8つのダンジョン②
第1階層にある全てのダンジョンをクリアしようとしている恭弥は、[湖底の洞穴]をクリアして、次に[魔の掃き溜め]を攻略しようとしていた。
[魔の掃き溜め]は、一見普通の洞窟の様であった。中に入ってみると、[大蛇の洞窟]の時と同様、洞窟内は青く光っていたが、[大蛇の洞窟]よりどす黒い感じがあり、地面も心なしかヌメヌメとしていた。
不快感を覚えながらも奥に進んでいく恭弥は、ファンタジー世界に出てくる魔物の定番と言えるモンスターに遭遇した。ゴブリンである。
「キケキィィケキイィィィ」
醜悪な顔で、笑っているのか威嚇しているのかわからない様な鳴き声を出した。
(うへぇぇ)
今まで出会ってきたモンスターの中でも1番化け物って感じのゴブリンに対して恭弥は苦い顔をした。恭弥は、あまりゴブリンに触れたくない様子でほとんどの攻撃をネロに任せることにした。
もちろん、火力があまりないネロだけに攻撃させるわけにはいかないので、恭弥も仕方なくゴブリンを倒していった。そして、ボス部屋が見えてきた辺りでネロがLv 20に上がった。
《ネロがスキル【光学迷彩】を獲得しました。
召喚獣との親密度が一定に達しました。召喚時のMP消費がなくなります。
スキル【交換】を獲得しました。》
一気に色々なことがピロンピロンと恭弥の頭の中で響いた。恭弥はボス部屋の扉の前まで行くと早速、変更点を確認した。
◇◇◇
【光学迷彩】一定時間、自分もしくは触れているものを周りと擬態させ、見えなくする。
【黒蛇のピアス】アサシンスネークを召喚できる。Lv 20以上で使用可能。
【交換】召喚獣との位置を入れ替えることができる。
◇◇◇
(光学迷彩って流石“アサシン”スネークってところか…MP消費0ってのも結構嬉しいな。交換ってのも結構便利っぽいな__)
恭弥は、ネロを撫でながら、新しいスキルの活用方法を妄想していた。そして、一息ついてからボス部屋の扉を押し開けた。
中には広い空間が広がっており、武装したゴブリン達が陣形を組んでいた。道中のゴブリンは、腰布を巻いており、素手か木の棍棒で攻撃をしてきた。それに比べて、ボス部屋にいたゴブリン達は、鉄剣や弓矢、杖などの様々な武器や防具を身につけていた。
恭弥は、袖下にいたネロを地面に下ろし、最大の20匹まで分裂させて、フロア全体に散らばらせた。弓矢や魔法などの遠距離攻撃を避けながら、ネロがフロアに満遍なく散らばるのを待った。完全に散らばったのを確認すると、恭弥は【交換】を試すことにした。
本来なら、他のゴブリン達に邪魔されて近づきづらい魔法を使うゴブリンに対しても、その近くにいたネロと位置を入れ替わることで、一瞬にして後ろを取ることができた。
【交換】は、いわゆるテレポート、瞬間移動の様なことができるみたいである。行きたい所に行けるわけではないが、ネロの持つ【分裂】と相性がいいらしい。
「オラァァァ!!」
いつも以上に相手の攻撃が当たる気がしない恭弥は、俺TUEEEEの気分になっている様で、出す必要のない大声をあげながら、ゴブリン達を倒していった。
そして、最後の1匹を倒すと宝箱がドロップした。
◇◆◇
【報酬】
10万ジル
ゴブリンの爪
◇◆◇
やはり、報酬には特別な物がなかったが、恭弥は機嫌良さそうに魔法陣に乗って、入り口まで戻った。
そして、恭弥は次に[魔の掃き溜め]から近い[大地の墓場]に鼻歌を歌いながら向かっていった。




