『二十六人』の母親 (3)
「『二十六人』が、『肉屋の息子』への御見舞いツアーを主導したら、
今度は、『二十六人』自身が癌になってしまった」
そう言って、『情報通』が涙を浮かべた。
話はズレるが、
『桜を見る会』とまでは言わ無いけど、
自民党の議員に投票するのなら、
せめてバスツアーくらいの利益供与を受けないと。
まあ、私も、この御見舞いツアーには、
招待して貰え無かったんだけどね。
一応、言い訳しておくと、
この時は、
地元を離れて二十年くらい経っていたから、
県議選の選挙権が無かったんだよ。
ただ、
癌○病院から歩いて2〜3分の所に住んでいた。
話を戻すと。
その『二十六人』が亡くなった話は、
以前に『情報通』から電話がかかって来て、
知っていた。
その時は、
「皆、お前に会いたがってる。同窓会に出て来いよ」
と言われたけど。
地元に住んでもいないのに、
高が同窓会のためだけに、『実家ヘ戻れ!』と言われても。
引っ越し後の家に帰っても、
懐かしさなんて感じないんだよ。
それに、
中学の時は、あれだけ嫌われていたのに、
今更、「会いたい」と言われても。
卒業アルバムとか、
一緒に撮る相手を探さなければならなくて、
苦労したのに。
そもそも、
それだけ嫌われていたら、
私が会いたい人なんて、いないんだよ。
「夢が壊れるから、会いたくない。
もう、
あの頃とは、別人に成っているだろ?
俺は、今でも、底辺不良中学の夢を見るんだ」
私は、
そう言って、同窓会の出席を断った。
底辺不良中学の夢、
これはね。
本当に、よく見るんだよ。
それに対して、
T大の夢は、
ほとんど見ない。
偶に見てもね。
舞台はT大のキャンパスなのに、
登場人物が、
底辺不良中学の連中だったりするんだよ。
第四話で書いた様に、
「Nの息子がT大に受かった」と聞いた後、
(そう言えば、夢の中ではT大にNが居たな?)
と思った。
結局ね。
私は、
根っからの底辺コースの人間なんだよ。
まっ、文章力から判ると思うけど。




