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223日目 魔法構築学:魔法刃に求められる性質について

223日目


 なにもない……と思ったら日記のこのページだけ変に白い。不思議に思いつつも字を書いたら全部真っ白になった。インクをドバドバ垂らしても真っ白。もうわけがわからない。


 ギルを起こして食堂へ。若干肌寒かったからか、パレッタちゃんはもじゃもじゃ形態のヴィヴィディナを全身に這わせて暖を取っていた。『なかなかにぬくい』とのこと。


 あと、真っ青になって震える(寒さのせいではない)ロザリィちゃんをアルテアちゃんとミーシャちゃんが両サイドからぎゅーっ! って抱きしめていた。震えるロザリィちゃんもマジ可愛い。出来れば俺がぎゅってしたかった。


 ギル? あいつは愛おしそうにジャガイモをぎゅーっ! ってして『うめえうめえ!』って食ってたよ。密度の増したジャガイモは食べごたえがあって好きらしい。


 今日の授業はシューン先生の魔法構築学。『こないだの決闘すごかったよなあ!』と喋りたがるものだから、出欠取るのがいつも以上に遅かった。そして相変わらずローブはズボンにイン。魔銃とか入れるホルスターとかを作ったほうがカッコよくね?


 内容は魔法刃に求められる性質について。今まで散々裂造工程で魔法刃を使うって話してきたわけど、じゃあ実際どんな性質が魔法刃に必要なのって話。その項目はいくつかあるらしいんだけど、とりあえず代表的な二つについて学んだので、以下にその概要を記す。



・魔硬

魔硬とは魔法的変形のしにくさを示す指標である。魔法刃においては、最低でも対象のおよそ四倍程度の魔硬を求められる。魔法的耐摩耗性に直結するパラメータであるが、高魔硬であるからと言って破壊しにくいわけではない。また、一般的に高魔硬材料は後述する魔靭性に乏しいことが多い。


・魔靭性

魔靭性とはその物体が外部からの負荷を受けて破壊するまでにどれだけの魔法的エネルギーを吸収できるかを表す指標である。魔法的耐破損性や耐欠損性に直結するパラメータであり、魔靭性が高いほど、破損しにくいと考えてよい。一般に魔硬と魔靭性は相反する性質である。



 短いけどこんなもん。どちらをどれだけ支配的にするか、また、両立できるかで魔法刃の選択ってのが決まってくるらしい。場合によっては母材を高魔靭性材料、表面を高魔硬材料にすることで、オイシイどころ採りした最強の魔法刃を用いることもあるのだとか。その分コストが凄まじいことになるらしいけど。


 短い理由? シューン先生が興奮して決闘の話をずっとしていたからだよ。アレは予想外だったとか、先生ならああしていたとか、裏では大変だったんだぞとか、ともかくまあかまってちゃん特有の面倒くささをいかんなく発揮していた。


 ちなみに、最後の試合の時に読み上げられたこっぱずかしい二つ名、シューン先生が徹夜で考えた物らしい。『ちゃんと誰が出ても良いように全員分考えたんだぞ! 聞きたい? なあ、聞きたい?』って本当に面倒だった。


 で、隙を見て『先生たちの強さってどんな感じですか?』と例の質問をする。シューン先生は真剣な表情になり、ちょっと考えてから



『ステラ先生がドラゴンなら、キート先生は幼体の不死鳥。シキラ先生は理外のトリックスター。先生を含めたほかの先生は見栄張りまくってもアイアンゴーレムが良いところかな』



 ……と答えてくれた。今なら確実にキート先生に勝てるけど、数年後は確実に抜かされるらしい。『あの人伸びしろマジすごい』ってシューン先生は言っていた。


 ちなみに、先生方の中で一番若いのがステラ先生とピアナ先生らしい。それにキート先生、グレイベル先生と続き、シキラ先生、ヨキ、シューン先生、カルブ先生となるとのこと。ぶっちゃけ最後三人はほぼ同い年らしく、シキラ先生だけ三つばかり年下なのだそうだ。


 で、一番の年上はミラジフだと思ったら、『あの人たしかグレイベル先生の二つ上だぞ?』と衝撃発言が。つまり、シキラ先生よりも若いってこと。ルマルマみんなびっくり。上級生は『やっぱ驚くよなあ……』って頷いていた。


 クソジジイだと思ったけど、生来の性格の悪さが顔に出てジジイっぽく見えるだけのようだ。どんだけあいつ根性がひねくれ曲がっているのだろうか。


 なお、シキラ先生は飛び級こそしていないものの、(現実的な範囲で)かなり早くにグランウィザードになったんだって。キート先生は実務的な経験こそないものの、飛び級して若いうちから今の立場にいる。ステラ先生はクレイジーなレベルで飛び級し、クレイジーな若さと実力でグランウィザードになった。


 そんな人たちのおかげで若さと立場と経験がごちゃまぜになっており、先輩後輩関係(?)もすさまじいことになってるとか。『ステラ先生、ぶっちゃけ先生たちの中では一番偉いのに、いまだに着任したばかりの時と同じように接してくるんだよなぁ』とはシューン先生の談。


 ちなみに、ピアナ先生のほうがキート先生よりも早くこの学校に着任したらしい。だから公的な立場としてはキート先生のほうが下っ端なんだって。マジで複雑すぎて頭が痛くなりそう。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。短くまとめようとしたのに今日も長くなってしまった。俺ってば超悪い子。


 ギルは今日も大きなイビキをかいて腹出して寝ている。しょうがないから布団をちゃんとかけてやり、今日インクとして用いた特別製の魔法液(白)を鼻に垂らしておいた。


 何で書いても白なら、逆に白で書いてしまおうというこの発想。このインク、ホントは魔力によるあぶり出しのアレに使うやつだけど、これに書いたらその性質が侵食されつくされてダメになった……が、透かしてみると地味にうっすら文字の跡が見えたのでそのまま使ってみた。うれしい誤算。さすが俺。


 さすがに見えない文字を書き続けるのは疲れた。おやすみなさい。

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