122日目 早朝ジョギング
122日目
ギルがチョコレート色の肌に。俺も日焼けしてイメチェンしようかな。
ギルを叩き起こし、身だしなみを整えた直後に廊下で怒声となにかの破壊音が聞こえた。また誰か何かやらかしたのかと思って外に出てみれば、そこに『ふーッ! ふーッ!』と声を荒げるアルテアちゃんが。
どうやらアルテアちゃん、ここ数日ずっとフィルラドに変わって朝方にヒナたちの面倒を見ていたらしい。フィルラドのヤツ、休みに入ってからずっと昼近くまで寝ているもんだから、わざわざアルテアちゃんは気を利かせたらしかった。
一日二日くらいなら……ってアルテアちゃんは思っていたらしいんだけど、結局一週間たってもフィルラドは自堕落なまま。で、ブチ切れてフィルラドの部屋をぶち破ったってわけだ。
『その根性、叩き直してくれる!』とアルテアちゃんはずかずかと部屋に入り、ベッドでスヤスヤしているフィルラドのタオルケットを引っぺがした。ついでにポポルのも引っぺがし、二人ともに冷水をぶっかける。またとない機会だったので俺もぶっかけておいた。
『新手のアエルノ陰謀かッ!?』とフィルラドは飛び起き杖を構える。が、怒れるアルテアちゃんを見た瞬間、まさに震える小鹿のようにぶるぶる震えだした。関係ないはずのポポルまでガチガチいってた。
きっと女の子がしちゃいけない表情をしていたんだろう。ちょっと見てみたい気もする。
で、『言ってわからないなら体に教え込むほかあるまいッ!』と、なぜかそのまま早朝ジョギングに行く流れに。せっかくなので俺とギルも付いていくことにした。なお、ジョギングに行くまでにポポルとフィルラドのケツはアルテアちゃんの愛のケツビンタにより真っ赤に膨れ上がっていた。
ジョギングは結構楽しかった。朝の新鮮な空気の中、湖のちょい先の丘のところまで走った。距離は短くもなく長くもない、まさにベストなかんじ。俺とアルテアちゃんはだいぶ余裕を残してゴール。ギルはもちろん超楽勝。
でも、ここのところだらけ切っていたポポルとフィルラドはかなりへばっていた。ちょっと前なら楽勝でこなせていた距離のはずなのに。足の短いポポルはともかく、フィルラドなんて息を切らせながら『……な、何か召喚していい?』とか言いやがった。もちろん直後にケツビンタが飛んでいた。
丘に到着した後はちょっと休憩して(クソまずいけどアルテアちゃんが携帯食料を持ってきていた。花の蜜でごまかして飲み込む)、その場で採取をすることに。アルテアちゃんが例の魔系学生向けの依頼(ナエカとかリシオとかの採取依頼)を取ってきていたので、それをメインに昼近くまで粘る。
アルテアちゃん、意外とちゃっかりしている……いや、しっかりしているのか。
帰りはもちろんそれらを背負ったまま走る。ポポルとフィルラドは涙目だけど、俺たち三人は行きと同じペース。帰りも想定して体力残す俺って超策士じゃね?
ギルはともかく、アルテアちゃんの健脚に驚きを隠せない。狩りが好きなのはしっているけど、まさかここまで走れるとは思わなかった。
途中、とうとうポポルがダウンしたのでギルが担いでいくことに。『ジャガイモの袋のほうが何倍も重いぜ!』とギルはポポルを盗賊担ぎして元気よく走る。あれでアルテアちゃんのペースに合わせているってことは、本気を出せばどれだけ早くなるのかちょっと想像がつかない。
なお、魔法草採取による報酬金は一割をクラス資金にぶち込んだ後に山分けした。あの程度の依頼にしてはそこそこオイシイ。いい運動してお小遣いももらえたって感じ。
午後は適当にすごし、夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。今日はロザリィちゃんとあまり話せなかったのが残念。今度一緒にジョギングに誘ってみようかな。
ギルは今日も大きなイビキをかいて寝ている。氷魔の爪を鼻の穴に詰めた。おやすみなさいのしし。




