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217日目 魔法造成実習:魔旋盤を用いた陣造の基礎

217日目


 天井にびっしりオレンジの皮が張り付いている。あとでヴィヴィディナに食べてもらおうっと。


 ギルを起こして食堂へ。朝食のハムエッグの白身部分をちゃっぴぃに食べさせつつ(この時なぜか顔面を容赦なく引っかかれた。解せぬ)、パレッタちゃんに天井のオレンジの皮をヴィヴィディナに処理してもらうように頼む。


 『パパの頼みをどうして断れようか』ってパレッタちゃんはヴィヴィディナを体に這い回せながら快諾してくれた。今日のヴィヴィディナは毛と足がいっぱいだったことを記しておく。


 なお、パレッタちゃんと話していたらロザリィちゃんが真っ青になりながらも『むぅ~……!』って俺の裾を引っ張ってきた。嫉妬ロザリィちゃんがプリティすぎる。


 どうやら、俺がヴィヴィディナのパパと呼ばれることが気に食わないらしい。別に気にする必要ないと思うんだけど、『それとこれとは話が別なの!』とのこと。あ、ちゃっぴぃのパパならむしろウェルカムなんだって。


 が、ここでパレッタちゃんが『ヴィヴィディナのママはロザリィなんだから別に良くない?』と衝撃発言。クラス一同びっくり仰天。ジオルドに至っては大好きな最後の一口のプリンを落としてしまっていた。ギルはいつも通りジャガイモを『うめえうめえ!』って食ってたけど。


 俺、ロザリィちゃんにヴィヴィディナを産ませた覚えないんだけど。いったいどうなってるんだろうか。


 詳しく話を聞くと、『──の次に上質な糧を多く、大量に与えたのはロザリィ。あの色欲と嫉妬がママでなければいったい何がママなのか』とのこと。ロザリィちゃん、色欲って言葉を聞いた瞬間にかぁって真っ赤になって超かわいかった。


 なお、『じゃあ、お前はヴィヴィディナの何なんだ?』ってポポルの問いに、パレッタちゃんは『私はただの観測者。あるいはヴィヴィディナの道標』って答えていた。相変わらずパレッタちゃんの考えることはよくわからん。ちなみにポポルはヴィヴィディナの究極目標らしい。


 さて、今日の授業は女神ステラ先生の魔法造成実習。ステラ先生、顔が真っ赤なまんまのロザリィちゃんを見て『熱でもあるの?』っておでこをこつんってしてた。俺にもやってほしかった。


 今日の内容は魔旋盤について。こいつも裂造用の魔道具なんだけど、フラウルや星筒蝕造盤と違って魔法刃は回転せず、高速回転させた魔力塊にそれを干渉させることで裂造を行うらしい。


 裂造用の魔道具の中でも最も基本的なものらしいんだけど、カリキュラムの都合上ちょっと後回しになってしまったとか。ちょっと申し訳なさそうにするステラ先生マジプリティ。


 面倒くさいからいろいろはしょるけど、例によって例のごとく今日はこいつの基本的操作と原理について学ぶ。実際の感触はともかく、作業的なイメージとしてはフラウルとそんなに変わらない。


 取り付ける魔法刃もどんなファンクションパターンを形成するかでいろんな種類があり、結構奥が深そう&自由度も高そう。『うちは予算の都合上最低限必要なものしかないけど……』って先生が見本を見せてくれたけど、それでも七種類も魔法刃があった。


 ちなみに、本格的な現場ではあらゆるシチュエーションに対応するため数十種類もの魔法刃が用意されるものらしい。ウチの場合、そこは実習の先生の腕でカバーするのだそうだ。


 『ちゃんとした魔法刃さえあれば、すぐに作れるような試験片の設計図をもってくる生徒もいてね……』ってステラ先生が言ってた。卒業研究の実験で使う試験片も(難しいのに限り)実習室付きの先生が作ってくれるんだけど、設計図は問題ないのに予算がないから、陣造がすごく大変らしい。愚痴を言いながら徹夜で陣造する姿がよく見られるとか。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。雑談中、みんなでアエルノをぶちのめすために最終調整を行っていたらステラ先生がクラスルームにやってきた。『明日はがんばろーっ!』って励ましてくれる。


 で、『せっかくだし、──くん、組長として何か気合いの入ることを!』 と言われたので、みんなで円陣を組む。男女ごちゃまぜで肩を組み、『明日はアエルノぶっ飛ばすぞ!』って声をかけた。直後に『うぉぉぉぉ!』と頼もしい声。


 ヴィヴィディナも金切り声を上げてたし、エッグ婦人もヒナたちも雄たけびをあげてたし、ちゃっぴぃも『きゅーっ!』って拳を振りかざしていた。リチャードやジョンソンもパタパタしてたし、コメットテールや雷髭魚もジャンプしてその存在を主張する。まさにクラス全体が一つになった瞬間だった。


 なお、女子と肩を組めた(しかも両隣)ジオルドとクーラスがうれしさのあまり涙目になっていて、みんなに憐みの目で見られていたことをここに記しておく。


 あ、ちなみに俺と肩組んだのはロザリィちゃんとステラ先生ね。二人とも超柔らかいしあったかいしいい匂いがしたよ。


 ギルは闘気を迸らせながら大きなイビキをかいている。ひっそり調合しておいた筋肉増加薬を鼻にたらしておいた。明日が楽しみでならない。みすやお。

20151107 誤字修正

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