初めてのダンジョン攻略①
スーツの素材である黒兎の毛皮を十分に集めた元傭兵の伊黒恭弥は、お金を稼ぐためにダンジョン[大蛇の洞窟]に入っていった。
ダンジョンの中は太陽の光が届いていないにもかかわらず、青く光っており、迷うことなく前に進む事ができた。
奥へ進んでいくと、ファンタジーにはよくいるスライムや灰色の狼といったモンスターに遭遇した。
ダンジョンでお金が稼ぎやすい理由としては、ダンジョンのモンスターは魔石をドロップするからである。魔石は、武器や鎧を作るのに使用されるので、高価に買い取られている。
このダンジョンに出てくるモンスターの強さは、だいたい黒兎と同程度だったが、スライムには少し苦戦を強いられた。攻撃をしても、全くダメージが通っている様子がなく、恭弥が核を壊す必要があることに気付くまで少し時間がかかった。
モンスターを倒しながら、しばらく奥に進むとでかい扉らしきものを見つけた。
「これがダンジョンボスの部屋かな?」
内心ワクワクしながら、その扉を押し開けた。
扉を開けた先には、家4個分くらいの空間が広がっており、その中心には1匹の大きな黒い蛇がとぐろを巻いていた。
__ズシンッ…
後ろの扉が閉まる音がすると同時に
「シャァァァァァァァァァァ」
真ん中にいた大蛇が恭弥に襲いかかってきた。
「うわっ」
恭弥は、プレイし始めてから、初めて焦った声を発した。
大蛇の動きは、恭弥よりも速いが、長年傭兵をやっていた恭弥の反射と勘でなんとか避けられるスピードだった。
「まじかよ…普通にダンジョン舐めてたわ。」
今更、後悔している恭弥だったが、大蛇はそんな事お構いなしに攻撃を続けてくる。
それでも、なんとか大蛇の攻撃を避けると同時に攻撃を入れられるようになっていた。
《スキル【カウンター】を取得しました。》
◇◇◇
スキル【カウンター】カウンターをする際に補正効果が入る。
取得条件
自分より速い敵に対して、カウンター攻撃を10回成功させる。
◇◇◇
戦いの最中でスキルの効果を確認できなかったが、確実にスキル【カウンター】の効果が影響し、遂に大蛇の上に表示されているHPバーが半分をきった。
「シャァァァァァァァァァァァァ」
大蛇が最初の時よりも甲高い声で鳴いた瞬間、恭弥は初めてダメージを喰らっていた。




