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会社の上司を悪役にした異世界ファンタジーを書いていたら、読者が社長だった  作者: エール


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美香の指摘 (現実)

(現実世界)


 レイの『真の主』であるイクアスク王は、当初、『ミッカイドー国王』という名前で、国の名前は『ミッカイドー・シマントー王国』としていた。


 そして掲載する前に、自信満々で、俺の部屋に来ていた美香に見せたところ、


「その名前は絶対にやめた方がいい」


 と言われた。


「なんでダメなんだ? コミカルでいいと思うけど?」


「だって、これだと『シーマウントソフトウエア』っていう会社の『二階堂社長』がモデルって、見る人が見たら一発でばれちゃうよ。会社名と社長名ぐらい、まったく関係無いものにした方がいい!」


 と言われてしまった。


 そこで引っ張り出してきた名前が、昔ラノベで使った名前、『イクアスク王』と『リエージェ王国』だった。


 イクアスク王の正式な名前は、『イクアスク・ウル・リエージェ』とした。


「……えっと、それでいいと思うけど……イクアスクってどこから来たの?」


「アナグラムだよ。語源は秘密」


「ふーん……ま、いいか。『ウル』は?」


「アニメ映画のオマージュ」


「……ちょっと危険な気がするけど、まあ、そのぐらいならいいかな。じゃあ、『リエージェ』は?」


「ああ、それは、ファンタジーっぽい名前が浮かばなくて部屋の中を見渡してたら、たまたまティッシュの箱が目に付いたんだ。それに書かれていた名前の頭をとって、語尾をちょっといじくって、その名前にした」


「……聞かない方が良かったかも」


 美香がため息をつくが、名前を決めるときというのは、意外とこんなものだ。


「えっと、あとは営業部とか、パッケージソフトとか、クラウドとか……まあ、これは一般的な名前だからいいのかな……まずバレないでしょうし、バレたとしても問題になるような事は書いていないし……」


「……バレるって、誰にバレるんだ? もう優美は知っているんだろう?」


「その優美ちゃん、エージェントの話は聞いてないんでしょう? いいの、社長と二人だけで会った、なんてことを臭わせて」


「別に二人だけってことはなかったし、備前専務のときにそうだったんだから、変に勘ぐられることはないとおもうけど。それに、ちょうど幹事の話もあったし」


「そう、それよ! いきなり私とツッチーと風見君が会社の忘年会の幹事って、どういうこと? ……って、この三人がエージェントの話を了解してるからよね……」


「そうだな。これをうまく利用して人脈を作れっていうことなんだろうな……正直、面倒な事になったな……去年の参加者、800人って言ってたっけ?」


「そう。最初、優美ちゃんは『自分だけ選ばれていない』って拗ねてたけど、その人数聞いて、『選ばれなくて良かった』って言ってた。会場手配したり、送迎のバスを準備したり、ゲームや出し物、演出考えたり、まあ、新入社員には荷が重いね……私達にも荷が重いけど。毎年、二年目、三年目の社員の中から幹事が選ばれてたから、仕方ないんだろうけど……えっ? ひょっとして物語の中の『討伐記念パーティー』って、この忘年会から発想を得たの?」


 美香は驚いたように俺の顔を見た。


「ああ、その通り。ゲストと幹事っていう差はあるけどね」


「……呆れた。何でもネタにするのね。うん、もともとツッチーの物語には極力口を出さないつもりだったから、国王の名前と国家の名前意外はそれでいいと思うよ。その二つも、変えたもので問題ないと思う。それで、今後の展開はどうなるの?」


「まだ決まっていない」


「……えっ?」


「だって、各部署の部長達と会ったこともないし、これから余興の打ち合わせとかなんとか言って会うつもりだから、モデル像も決まっていないし」


「いいの? そんな行き当たりばったりで」


「まあ、趣味で書いているし、その方が先が読めない展開になるだろう?」


「そりゃあ、作者が先を分かってないんだもんね……心配……」


「そこは『楽しみ』って言って欲しかった」


 俺のそんな冗談に、美香は苦笑いを浮かべていた。

※土屋は未だに社長が自分の小説を読んでいることを知りません。


※美香も社長に口止めされており、教えていません。


※今は物語の転換点であるため大きな動きはないのですが、事件勃発までしばらくお付き合いいただけましたら幸いです。


※引き続き、評価やブクマ登録、感想などを頂けますと、ヒロインや同僚社員一同と共に大喜びいたします。

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