8つのダンジョン①
[湖底の洞穴]攻略のために、近くの湖で泳ぎ続けて【遊泳(大)】と【調理(小)】を獲得した恭弥は、いよいよ[湖底の洞穴]に挑もうとしていた。
[湖底の洞穴]に入った恭弥は早速、両脇に流れている川の中に入った。【遊泳(大)】を獲得したこともあり、魚の様なモンスターと同等もしくはそれ以上のスピードで泳ぐことができていた。
そのまま、手当たり次第にモンスターを倒しながら進んでいった。ネロも水を得た魚、いや蛇のように恭弥より断然速いスピードで泳ぎつつ、モンスターを狩っていた。
恭弥は、途中でスキル【水刃】を獲得した。恭弥にとって魔法以外で初めての遠距離攻撃であった。
そして、【水刃】を活用しながらも奥に進んでいくと、開けた場所に出た。その広い湖の中を泳ぎ回っていると、大きな扉を見つけた。
(これか…)
恐らく、ボス部屋の入り口であろうその扉を、恭弥は一旦外に出て息を整えてから扉を押した。
__ギィィィ
水圧で動かなそうな扉は、恭弥が軽く押すだけで自動的に開いた。
中も水で満ちたおり、呼吸できる場所はない様であった。そして、ボスらしき大きな影が一つ。道中で戦ってきたモンスターの巨大版みたいな姿で、今までのは2,3mくらいだったのに対して、20m近くはありそうな大きさであった。
扉が閉まると、いきなり大きな口を開けて恭弥を吸い込もうとしてきたが、【遊泳(大)】を獲得していた恭弥は余裕で抵抗することができた。
そして、その吸い込みを利用して、【水刃】を連続で放つと巨大魚の口の中に全て吸い込まれていった。
「キシャァアァァアアア」
体内にダメージを負ったからからか、一気にHPバーが減り、巨大魚は苦痛を訴える様な奇声を上げた。【調理(小)】によっても威力が上がっている様子で、徐々にHPを削っていき、相手の体力が30%以下になった時に、その巨大魚の周りにいくつもの大きな渦ができた。【水刃】を放っても弾かれてしまい、近づこうにも近づけない状態になってしまった。
(どうしようか…)
攻撃は受けなくてもこちらも攻撃できない状況で、恭弥は少し思考を巡らせた。分裂したネロの1匹を行かせようとしたが、渦に弾かれてしまった。
しばらく考えた後、よく狙って【水刃】を放った。適当に投げていた【水刃】は弾かれていたが、その【水刃】は渦の間を抜けて、巨大魚にヒットした。
恭弥が狙ったのは、正面から見て右回転の渦が左に左回転の渦が右に位置していたところの間であった。吸い込みの時と同様に渦の勢いを利用したのだ。
そのまま、一定距離を保ったまま【水刃】を放ちまくり、やっと巨大魚のHPを全て削り切ることができた。巨大魚が光の粒子になって消えると水が引いていき、完全になくなると真ん中には宝箱らしきものが落ちていた。
◇◆◇
【報酬】
10万ジル
巨大魚の鱗
◇◆◇
珍しいものがあるわけでもなかったので、恭弥は期待はずれとため息をついて、入り口まで戻れる魔法陣に乗った。
入り口まで戻ってきた恭弥は、マップを確認してその場所から1番近いダンジョン[魔の掃き溜め]に向かうことにした。




