みんなとの再会３

よしよし、と頭を撫でて、

ちょっと、嘗められて、慰めてくれるあやめちゃんだけど

なんか、頭一個分高くなってませんか

「ん？どうしたの？」

にこりと笑う視点が、ちょっと高い

「背・・・伸びた？」

そう聞くと、こくりと頷く

ちょっと、はにかんだのが可愛い

よかったぁぁぁぁ、みんなして

ワイルド系になっちゃった訳じゃないよね

いきなり、たんぽぽちゃんに跳び蹴りとかしないよね

「随分とお急ぎでしたが、よろしいのですか？」

あ、すっかり忘れてた

急いだ理由

「紫の木の種さ、いきなり根っこ出たぜ」

ときわちゃんが、笑いながら差し出す

あれ、いつの間に持ってたんだろう

「これはこれは・・・」

ぴくりっと、反応して、またしても、

ぴょんぴょんと跳ねて中に入るおじぃさん

もう、元気過ぎて、おじぃさんって言ってるのが悪い気がする

ま、いいか、本人前にして呼ぶ訳じゃないし

「中、行こう」

あやめちゃんが手をとる

そして、あ、という様に、たんぽぽちゃんをみる

「おかえり」

にこりと笑って、ぎゅっと抱き締める

「うん、ただいま」

ああ、よかった、穏やかだ

「ちょっと、でかくなりすぎだよ」

「んー、まだ成長期だから、まだまだ伸びるよ」

あれ・・・穏やか・・・だよね

「いこーいこー」

私の反対の手を取って、ときわちゃんが引っ張る

連動してあやめちゃんが引っ張られる

「ま、いいや、行こう」

と、たんぽぽちゃんの手を取る

うーん、なんか、みんな若干喧嘩っ早くなってない？

仲良くしてて欲しいんだけどなぁ・・・

中にはいると、長と籠

みんな並んで、お出迎えしてくれた

「こんにちは」

私たちが挨拶すると、にこにこと返事を返してくれる

さっそく私は乗り込んで、種植え開始

しかし、ほんと、早かった

１カ月ちょっと・・・だよね

世界の均衡がとれたから、とか関係あるのかな

ぽちょんと４人で投げ入れて

相変わらず怒濤の勢いで生える

よしよし、大きくなれー

今回はみんなの笑い声はないけど

なんか、キラキラしてるような気がする

「精霊の加護、すごいですわ」

紫竜の子が、遠くから感嘆の声を上げる

近付かないのは、たんぽぽちゃんと、ときわちゃんがいるせい？

「精霊の加護？」

私が一人、彼女の傍に行くと、嬉しそうに近付いてくる

うん、これは、絶対２人の所為ね

同じ種族のあやめちゃんを嫌がることはないと思うし

そんなに嫌なものなのかしら

恥ずかしい・・・とか可愛い理由だといいけど

確信を持って違うって言えそうだもん・・・

それにに、ルアンさんも、ヴェルデさんも

降りてくることはないし

会おうとすることもない

ふぅ、こっちの常識非常識・・・

ちょっと辛いよねぇ

「精霊が、喜んで力を貸してくれたのよ

　祝福を受けた状態ね」

ころころと鈴が転がるような鳴き声を立てて笑う

きらきらと輝いてるのは、気のせいじゃないのね

「精霊さんたちが、力を貸すと

　光るの？」

私にとってそれぐらいにしか見えない

「んー、そうね、目に見えて解るのは

　それくらいかもしれないけど

　この木はとても強い木になるわ

　今も、精霊たちが集まって来てるもの」

うーん、また解らない話シリーズかしら

「精霊はね、力の全てなの

　生き物のように見えるけど、彼らは生き物じゃない

　意識を持った力なのよ」

えーと・・・

駄目、上手いたとえが思いつかない

・・・はっお化け？お化けみたいなの

ううう、そう考えると妖精がホラーになってきたよ

「その説明だと、駄目だと思うよ」

あやめちゃんのあきれた声

「何よ」

あれ、ここもなんか仲悪い

ちょっと険悪モード？

「精霊は、いいものだよ

　だから、良い贈り物をくれたの

　元気になれ、大きくなれってね

　その願いがあるから、

　今も精霊たちが集まって

　その願いを叶えようとしてるの

　愛された証拠なんだよ」

あ、それなら解るかも・・・

私が、明らかにほっとして、

嬉しそうな顔をしたから

紫ちゃんが、ちょっとむっとした

「なんか、変な説明ですわ」

ううう、兄弟喧嘩勃発

ここでもですか・・・

「ごめんね、竜の常識が分かり難いの」

そう言って謝ると、慌てて紫ちゃんが首を振る

きゅっと抱き付くから、そっと抱き合えすと

後ろから不穏な気配

「勝手に触らない、触らせない」

そう言って、べりって感じに剥がされちゃった

うーん、いいのに女の子なのに・・・

「じゃ、またね」

そういって、紫ちゃんは、違う部屋に消えてった

「もー、匂いつくじゃん」

ぎゅっと抱き締められて、思い出す

「ごめん、忘れてた」

ぽろりとでた言葉に、は？という顔をした後

にこーっと、笑って言った言葉

「忘れられないよう、毎日マーキングしようか？」

顔は笑顔なのに、目が笑ってない

あやめちゃん、怖いですよ、ハイ

おかーさんちゃんと覚えておきます