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破壊神降臨②

 悲鳴が聞こえる。


 誰かが自分を呼ぶ声が聞こえる。


 誰だろう?


 みつるは血の気を失い、凍えていく身体を必死に動かしてその声の主を探そうとした。


 だが意識がかすみ、闇の中へ落ちていく。


 そしてついに、光は思考する事さえ止めて、深淵の中に身をゆだねるのだった。



※※※※※※




「先輩っ! 先輩!!」


 真琴は半狂乱になって治癒の魔法を使う。

 だが、傷口は塞がるも、流した血の量が多すぎた。

 光はピクリとも動かない。

 微かに呼吸をしているのが奇跡のようだった。


「先輩っ! お願いだから目を開けてっ!」


 すがりつき、揺さぶるも光の反応は無い。


「やだよ……あたし一人遺しちゃ嫌だ!」


 その言葉に光の指先がピクリと動いた気がした。


「!!」


 真琴は自分の体力の限界近く力を込めて、更なる治癒の魔法をかけた。


 だが、効果は微々たるものだった。


 そんな事をしている間にも、死霊人形アンデッドール達はじりじりと包囲を縮めてくる。


 そんな死霊人形達から光を守ろうと、真琴は武装を構えて立ち塞がった。

 全方位からくる攻撃を盾や魔法で防ぎ、『武技アーツ』も使って抵抗する。

 だが多勢に無勢、真琴の白い肌にも無数の傷が刻み込まれていった。

 そして未だ意識が戻らない光のところにも、真琴を迂回して襲いかかっていく。

 それを見た真琴は「先輩!」と叫びながら、光の身体に覆い被さった。



 そんな二人を幾つもの刃や魔法が貫いていく。



 そして二人はそれっきり動かなくなった。



「生命反応停止を確認。これより魂の摘出を行います」


 杖を持った人形の一体が、二人に向かって杖をかざすと、二人の身体から青白く輝く炎のようなモノが浮かび上がる。

 そして別の二体がその炎を球状の結界に封じ込めようとした。

 

 その時だった。異変が起こったのは。

 

 二つの炎がそれぞれ赤と青の二つの色に変化し、爆発するように巨大化したのだ。


 やがてその炎はそれぞれ、四腕を持った巨大な人影になり、迷宮を焼き尽くし始める。

 恐れを知らぬ人形達は、すぐさま戦闘態勢に入るが、赤い炎の巨人が腕を振るうと一瞬で蒸発してしまった。

 それは暴虐の嵐であり無慈悲な破壊そのものであった。


 一方青い炎の巨人は光と真琴に向かって手をかざし、その手から水滴の様に炎を垂らして二人の遺体を焼いた。

 だが不思議なことに、遺体は焼けるどころか、みるみるうちに傷口が再生していく。


 そして二人の遺体の修復がすむと、赤い炎の巨人は光に、青い炎の巨人は真琴に吸収されていった。


 すると、二人のまぶたや指先がぴくりと動く。

 そしてゆっくりと二人は立ち上がり、静かに目を開けた。


『なんとも此度の肉体は、随分華奢なものだな』


 それは光の声ではあったが、明らかに光本人では無い。


『それもまたお似合いですよ。我が君』


 くすくすと笑う真琴もまた、いつもの彼女では無かった。


『では、早速試すとしようか』


 そいうと、光の身体に変化が生じた。

 肌の色が浅黒くなり、目に見える肌の部分には赤い幾何学紋様が浮かび上がる。

 口元には牙が露出し、額は縦に裂けそこから黄金の眼が現れた。



『肩慣らしに付き合ってもらうぞ。この有象無象の人形もどきどもが』




 光であったモノは、鮫のような笑みを浮かべて死霊人形に躍りかかるのであった。

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