トーナメント戦③
トーナメント戦、第3回戦が始まった。らんまると恭弥のように最初の方で功績値の高いプレイヤー同士が当たることは珍しかったらしく、恭弥の次の相手は有名なプレイヤーではなかった。そんな中、功績値3位のジャックvs功績値11位のガドルの組み合わせが3回戦の中では1番見所があるだろう。
「第3回戦、第1試合から功績値3位のジャック選手と功績値11位のガドル選手の好カードだ〜!それでは、早速試合開始です!」
兎さんの合図と共にジャックとガドルのバトルが始まった。
「【サイドインパクト】!!」
開始早々、ガドルが無駄に大きい声でスキルを叫んだ。ジャックを含む闘技場全体に衝撃が走った。ジャックは背中に背負った1つの大剣を2つに分裂させ、目の前にクロスした状態で構えた。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
そして、ジャックは大声を上げながら大剣で衝撃を防ぎながら、真正面からガドルに突っ込んでいく。
「【ディープインパクト】!!」
ガドルは突っ込んでくるジャックに向かって大鎚を振り下ろした。ジャックは片方の大剣で正面から受け止めた。そして、もう片方の大剣でガドルを斬りつけた。それでも、ガドルは一歩も引かず、ジャックに振り下ろした大鎚にもっと力を入れた。
__ピシッ
ジャックの大剣から不穏な音が聞こえた。そして、すぐにバキンッとガドルの大鎚を受け止めていたジャックの大剣が大破した。ジャックはガドルと距離をとる。
「ガハハッ!どうだ!これで双壊のジャックも形無しだな」
どこかのマリモ剣士のように胸に大きな傷を負ったガドルは、得意げにそう叫んだ。
「そうか?まだまだこれからだぞ!」
ジャックがそういうと同時に、破壊されたはずの大剣が元の状態に戻っていく。ジャックの大剣には【武器再生】が付与されていたらしい。
「…っ、じゃあ、これはどうだ?!【リサイクロン】!!」
ガドルはそう叫び、手に持った大鎚をぶん投げた。ぐるんぐるんと回転しながら、ジャックに向かって大鎚が飛んでいく。
「やけになったか?」
ジャックは飛んでくる大鎚をかわし、無防備なガドルに突っ込んでいく。
「いーや、これからだ!」
ガドルがそう叫んで、ジャックは気付いた。ガドルが投げ飛ばした大鎚がブーメランのように戻ってくることに。
「うおっ!」
どでかい図体ながらも、ジャックはその大鎚を器用に避けた。そして、その大鎚はガドルの手に戻ってきた。ただ、それだけでは終わらなかった。大鎚に加わっている遠心力をそのまま利用して、ガドルは大鎚を力一杯、ジャックに向かって振り下ろした。
「【不動明】!」
ジャックは2つの大剣をクロスして、真正面から受け止めた。ガドルの攻撃は【ディープインパクト】の時よりも大きな威力だったが、今度はジャックも大剣を2つ、しかもスキルまで使用して全力で防いだ。
「オラァァ!!」
ジャックはそう言って、ガドル渾身の大鎚弾いた。ジャックはそのまま、2つの大剣でガドルを思いっきり斬りつけた。そうして、ガドルは赤いエフェクトに変わった。
「試合終了〜!勝者はジャック選手だ〜!真っ向勝負の熱い戦い、これぞ漢の戦いだ〜!!」
ジャックとガドルの勝負は、ジャックの勝利で終わった。そして、恭弥を含んだトップランカー達も順当に勝ち上がり、ベスト8が決定した。




