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最強の傭兵〜VRMMOでも世界最強?〜  作者: ハロウィン
第2階層
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過去②

「これからどうすんね?恭ちゃんと智美ちゃんは」

 リビングにいた恭弥と智美に祖母が話しかけてきた。

「私の年金だけじゃ2人の学費も払えないしねぇ…」

「俺が働くよ」

「そんなすぐ職につけるもんじゃないでしょ?それにお兄ちゃん、コミュ力ないじゃん。お兄ちゃんにできる仕事あるの?」

 つい最近、バイト面接が不合格になった恭弥は、少し言葉に詰まった。

「で、でも、俺にできることもあるし…ほら、父さんみたいに自衛官とか」

「お兄ちゃんに軍隊とか集団の中でやっていけるの?」

「いや、自衛官に限らず武術が使える仕事あるだろ。それにお前は高一だろ?少なくともあと3年は就職できないじゃん」

「高校なんてやめればいいじゃん!義務教育でもないんだし」

「ふざけんなッ!!」

 恭弥は荒々しい声をあげて立ち上がった。いつもは大人しい恭弥が急に大声をあげて、智美も祖母も驚いている様子であった。

「お前は俺と違って出来がいいんだから、高校にも大学にも行けよ!!父さんと母さんもお前にはちゃんと大学まで行ってほしいっていつも言ってただろ?それに…」

 恭弥は智美が生まれた頃のことを思い出していた。


「ねぇ、父さん!この子、なんて名前〜?」

 当時5歳の恭弥は生まれたばかりで眠っている智美の頬をつつきながら父の伸弥に尋ねた。

「智美だよ!可愛いだろ?」

「うん!」

「智美は私に似ていい女になるだろうな〜」

 母である友香はニヤニヤとしながら、そう言った。

「友香ほど綺麗な人なんていないぜ」

 伸弥はふざけた口調で友香に言った。

__ドスッ

 友香の右正拳突きが伸弥のみぞに直撃した。

「私の娘なんだから、私より可愛くて綺麗になるに決まってんじゃん!」

 伸弥はお腹を押さえながら、そうだなと笑っていた。ちなみに、友香は元ヤンキーである。腕っ節はもしかしたら、伸弥よりあったかもしれない。

「この子がお前の妹になるんだぞ〜」

「いもうと?」

「そ、妹。そして、お前はお兄ちゃんになるんだ」

「お兄ちゃん…」

「お兄ちゃんってのはなぁ、妹のことを守る為に先に生まれてきたんだよ」

「そうなんだ…」

 恭弥は自分の手の平を見て呟いた。

「父さんって強いだろ?」

 伸弥は力拳を作って恭弥にそう言った。

「うん!」

「父さんはなぁ、最初から強かったわけじゃないんだぞ」

「えっ、本当!?」

「ああ、本当だよ。父さんはな…母さんと結婚してから強くなったんだよ」

「なんで?」

「守るものができると男は強くなれるんだぜ!」

 伸弥は親指で自分の顔を指し、歯をキラーンと輝かせている。

「だからな、妹が、守るべきものができたお前は強くなる!何かあった時はお前が守ってやるんだぞ…智美のことを」

 伸弥はそう言いながら、恭弥の頭を撫でた。

「「期待してるよ!“お兄ちゃん”!」」

 伸弥と友香は声を揃えて、恭弥に笑いかけた。


「それに、何?」

 智美は言葉をとめた恭弥に話しかけた。

「…いや、つまりは父さんと母さんの願いだってことだよ。父さんも母さんの願いを無下にすんなよ」

「それは…その言い方はずるいよ…」

 智美は下を向いて、声がさっきまでより小さくなった。

「でも、恭ちゃん…本当に働くのかい?」

 祖母が会話に入ってきた。

「そうだよ!お兄ちゃんだって大学が…」

「俺は2年間も大学行ったし、父さん達は満足だと思うよ。それに俺が大学にいてもどこかいい所に就職できないだろうしさ」

「だからって、今すぐ就ける仕事なんて…」

「それについて考えたんだけど、傭兵なんてどうかなって」

「傭兵?」

「そう、傭兵ならコミュ力もいらなそうだし、俺でもできそうだと思って」

「でも、危ないんじゃない?」

「父さんもいつも命張って働いてたんだろ」

「それはそうだけど、どうやってなるの?傭兵って」

「前に父さんが言ってた場所に行ってみようかなって。多分、そこで傭兵になれると思う」

「本当に大丈夫?」

「まぁ、なるようになるよ」

「………」

「俺はしばらく家を留守にするけど、おばあちゃんも和大かずひろもいるし大丈夫だろ」

 和大は智美の幼馴染である。智美と結婚し、明美を産むのはまだ先の話だが。

「気をつけるんだよ…あんたのお父さんはいつも危なっかしかったから心配だよ」

 祖母は心配そうに恭弥の肩にポンっと手を置いた。

 そんなこんなで恭弥は父の伸弥が言っていたという場所に向けて旅立ったのだ。

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