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破壊神降臨③

『ふん。人形にそこらの死霊、雑霊を魂代わりに組み込んで、擬似的な生命体としているわけか。実に下らん』


 鬼か魔物かとでも言えそうな姿になったみつるは、残った死霊人形アンデッドールを見渡して、笑った。


 人形達が僅かに怯む。

 恐怖など持ち合わせていないはずなのに。

 

 そして、まるで恐怖に耐えられなくなったように、一体の人形が槍を構えて襲いかかって来た。

 加速ヘイストの魔法も併用した神速の突き。見極めるのは不可能。

 

 だが光はハエでも払うかのようにその穂先を掴み人形を引き寄せて、反対の手でその顔面を鷲掴みする。


 そして一言。


『滅』


 それだけ言うと、人形はまるで分子レベルになるまで分解され、塵芥ちりあくたとなって消滅した。


 だが光の表情は冴えず、不満げですらあった。


『ふむ。今の段階ではこの程度か』

『無理もありません、我が君』


 そんな光の無聊を慰めようと、真琴だった(・・・)ものがしなだれかかる。


『我が君の力は軽々《けいけい》と振るわれるものにあらず。この世界が彼ら(・・)の手中に如何ほど侵されているか。まずはそれを確かめるのが肝要かと』

『ふん、どのみちこの世界は滅ぼさねばならぬ。我らが眷属となりしものども、ことごとく送り込んで来たはいいが、一向に成果をあげておらんではないか』


 光は不服そうに口を尖らせて、手近にいた人形を掴むと再び塵芥へと変える。


『しかしながら、我が君。他の世界を滅ぼすなどもってのほか。この地に住まう神々もいい顔はしますまい』

『だが、此度こたび我を受け止める人間の子が現れた。ブラフマンめもやむなしと思っているであろうよ』

『また勝手な事を』


 真琴が呆れたようにため息をつき、光から離れた。


『取りあえず、この哀しき亡者達を浄化させましょう』


 そう言って真琴は祈るように手を合わせ、まるで舞うようにステップを刻んで、人形達の間を通り抜けていく。

 すると人形達から、まるで喜びのようなうめき声が聞こえ、その身体から青白い炎の様な物が浮かび上がって来た。

 そして、全部の人形からその炎が浮かび上がって来たのを確認すると、真琴はクルリと回転し、舞をしめるようなステップを踏む。


 その後には青白い炎が金色の光となって天へと昇っていく。

 まるで汚れた魂が浄化されていくような、それは幻想的な光景であった。


『良き輪廻転生があらんことを』


 愛しむような真琴の言葉に、浄化された魂は次々と昇華されていく。


 後にはただのカラクリ人形達が残された。


『後は頼みましたよ。我が君』


 その言葉を受け、光は右手を開いて人形達の群れにかざす。そして開いた手を何かを握り潰すように力を込めていった。

 するとどういうことか、人形達がそれに呼応するように一カ所に集まっていく。


 否、集められて(・・・・・)いった。

 

 そして空間ごと握り潰されるように。圧縮されていき、まるで人形で出来た球体のようになる。


『頃合いか』


 光は愉快そうに口元を歪めると、その両目を閉じた。すると額に現れた第三の眼が金色に輝く。

 そしてカッとその双眸が見開かれると、額の眼に強い輝きが灯り、それが龍の如く巨大な奔流となって人形達を焼き尽くした。

 黄金の輝きに灼かれた人形達は完全に消滅し、迷宮の壁や天井などが灼熱化し半ば溶けている。


『やれ一仕事。なんとも他愛も無い』


 感慨など一ミリも無い声で呟く光の独り言が、静かに迷宮に木霊する。



 後には静寂と二人の人影だけがそこに残った。

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