~第六十六話~勇者、バイトール王国に辿り着く~
はい、久しぶりの投稿です。
今回は、勇者君の話です。
次からは、本編かな?って感じですかね。
さて……俺は、セレンディア王国から、馬車で移動する事にして、その馬車で一緒に行く事になったのは、商人のリック夫妻だった。とりあえず……俺は、名前をネムと名乗る事にしたのだが……う~む……この家族に俺の正体ってバレテいるのか?って思う。いや……別に俺が勇者だってバレても特に問題は無い気がするのだが、自分から「俺は勇者だぞ?」って言うのもな……って思ってしまう。そんな事を思っていると
「ねえ? おじちゃん」
「いや……お兄さんだ。頼む……そう言ってくれ」
「え~っと……じゃあお兄さん。お兄さんって何をしている人なの?」
リック夫妻の子供が俺に話しかけてきたので、俺はどう答えるか? 迷ってしまった。とりあえずそうだな……一応武器を持ってるしな? こう言っておくか。
「俺か? 一応冒険者だな」
「冒険者? それってなーに?」
「そうだな……依頼を受けて、それを実行する人の事を言うって感じだな? まあ……今は、俺が依頼を出しているが」
「そうなんだ……お兄さんの依頼って、何なの?」
「それは……今の所は、バイトール王国に行く事が依頼だな」
「あの……聞いてもいいですかね? バイトール王国に何しに行くのですか?」
この子の母親がそう聞いて来たので、ここは正直に話してみるか?と、思ったので
「えっと……実はあの国に好きな人がいて、その人に会いに行こうかと」
「まあ! そうなんですの? 会って告白しに行くのですね?」
「まあ……そう言われればそうなんですけど、けど、条件があって、一度、セレンディア王国に連れて行かなければいけなくて……それに……」
「それに?」
「えっと……その好きな人に子供がいるみたいなんです……」
「そ、そうですか……では、その方はもう既に結婚されているんじゃないですか?」
「そうかも知れないです……」
う、言ってて悲しくなって来たぞ……一体誰だ!? 彼女を孕ませやがったのは?
前にバイトールの協会で見つけて、彼女の隣の子供……確か……髪の色が黒かったが……もしかしたら……いや、そんな筈はない。俺の思い過ごしだろう……そんな事を考えていると
「ネムさん、魔物です!」
リックがそう言って来たので、俺は馬車の外に出る。
馬車の外に出てみると、そこにいたのは、犬の魔物のファミリーウルフと呼ばれている魔物だった。
このファミリーウルフと呼ばれている魔物は、動きが素早いがそれほど攻撃力は強くなく、攻撃方法は噛み付きと引っかくだけなのだが、こいつには仲間を呼ぶ大声があるので、俺は、仲間を呼ばれる前に倒す事にした。
俺が使えるのは、光属性なので、剣に光属性を付与させて、攻撃する。
俺の攻撃があっさりと貫通し仲間を呼ばれる前に、ファミリーウルフを倒す事に成功した。
ファミリーウルフはたまにドロップアイテム、ウルフホーンと呼ばれる物を落としていくのだが、今回はそのウルフホーンは、無いみたいだった。
「リック、他に魔物がいるかどうか、解るか?」
俺がそう聞くと、リックが
「そうですね……見た感じ、この一体だけですね、ネムさん、ありがとうございます。また魔物が現れたら、退治して貰っていいですかね?」
「ああ、また現れたら、知らせてくれ」
「解りました、では、馬車を進めますね」
「解った」
そう言って俺は、馬車の中に乗り込む。
馬車に戻ると
「お兄さん、強いんだね?」
「魔法も使わないで、剣技だけで倒すとは……凄いですね」
「いや……それほどの事でもないな」
確かにファミリーウルフは、動きが素早いので、剣技だけでは倒すのは難しいのだろう。けど俺は、これでも勇者だからな? さっきのファミリーウルフの動きは完全に読めていたから、仕留められたって事だ。とりあえず……魔物は倒したので、他に現れなければいいが……と思っていたが
次に現れたのは、イナズドリだった。こいつは鳥の魔物なので、飛行しているから、剣じゃ当てにくいと思っていたら、リックの嫁さんが「私、これ……使えるんです、ファイヤーランス」と唱えて、イナズドリに命中、イナズドリが落ちた所に、俺が剣で切りつけて倒す事に成功した。後で聞いてみると、このリックの嫁さん、元火属性の魔導師で、魔導師を辞めて、リックに嫁いだんだとか。成る程……物を運ぶのはリックで、魔物退治とかが奥さんが担当していたって感じなんだな……そりゃそうだな、国の外には、魔物がいるから、ある程度は護衛できないと、商人なんかやってらえないしな……
それ以降、魔物が現れる事なく、何とか無事にバイトール王国に辿り着く。
リック夫妻にお礼を言ってから、俺はこれからどうするか考える。
まずやる事は、この国にいる彼女を探す事。彼女に一緒にセレンディア王国に来てもらって、王様に会わせると言う事なんだが……、これからどうすればいいんだ?
まず、彼女が何所にいるかが解らないしな? 銀髪の髪をしているから、この国では目立つと思うから、そうだな……まずは、人の多そうな所から探す事にしてみるか……
そう思った俺は、この国で、彼女、ナナを探す事から、始める事にしたのであった。




