イベントの後1
「有り難うございます!」
二人で荷物を運んで、一旦は私の家で大物預かり
りっちゃんのおかげで、綺麗になってるし
逆にハンガーラックがあると、今ある売り物を並べられていいかもってことで
実質、預かるというより使わせて貰うことになった
「ユキちゃん、あのね」
りっちゃんが、エレベータに乗ろうとする私をくいっと引っ張った
りっちゃんがこういうことする時って
何か思いついた時なんだよね
高校の時、一緒に帰った時、
ユキちゃん、あのねっていって、私を細道に案内してくれた
傾斜角度のきつい坂道、
頑張って、もうチョットという声に励まされながら
はぁはぁいいながら、うつむき加減で進んで
もう着くよと言われたところで顔を上げると
目に飛び込んできたのは、大きな桜の木だった
満開までには、少し早くて、7分咲きぐらいだったけど
枝振りが良いし、青空にぽつんと映える淡い桜色が
まるで別世界のようだった
「昨日ね、坂の下歩いてたら、桜の花びらが落ちてきて
どこからかなって思ったら、ここだったの」
にこにこと笑うりっちゃん
私なら、どこだろーってきょろきょろして終わっちゃうけど
こんな所まで、探し出すのはりっちゃんだよね
その時は、凄いすごい、綺麗だねって
それから、桜が散るまで、はぁはぁいいながら通ってた
だから、りっちゃんが、こう言うときには、
良いことがあるに違いないんです
「なぁに?」
ちょっと嬉しさを隠しきれない声になっちゃったけど
まぁいいよね
きっと、良いことだもん
「兎の穴行かない?」
そう言ったりっちゃんの目は楽しそうに揺れてる
篠山さんも、ん?という顔で私たちを見てる
兎の穴、そう言えば、明日から展示開始だよね
今日なら、見せてあげられるかもって言ってたもん
それ、いいよ、りっちゃん、絶対行きたい!
「うん、行きたい!」
私がそう言うと、りっちゃんは力強く頷いた
「どこに行くの?」
一人置いてけぼりになってる篠山さんがそう聞いたので
私たちは、こう答えた
「「兎の穴!」」
そう言ってくすくす笑う私たちに
篠山さんは、まったくもぅという顔で笑って
「楽しそうだから、着いて行ってもいい?」
そう聞く篠山さんに、どうしようかねーなんて
言いながら答は決まってる
「もちろんいいですよっ」
ってね、篠山さんは、靴選びでも思ったけど
センスあるし、友達思いのいい人
「でも、ご友人の所には良いんですか?」
そう聞くと、即座に頷いて
「イベント自体は、15時終了だし、
そこから食事してってことで、
17時予定にしてるからね
実は、まだ時間あるんだ」
そう言って、笑う篠山さんに、私たちも笑いがこみ上げて来た
ホントに、篠山さん、あの二人のこといやだったんだ
私たちには、こんなに簡単に付き合ってくれるのに
あの二人が、頼み込んでも、甘えても
うんって頷かなかったのは嫌だったってことだよね
そう思うと、尚更嬉しくなってきた
疑ってごめんなさい
それと、有り難うございます
篠山さんの車で、兎の穴の近くまで移動して
お店に入ると、ちょっと似合わない
イベント会場でも思ったけど、女の子集団の中に男の人って
結構違和感があるのかも
篠山さんって結構格好いいけど、やっぱり、
似合わないものは似合わないよね
そんな中でも篠山さんは、自然体
私なら、びくびくしてそうだし、こうやって周りが気になっちゃう
「あら、いらっしゃい
丁度出来たところなのよ」
そう言って、店長さんが出てきた
今日の耳の色は黒色だった
「黒兎」
私がそうぽつりと呟くと
「影兎なんだけどね~、やっぱり黒兎よね」
そう言って笑う
影の住処でのお店番だからかな
「さっいらっしゃい」
そう言って、縄のれんをくぐって
影の世界へ
そして、そこに広がっていた世界に
私たちは、息をのんだ
昨日今日とイベントをして、それなりに
自分たちらしい飾り付けが出来たと思うのに
このお店に入ると、全てが違って見えた
兎の影がみつめる、私の服
私の服は、影から飛び出して来た雰囲気
私はどこに行くのかな?
そう思って、世界を追うと、
きらびやかなりっちゃんのアクセサリーの林を抜けて
人が沢山いる場所へと向かってる
それを見て、久々にずきんって心が痛んだ
服装は女の子用だけど、竜の国の人の数と同じ人数
長い重ねのロングスカートは、ブロージュさん
黒と白のコントラストが綺麗なのは
作った時のイメージと変わらず、
こくたんちゃんとはくじちゃん
みんなのイメージと、あやめちゃんが考えてくれた服だったり
はくちゃんが裾にお絵かきしてくれたりって
一杯いっぱいみんなで作ったもんね
会いたいな・・・
でも、会えない
解ってるよ、うん、もう無理なんだよね・・・
きっと・・・
「ユキちゃん、凄いねぇ」
その一言で、私はハッとなる
向こうを思い出すぐらいの世界観
私の影は、竜の国だったのかなぁ
「うん、凄い、凄すぎて・・・」
そう言った途端、ぽとんと涙がこぼれた
「思い出しちゃった?」
そう言って、ぎゅっと抱き締めてくれたものだから
私の涙は引っ込むどころか、更にこぼれて来た
篠山さんと、店長が囁く声が聞こえる
楽しそうなその雰囲気に、こんなお店作りたいって思えた
だけど、心に残るこの寂寥感と罪悪感
それに郷愁をどうしたら良いんだろう
もう、考えても仕方ないって頭では解ってるのに
映らない鏡、帰れない世界なのにね
今日はお出かけして、全然書けてません、こまったものですね!逆境こそ我が境地なり!とか言ってごりごり書きますよー、上手くいけば、今日中に237ぐらいまでいれるはずだよね!では、今日の15分メニュー、ごはん、牛肉と、しめじの甘辛炒め、胡瓜の漬け物、小菜の胡桃味噌あえ、てんぷら(ねりてんのことです)、レタスとかにかまの酢の物以上!しかし、私は別メニューのうどんです、うまー!では、また明日!




