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358日目 つまみ食い&足&声&手遅れ一歩手前

358日目


 ギルがリアの匂い。ギル味が足りない。


 ギルを起こして厨房へ。今日もやっぱり普通の仕事。昨日みんな休んだからか、珍しいことに宿屋の冒険者全員が朝から出かけるらしい。『飯作るので忙しいから、適当に各自に指示を出しておいてくれ』と言われる。


 そんなわけでとりあえず風呂へ。アルテアちゃんがふとももを晒しながら今日も元気に風呂掃除。ヒモクズフィルラドはそんなアルテアちゃんのふとももを眺めながら風呂掃除。『手ぇ動かせ!』ってアルテアちゃんに素足で蹴られてなんか喜んでいた。終わってんなこいつ。


 洗濯物もぼちぼち。またまた珍しいことに、クーラスが起きていて破けたところやほつれたところの修繕を行っていた。『ちょっと、眠れなくて起きちゃったんだ』って言っていた。


 あと、なぜだか今日はミーシャちゃんがごしごしと洗濯をしていた。アルテアちゃん並みに脚をさらけ出し、洗濯盥の上でふみふみと洗濯物を踏んでいる。『あたし、そんなに力がないからこうでもしないと落ちないの!』とのこと。思えば、俺も昔は踏み洗いをメインにしていた時期がある。


 洗濯っていうよりかは子供が水遊びしているようにしか見えなかったけど、黙っておこう。ギルがあの姿を見ていたらきっとトロールみたいな笑顔を浮かべていたに違いない。


 そうそう、パレッタちゃんは何をしていたかっていうと、普通にヴィヴィディナを使って洗濯物を干していた。


 うん、ヴィヴィディナさ、物干し竿に擬態していたんだよ。洗濯物の隙間から複眼がちらちら見えるんだよ。マジでクレイジーだって思ったね。


 『今日に限ってどうしたんだ?』って聞いたら、『朝から極上の糧を得られておなかいっぱい。あと、たまにはヴィヴィディナにも日向ぼっこさせないと』とのこと。


 その後はロザリィちゃんとイチャイチャしながら朝餉の支度。ホントはいけないことだけど、ロザリィちゃんが『あーん♪』ってエビフライをつまみ食いさせてくれた。もう、朝からあんなにイチャイチャできて天にも昇る気持ち。『とってもおいしいよ!』って微笑んだら、『えっへん!』って胸を張るところがマジプリティ。迫力が違う。


 朝食を取ったのはいつもよりちょっと遅め。冒険者連中に弁当を受け渡し、ついでにナターシャとミニリカとアレットにおやつのクッキーを渡し、アレットがリアを抱きしめ、俺がババアロリとアバズレにいってらっしゃいのキスをさせてやった後。まったく、いつになったらあの二人は俺離れをしてくれるのか。


 書くまでもないけど、ギルは今日も『うめえうめえ!』ってジャガイモを貪っていた。今日はポポルも『うめえうめえ!』ってケチャップのジャガイモ添えを貪っていた。


 午前中は普通に仕事。なぜか知らんけどクーラスが積極的に掃除やその他雑務をしてくれたおかげで大変楽だった。『お使いありませんか? 皿洗いでも何でもしますよ!』って自ら進んでマデラさんの元へと赴いて指示を仰ぐくらい。


 マデラさん、にっこり笑ってそこそこの仕事を割り振っていた。『それじゃあ、新しい枕カバーでも作ってもらおうかね』とのこと。まず間違いなく、ナターシャのヨダレ枕カバーのことだろう。あの痴女、とうとうヴィヴィディナを使っても落ちないくらいにカバーを汚しやがったし。  


 そうそう、何を思ったか、ちゃっぴぃも『きゅーっ!』ってパタパタ飛んでマデラさんの肩を叩き、媚を売りまくっていた。ステラ先生も『わ、私も何かお仕事くださいっ!』って女神過ぎる発言。


 が、マデラさん、ワンオクターブ高い声で『まぁ、先生を働かせるなんてそんな恐れ多いことできませんよ! ゆっくり休んでくださいな!』って笑っていた。


 時系列的に多少前後するけど、暇になったミーシャちゃんがギルに登って遊んでいたら、いきなり鼻をすんすんと動かし、『なんか他所の女の匂いがするの……!』ってぷりぷり怒りだした。で、ギルの首筋をガジガジして制裁していた。


 ギルのやつ、『誤解だよ、ハニー!』って弁明するけどミーシャちゃんは聞かず。調子に乗ってちゃっぴぃまでギルの首筋に噛みつきだす。


 結局、ギルがミーシャちゃんを褒めちぎりながら高い高いすることで彼女の怒りは鎮められた。最後はなんか二人してにへらって笑いながら首元の首飾りを握っていたけど、アレはなんだったのだろうか?


 お昼過ぎのちょっと落ち着いたとき、ふと気になったので『なんでマデラさんは先生と話す時だけワンオクターブ声が高くなるんだと思う?』ってみんなに聞いてみた。


 すると、ジオルドが『そういうもんだろ? ウチのお袋も他所様と話す時は声を高くしている』、フィルラドが『うちの母さんも家じゃ低いのに外じゃ高いな』、ポポルが『ばーちゃんと話す時だけ高いっぽい』、ギルが『うちのお袋はいつも元気な声だぜ!』って教えてくれた。


 どうやら世間一般の母親は、他所向きの顔というか、一応は目上の人に対しては声を高くすることで愛想よくふるまっているようだ。


 なお、パレッタちゃんからは『うちのママもババアと話す時だけは声を殊更に高くして嫌味たっぷりになる。そしてあのババアはそれを楽しんでいる。パパはババアの言いなりで使えない。うちもまともなババアとパパがほしい』って真顔で言っていた。なんとなくパレッタちゃん家の闇を垣間見た気がする。


 夕方ごろ、冒険者たちが帰宅。なぜだかみんなロザリィちゃんの元へやってきた。で、『今日のお弁当、美味しかっわよ!』、『めっちゃうまかったぜ!』、『美少女の手料理最高じゃった!』などと声をかけた。


 なんと、今日はロザリィちゃんがお弁当を作ったらしい。『ほとんどマデラさんの手を借りたから……!』って言ってたけど、それでもあれだけ褒められるってすごいことだと思う。


 俺もロザリィちゃんのお弁当を食べたかった。あいつらが食べられて俺だけ食べられなかったというのが本当に悔しい。マジ泣きそう。


 実際、マジでポロポロ泣いたんだけど、ロザリィちゃんはそんな俺をぎゅっと抱きしめ、『……ホントは──くんに一番に食べてもらいたかったの。だから、朝に──くんの大好きなエビフライ食べてもらったでしょ?』って囁いてくれた。


 朝のエビフライ、お弁当のおかずだったらしい。ロザリィちゃんの手作りお弁当を誰よりも早く食べられるなんて、それも内緒でこっそり『あーん♪』してもらえるなんて、俺はなんて幸せ者なのだろうか。


 思わず抱き締め返してリアとミニリカとステラ先生が赤面するくらいに情熱的なキスをしてしまったけど、あれはしょうがないよね、うん。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。昨日に引き続き、やっぱり衝撃の出来事が。


 夜の見回りの際、なんか食堂で変な音がすると思ったら、『ウォァァァァッ!』ってクーラスが壁に頭をガンガンと叩き付けていた。ちょう怖い。


 とりあえず天井をカサカサしていたヴィヴィディナでぶん殴って止めたんだけど、明らかにクーラスの様子がおかしい。とっさにホットミルクを提供し、落ち着いたところで話を聞いてみた。


 すると、『昨日からずっと……リアちゃんのことが頭から離れないんだ……!』という言葉が。やべえって思ったね。


 『俺、全然そんなつもりはないんだ。なのに、ずっと、ずっと離れなくて、気づけばリアちゃんを目で追っかけているんだ。忘れようと思って朝からいろんな仕事をしたけど、仕事の間も忘れられないんだ!』と、クーラスは言う。そして、再び頭をガンガン叩き付け始めた。


 間違いない。こいつ、開けちゃいけない扉を開けかけている。目覚めちゃいけないものに目覚めかけている。


 とりあえず、いざというときのために隠し持っていたジャガイモをちらつかせてギルを召喚。奇行を続けるクーラスに腹パンしてもらい、気絶したやつを男子部屋まで運んでもらった。


 ギルのやつ、『うっひょぉぉぉ!』って超笑顔&ノリノリで無抵抗のクーラスに腹パンしていたけど、あいつに友達に対する思いやりはないのだろうか? 暴力的な人ってやーね。


 腹パンしたギルはぐっすりと大きなイビキをかいている。とりあえず、クーラスに関しては本人に自覚があり、そしてそれはダメなことだと自分で認識できているから、きっかけさえあれば軌道修正……立ち直ることも可能だろう。


 友がルフ老みたいにならないことを願って、今日は大人の責任をギルの鼻に詰めてみた。おやすみらいのわかづまろざりぃちゃん。

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