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最強の傭兵〜VRMMOでも世界最強?〜  作者: ハロウィン
第2階層
57/152

恭弥の装備品

 雲、いや煙が消え去ったエンデルの空には、数百年ぶりの太陽といくつもの島々があった。


「この目で見れる日が来るとはな…あれが、エデンだ…」

 うるうるとした目で、大教官は指を差した。その指の先には、数多くある空島の中で一際目立っている、世界樹を中心に成り立っている島“エデン”が浮いていた。

「教官、泣いてるんですか?」

 恭弥が無遠慮に聞く。

「うるさいっ…」

 大教官はズズっと鼻を啜りながら、顔を背けた。


 胸がいっぱいになっている大教官は、それ以上話しかけても反応しなかった。仕方なく、恭弥は一礼をして修練場を後にした。


◇◇◇

「渡したいもんあるから来い。」

◇◇◇

(あれ、アインからチャットきてた…って、これだけじゃ分かんねーよ。とりま、鍛冶屋に行くか…)

 ウバドス大迷宮に向かおうとしていた恭弥は、目的地をアインの鍛冶屋に変更した。


「おいーすっ。」

 鍛冶屋に着いた恭弥は、早速中に入っていった。

「おう!来たか、クロ!」

「…なんでそんな機嫌いいんだ?気色悪いな。」

「大きなお世話だ。」

 社交性のあまりない恭弥が、こんな気を許して話せる相手は智美を除いてアインくらいだろう。


「そんなことより、これを見ろよ!」

 アインは、カウンターを両手でバンッと叩き、本題に入った。

「…これは?」

 恭弥がカウンターの上を見ると、短刀が1つと杖らしきものが1つ置いてある。

「お前から預かってた魔宝石と黒宝骨で作ったやつだ。」

「おおっ!できたのか!?」

 恭弥は少し興奮した様にそれらを手に取った。


◇◆◇

宝魔短刀〈伝説級レジェンド

 STR+60

 スキル【空欄】

宝黒杖〈伝説級レジェンド

 INT+40

 スキル【黒瘴】

 スキル【空欄】

◇◆◇


◇◇◇

スキル【黒瘴】ステータスダウンの効果がある黒い瘴気を放出できる。

◇◇◇


 恭弥は黙って、スキルまで確認した。

「えぐいな…」

「だろ?」

 アインは、得意げな顔で答えた。

「ありがとな。」

 恭弥はそう言って、それらをアイテムボックスにしまった。

「あっ、それじゃあ…」


__バンッ


 アインが何かを言おうとした瞬間、エルが慌てた様子で扉を開けて入ってきた。

「兄貴!外見たか??やばいことになってるよ?!!」

「「…………」」

 興奮していたのだろう、エルは“兄貴”というワードを使ってしまった。アインと恭弥はエルを、エルは恭弥を見つめて、少しの間沈黙が続いた。その沈黙を破ったのはアインだった。

「…それでエル、どうしたんだ?」

「いや、それでじゃないだろ!兄貴?兄貴って何?」

 恭弥は、突っ込まずにはいられなかったらしい。

「あっ、いや、後で説明するからっ!」

 エルが慌てた様子で取り繕った。


「で、どうした?」

 アインはゴホンッと咳をして、話を戻した。

「あっ、そうなんだよ!空見た??」

「何かあったのか?」

「もしかして煙がなくなったことか?」

 恭弥が聞いた。

「そうそう!煙突も運転が止まってるし何か起きてるよ!この2階層で!」

「まじか!」

 アインはよりテンションが上がった様子で、外に出た。

「おぉ〜、本当だ。明るいな!」

「これ、絶対何か大きなこと起きるよね?!」

「そうだろうな。あんな怪しそうな空飛ぶ島があるんだしな。」

「あー、早く運営から情報来ないかな〜」

 アインとエルは興奮した様子で、肩を並べて空を見上げている。


(…この仲の良さは兄弟だったからなのか。なんだかこの光景、昔も見た気がするな…)

 恭弥は、アイン達の後ろで呑気にそんなことを考えていた。


「あっ、アインさんとエルさんだ〜」

 外で空を見上げていたアインとエルに、今回の第2階層変化の元凶である智美が手を振りながら近づいてきた。

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