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会社の上司を悪役にした異世界ファンタジーを書いていたら、読者が社長だった  作者: エール


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腹黒 (創作、現実)

 アイザックを含めた俺達が、美女数人の接待を受けてにやけていたフトシをジト目で見つめていたところ、それに気付いた彼は、目を見開いて立ち上がった。


 そして数秒後、いきなり泣き始めた。


「おおうっ……うぐっ……み、みんな……生きていてくれたか……」


 余りの豹変ぶりに俺達の方が戸惑ったが、とりあえず店員の女性達に席を外してもらい、代わりに俺達が席について、これまでの経緯を聞くことにした。


「私は、パワハーラ……財前専務の得体の知れない攻撃を受け、気がつくと、この街の入り口付近に立っていた。訳が分からなかったが……しばらく待っていれば、みんなもやって来るに違いない、と希望を持って、そのまま立ち尽くしていた。しかし、いつまでたっても……深夜になっても、夜が明けても、誰も来ない。私は直感した……みんな、殺されてしまったんだと。なぜなら、生きていたなら、助けにきてくれるに違いない、とも思っていたから……」


 その言葉を聞いて、俺達は


「生きているんだったら、今日は疲れているから、助けに行くのは明日でいいや」


 と、全員宿屋で寝てしまったことを思い出し、ちょっと気まずくなった。


「ヤケになった私は、その場にふて寝した。そして目を覚したら、警備兵に取り囲まれていて、不審者として警察署のようなところに連れて行かれた。身分を問われても、上手く説明できない。アイザック殿の名前を出したら、余計に怪しまれた。保釈金を要求され、言われるがまま金を払うと、ようやく解放してくれた。ヤケになった私は、この酒場で朝からヤケ酒を飲み始めた。店員は、金を持っているのか、といぶかしがったので、いくつかの魔石を見せると、目の色を変えた……どうやら、妖魔を倒した後に得られる魔石は、ものによっては我々の世界に言うところの宝石並の価値があるようだった。店員達は態度を一変させ、先程の美女達を付けてくれた。それで……なんだか楽しくなって、飲めや歌えやの大騒ぎをしてしまったんだ……」


 まるで左遷されたオヤジのヤケ酒だった。


 そして現時点で使った飲み代が、五十万ゴルドを超えていることに、唖然としてしまった。

 共同で稼いだお金や魔石を、一応、課長代理ということで預けていただけなのに……。


 俺達は、フトシがトイレのために席を外したときに、今後について話し合った。


「どうする? 俺達の金、使い込まれてしまってるぞ」


「……まあ、すぐに助けに来なかった私達も悪いんだけどね……」


「そもそもあの人、まるっきり戦闘向きじゃないですし……もうパーティーから外れてもらってもいいんじゃないでしょうか」


「そんなの、可哀想です。私はお世話になっていましたし……」


「そうだな、フトシさん、なぜかユウにだけは優しかったんだよな……いや、全体的に俺に厳しかっただけか」


「皆、よく考えてみよ。あの者、ああ見えて他にはない特徴を持つぞ。商人ゆえの運の良さはずば抜けておる。魔石のドロップ率は高いし、強制左遷命令(バシルーララ)を受けて、この接待の街、カンラク・ガイに辿り着くなど、普通はあり得ぬ。生命力も異常に高いしのう……」


「確かに、生命力や運はすごい……最初に受けたのも即死魔法じゃなかったし。……そういえばあの人、なぜか最初に攻撃受ける事、多くないか?」


 俺のその問いかけに、みんな目を見開いた。


「……そういえば……なんとかヤマネコのときも襲われたし、イヤミー岡田の時はヘリクツで防いでくれたし、パワハーラはなぜか真っ先に直撃されたし……それでも生命力が高いから、平然と生き残っているね。今回使ったお金だって、魔石のドロップ率が高ければ、すぐに取り戻せるでしょうし……」


「だったら、パーティーの盾として、あと魔石ドロップ要員として、一緒にいてもらった方がいいんじゃないかな」


 俺がそう提案すると、全員、


「まあ、居てくれた方がいいかもね」


 という表情で頷いてくれた。

 そしてフトシがトイレから帰ってきたときに、シュンが笑顔で、


「フトシさん、俺達すぐに助けに来られなくて、すみませんでした。ここでの飲み代は、俺達からのお詫びということで、全額支払います。また一緒に旅をしましょう!」


 と調子の良いことを言い、みんなもそれに同調した。


 フトシは涙を浮かべながら、


「すまなかった、ありがとう!」


 と何度も言いながら、全員と握手をしたのだった。


 こうして、俺達はまた(見かけは)一丸となって、打倒パワハーラを目指し、まずはレベル上げを兼ねたパワハーラの手下討伐と、情報収集の旅に出発することになったのだった。


**********


(現実世界)


『投稿者:カワウソ 20歳~25歳 女性

 フトシさんもフトシさんだけど、ヒロさんをはじめとした他のメンバーも、結構腹黒いですね(笑)。でも、現実味があっていいかもしれません。ユウちゃんだけは純粋そうですが、実際は、結構小悪魔だったりするかもしれないから、気を付けないといけないかもしれませんね(笑)』


『投稿者:ゆうみん 20歳~25歳 女性

 お久しぶりです! 今回のお話、ちょっと大人の人達って怖いなーって思いました! 私の大好きなユウちゃん、最近ミキさんの活躍で影が薄くなってきているので、また頑張ってほしいな、って思っています。個人的には、ヒロさんとくっついてくれると嬉しいな、と思っています。あと、私が一番好きなのは、実はヒロさんだったりします!』

 

 この日、女性読者から立て続けに感想が届き、土屋は大満足だった。


 そして、『しょーもない』と思っている自分の小説に、意外と女性からの感想が多いことに、少し違和感を感じながらも、素直に喜んでいたのだった。

※次回、現実世界にて、実は優秀なプログラマーだった土屋が、あるパワハラによりダメ社員に堕ちてしまった経緯を書いていきたいと思っています。

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