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わたしにもう一度恋して欲しい~婚約破棄と断罪を回避した悪役令嬢のその後の物語~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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暗部

「まさにあれは不意打ちでした。治安の良さに気を抜いてしまった……というのもあるかもしれません。ですがあの銀行前には、銀行の警備員もいました。そして僕の護衛の騎士もいたのです。フェートンにシャルロン様とソアールが乗った時も、そばに二人の護衛の騎士がいたのに。馬車を奪い、二人を攫った男は、手慣れていました。まさに大胆不敵だったと思います。スタートで差をつけられ、しかも道に慣れていたようで……ウォード殿と一緒に追いかけたのですが、完全に巻かれてしまいました」


 そこで私はハッとすることになる。


「カシウス殿下、ソアール皇女はご無事ですか?」


 するとカシウスが、ニッコリ笑顔になる。


「警備隊の屯所近くで、保護されました。無事ですよ、ご安心ください。念のためで病院に連れて行きましたが、怪我もありませんでした。一応、今日は入院ですが、明日には退院できるでしょう。よってソアールは大丈夫です。むしろシャルロン様。あなたはソアールを先に逃し、自身が残る選択をされたのですよ。大変危険なことをと思いましたが、あの場では、そうするしかなかったと思います。……ソアールを守ってくださり、本当にありがとうございます。英断に心から感謝です」


 カシウスが深々と頭を下げた。これには「そんな、顔を上げてください」とお願いすることになる。


「でもソアールを取り戻すことができたことで、シャルロン様の居場所の目途が立ちました。さらにあなたが上げた赤い狼煙のおかげで、完全に特定ができたのです」


「! 私があげた合図<狼煙>だと分かったのですか!?」


「犯人達は、ソアールが幼く、ろくに周囲を見ていないだろうと思ったことでしょう。でもそれは大間違いです。ソアールは、薬で眠らされる直前に、ランドマークとなる時計台を見つけていました。時計台から北の位置に自分がいると、把握していたのです。おかげで全く違う地区の屯所のそばで発見されましたが、シャルロン様がどこに捕らわれているのか。エリアの目途が立ちました」


 これには驚きだ。

 すっかり怯え、周囲の様子なんて見ることができていないと思ったのに。


「そうだったのですね。ソアール皇女のおかげで、命拾いできました」


「ソアールが時計台を見ていなくても、あの赤い狼煙が上がれば、必然的にそこに目を向けることになったと思います。しかしどうやって赤い狼煙をあげたのですか?」


 そこで私はチークを燃やし、赤い狼煙をあげたことを伝えた。

 これには護衛の騎士も目を丸くし、「よくそんな方法を思いついた」という顔で驚いてくれている。


「でもあれはガラージオの洞窟の一件で、船頭トーマに狼煙についていろいろ聞けたので、咄嗟に対処できたのだと思います。それにチークが部屋にあったのは、運がよかったです」


 もし着替えや宝飾品、化粧道具が別室にあったら、完全にアウトだった。そう言う意味でもついていたと思った。


「やはりシャルロン様は聡明で、得難い方です……」


 カシウスはそのブラックオリーブ色の瞳を細め、羨望の眼差しを向けてくれる。

 これには照れ臭くなり、「ソアール皇女と私が連れ去られた場所は、何だったのですか?」と尋ねていた。


「シャルロン様とソアールが連れて行かれたのは、ミンナント地区と呼ばれ、どうやらこの美しいリアベラ海に囲まれた街の、暗部のようです」


 カシウスが険しい表情になった。


「この街は外国籍の船の就航も多く、移民も沢山います。ミンナント地区には移民や不法移民も数多く暮らしており、違法賭博、違法薬物の売買、売春、人身売買なども行われているようで……。この地区の浄化作戦は、過去何度も行われているそうですが、うまく行かず。でもウォード殿が倒した大男。あれがミンナント地区のツートップの一人と言われるミズードだと思うので、これは大きなダメージを与えることができたと思います」


 そこで私はあの場所に沢山の攫われたらしい女性がいたこと。そして彼女達は薬により無関心・無反応状態になっており、地下へ連れて行かれたことを話した。


 聞き終えたカシウスは、護衛の騎士にアイコンタクトをとり、この後、病院に着いたら、すぐに伝令を出すと言ってくれる。そして――。


「ウォード殿とシャルロン様を見つけた際、厨房で沢山の女性が……パンや果物を食べていましたが、彼女達が攫われた女性ですか? 煙幕の中、食べ続けるのは異様に思えましたが、それほどまでに空腹状態だったのでしょうか?」


 そこで私は、自分がどういう作戦で動いたのかを、話して聞かせることになった。つまりなぜ彼女達が厨房にいたのか。そしてどうしてあんなに貪り食べていたのかを。


「なるほど。それは薬の副作用なのでしょうか。ともかくシャルロン様の機転のおかげで、それこそいい足止めになったと思います」


 それを言われると、動いて良かったと思えた。

 安堵できたし、気づけば涙も止まっている。


「病院に着きましたね」


 カシウスの言葉とほぼ同時で、馬車が止まった。

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