アイテム確認
「昨日は怖かった〜」
白虎と遭遇した次の日、智美はいつも通りアインの鍛冶屋にいた。
「白虎に会ったんだっけか?クロミさんは運がいいのか悪いのか…」
アインは、ハハッと冗談混じりに言った。
「揶揄わないでくださいよ…クロが来てくれなかったら死ぬ所だったんですよ〜」
「それにしてもクロは流石だよね〜あの四獣と戦って生き残るだけじゃなくて、ダメージを与えるとはね」
遊びに来ているエルが、うんうんと感心したようにそう言った。
「でも、クロが逃げるのは意外だな〜妹のクロミさんがいたからかな…」
「そうか?俺はクロらしいと思うけどな」
アインは懐かしそうな顔をしている。
「それにしても、めっちゃアイテムあるな」
智美は昨日得たアイテムをカウンターに並べている。
「何があったらこんないっぱい手に入るの?上級とか特異級とかもあるし」
エルがアイテムを手に取りながら智美に尋ねた。
「白虎に会う前、偶然、隠しクエストをクリアしたみたいで…」
「本当に運がいいのか悪いのか」
アインは少し呆れている様子である。
「んー、毒蜘蛛の大剣と毒蛾の片手剣と毒蜂の槍は私使えないしな〜」
「じゃあ、売っちゃえば?中級ならある程度の値段にはなると思うよ!」
エルが得意げに提案する。
「やっぱ、そうなりますよね…」
「クロにあげるのはどうだ?あいつなら色々使いこなせそうだし」
アインは、恭弥が【器用貧乏】を持っていることを知ってか、そう提案した。
「そうですね、クロに聞いてからどうするか決めます」
そうして、毒蜘蛛の大剣と毒蛾の片手剣と毒蜂の槍は恭弥に渡すことが決まった。
「このヴェノムってやつ、上級だけどどういう効果あるの?」
エルが、次の気になるアイテムを手に取った。
「こんなの誰も使わないと思いますよ。もしかしたら、これもクロなら使うかもですけど」
「確かにそうかもな…」
智美とアイン、エルの3人はヴェノムの効果を見て、苦笑いを浮かべている。
「次はこれ!」
次に、エルが手に取ったものは白蜘蛛の指輪だ。
「なんか、蜘蛛が呼び出せるみたいですね」
「恭弥のネロみたいなもんか」
アインは昨日初めて対面したネロを思い出しながらそう言った。
「蜘蛛だから少し嫌悪感あるけど、ネロみたいに可愛ければいいな〜」
智美も昨日会ったネロを思い出しながらニヤけている。
「アイテム見終わったら呼び出してみてよ!」
「そうですね!」
まだ残っているドロップアイテムを確認してから、呼び出すことにした。
「残りはドロップアイテムなので良さそうなのはないと思いますけど…」
「いや、まだ上級があるけど」
エルが山のように積まれたアイテムの中から、1つのアイテムを手に取った。
「えっ、本当ですか?」
「うん、これは赤蜘蛛の糸だね」
「赤蜘蛛?」
「クロミさんがいっぱい倒した白蜘蛛の変異種だね。多分、クロミさんが大量虐殺した中にいたんじゃないかな」
「大量虐殺って…」
智美はそんなつもりはないと言いたげだが、実際虐殺である。
「この際、クロミさんも装備一式作るのはどうだ?こんなに白蜘蛛の糸と赤蜘蛛の糸があれば作れると思うぞ」
アインが大量のアイテムを見ながら提案した。
「いいですね!自分で作れば無料ですしね!」
智美のこれからやるべき事が決まった。
「そういえば、クロミさんはでるの?第2回イベント」
他のアイテムを確認しながら、エルが智美に質問した。
「私は出ないですよ、狙われそうなので。それに…」
智美は昨日の恭弥の言葉を思い出していたが、口には出さなかった。
「功績値1位は大変だな」
アインが揶揄うように言う。
「クロは出るんだろうな〜」
「逆に出なかったらびっくりですよ」
「クロは今何やってるの?」
「多分ウバドス大迷宮で修行してると思いますよ」
(白夜に負けた(=逃げた)ことが悔しかったんだろうな〜)
3人は口には出さなかったが、同じことを考えていた。
そんなこんなで恭弥と智美はそれぞれ日々を過ごし、第2回イベントの日がやってきた。




