表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の傭兵〜VRMMOでも世界最強?〜  作者: ハロウィン
第2階層
54/152

智美の2週間

__2週間前の伊黒家


「今日から2週間くらい、10時間ゲームやるから。」

 いつもより早く起きた恭弥は、色々と朝の準備をしている智美にそう告げた。

「また〜?前もあったけど、クエストか何かあるの?」

「そんなとこ。」

 恭弥はそう言って、そそくさと朝食をとって、2階へと上がっていった。

「まったく…」

 そんな兄の姿に呆れながらも、智美自身、早く「アムシュターク」をやりたいという気持ちがある為、何も言えない。明美を幼稚園へ送り届け、掃除などの朝の日課をパパッと終わらせて、智美も10:00前には、「アムシュターク」にログインした。


「こんにちわ〜」

 アインの鍛冶屋前にスポーンした智美は、ドアを開け、挨拶をしながら中へと入っていった。

「おっ、今日は少し早いな。」

「急いで、やること全部終わらしてきましたよ〜」

「はははっ!それはご苦労なこった!」

 アインはいつものように優しい笑顔で、智美を迎えてくれた。


「よし、ある程度の流れは教えたから、あとは経験あるのみだ!俺は、注文の品を作ったり、お前らの魔宝石と黒宝骨を鍛えたりしなきゃいけないから、分からない所があったら、聞きにきてくれ。」

「了解です!親分!」

 智美は、ノリノリでアインに答えた。


 アインが、練習用の材料や道具を準備してくれている。智美は、練習に取り掛かる前に、アインへの感謝を込めてそれらに手を合わせてお祈りをするようにしていた。だからどうなるというわけではないのだが。

 

 スキルのある世界でも、基本的な流れは同じである。まずは、材料を適当な大きさにする。それを加熱して、ハンマーで形を整えていく。そして、冷却や加熱を繰り返して、微調整を行い、完成形へと仕上げていく。

 生産職は我慢の職業とも呼ばれており、スキルの入手や進化をするまで時間がかかる。その為、生産職はマイナーな職業である。街にある武具屋は、ほとんどNPCの店だ。

 智美は、昔から何でもそつなくこなす器用さと最後までやり遂げる努力家な性質を持っていたので、鍛治にも音を上げずにコツコツと練習を繰り返した。

 

 15時には、明美が幼稚園からバスで帰ってくる。その為、智美はあまりプレイができない。3時間くらい鍛治の練習をしたら、作業をしているアインに挨拶をして、隣にあるエルの薬屋に向かう。

(いっぱい武器作ってるし、やっぱり儲かってるんだろうな〜)

 挨拶をする時も、素材に向き合っているアインを見て、智美は改めてそう思った。


「あっ、待ってたよ〜」

 忙しそうなアインと反対に、エルはカウンターの奥で暇そうに座りながら、無邪気な笑顔で智美を出迎えた。

「今日もよろしくお願いしますね〜」

「はいはーい!」

 エルはいつも通りのテンションで智美を店の奥へと案内した。


「じゃあ、今日からはお店に出すポーションを作ってもらおうかな!」

「えっ、もうですか?」

「うん!と言っても、低級のだからそんな気張らなくても大丈夫だからね〜僕も隣で見てるしさ!」


 ポーション作りも意外と大変である。まずは、使う薬草などの素材の選択。それらを、刻んだりすり潰したりして、鍋で煮る。そして、それらを冷やして完成である。鍛治と同じく、スキルの取得まで時間がかかり、根気のいる作業である。


 智美は、1日平均5時間プレイし、3時間はアインと、2時間はエルと生産職の修行をした。2週間経つ頃には、【鍛治(中)】と【製薬(中)】まで取得できていた。ちなみに、途中から裁縫の修行も始まり、【裁縫(小)】も取得できていた。裁縫は、アインから教わった。ゴツい体かつハゲという外見を持つアインが、小さい針で服を作っているのを見て、智美が笑いそうになったのは言わないほうがいいだろう。


__恭弥が受けた修練場クエスト最終日


「こんにちわ〜今日もよろしくお願いしま〜す!」

 智美はいつものようにアインの鍛冶屋に入った。すると、アインがカウンターで、疲れ切ったように顔を伏せていた。

「どうしたんですか?」

 智美が、アインの肩を叩きながら聞いた。

「ん…?あぁ、クロミさんか………あっ!!」

 少し寝ぼけていたアインは、何かを思い出したように飛び起きた。

「そうだ!やっと完成したんだよ!魔宝石と黒宝骨から作成した装備品が!」

 アインは興奮したように、店の奥へ完成した装備品を取りに行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ