証拠でしょう……


「トウマ――光だ。光が見える」


 晃生さんが立ち止まって、私の耳元で囁くように言います。


「呪いのアーティファクトのものだと思うが――」


 目を開けてみると、確かに先の方から光が漏れてきているのが見えます。

 黒い光――――!


「……すまないがここから俺は、アーティファクトの声を聞くことができない――

 トウマも何か……不安や怒りのような物を感じたら、感覚を閉じた方が良いぞ――」


 苦しそうな声――もしかして……


「アーティファクトの……叫び声が聞こえるんですね――?」

「……あぁ……

 どうして私が、やめて、助けて、と悲鳴を上げてる――――」


 胸が――鷲掴みにされたかのように苦しくなります――


「早く……助けてあげましょう――」


 そして私は、晃生さんに一つの提案をしてみます。


「ちょっと思いついたんですけど――

 私がスーちゃんで、その人の動きを奪う、というのはどうですか? そうしたら、抵抗される事なく、晃生さんが結界アーティファクトであの子を助けることができると思うのですが」


 たぶん、装束のアーティファクトたちのおかげでしょう。自分がまさか、こんな戦略のようなものを考えつくだなんて――。


「なるほど……」

「ただ、それを躱されたら……その後どうしたらいいのかは……」

「そこから先は俺が対処しよう。その時は結界アーティファクトの発動を頼む」

「――わかりました」


 晃生さんの了承も得て、私は深呼吸をしました。


 よし……ドキドキはしているけど、頭は冷静です。ありがとう、アーティファクトたち――


「じゃあ……もう少し近づいて、手を離したら――頼んだぞ」

「はい」


 絶対に助けます。

 だからもう少し頑張って――――


 一歩、また一歩と音を立てぬように、慎重に。息を殺しながら私たちは近づいていきました。


 そして――後一歩でその場所が見えるところまでやってくると……


 “圧”と言うのでしょうか、何とも言いようのない感覚が、うねる波のようにやってきました。


「――!――」


 これが――さっき晃生さんが言っていた――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ