弱い奴ほど、強さに憧れる
「△△(注、私の苗字)!
コイツを止めてくれよ!」
このキャプテンの一言で、
その場に居た全員の視線に、
私は曝されてしまった。
バスケットの試合をしていたのだから、
十人位いたか?
皆、敵を見る様な目で、私を見ている。
何も悪い事をしていないのに。
話はズレるが、
【集団的自衛権】に賛成しちゃう人って、
子供の時に弱っちかったんだよな。
だって、
日本なんて、
世界第三位の経済大国で、
かつては、
世界で最も発展していた国なんだぜ。
小国の争いに巻き込まれるのに決まっているだろ!
私なんか、
どれだけ無関係の争いに引き摺り込まれた事か!
現に、
どうでも良い湾岸戦争でさえ、
日本は、
九千億円も支払わさせられたじゃないか!
しかも、
現実の世の中では、
大国の利権誘導のために、
小国同士で小競り合いを演じさせられている。
現在の日本は、
一応、巻き込まれる立場だが、
このままのペースで【衰退】して行くと、
ニ〜三十年後には、
下っ端に成り下がり、鉄砲玉を任される事に。
まっ! その時、私は、この世に居ないから、
関係無いけど。
話を戻すと。
私は、
周囲の視線に耐えられ無かった。
傍観者で居たかったのに。
そこで、私は、保身に走った。
キャプテンを見捨てて。
「▲▲(注、キャプテンの苗字)!
今は、バスケットの試合中だ。
バスケットをやれ!」
私が、そう言うと、
厳しい視線が一瞬にして消え、
全員が大きく溜息を吐き、
無関心になった。
笑顔が戻り、
何事も無かった様に、
各人が、思い思いの事をし始めた。
『特徴の無い人』でさえ、
キャプテンへのタックルを止めてしまった。
誰にも相手にしてもらえなくなったキャプテンは、
「理解ったょ!
バスケットをすれば良いんだろ!
その代わりに、
試合後は、
俺が何をしようが、
誰にも文句は言わせないぜ!」
この言葉にさえも、
反論する人間がいなかった。
何で? 全てが私の肩にのしかかるんだよ?
いきなり、
勝手に全権を委任されても、
迷惑なんですけど。
この時、私は、よっぽど嫌そうな顔をしていたんだろうね?
『どうやって? 日本を衰退国に変えたのか? 〜 教育編』の第十六話で書いた、
高校生の私に求人の依頼をした開業医の息子が、
慰めに来た。
なんか?
私がキャプテンにイジメられた?
みたいな扱いになって。
大体さぁ、
『特徴の無い人』が、
しゃしゃり出て来たのだから、
正義の味方に全権を御願いすれば、
良いじゃんね!
その『特徴の無い人』だが。
その後、
やはり高ニの時、
高校全体で映画を観に行った事が有った。
『二十歳○原点』を。
宇○宮女子高を、
自殺で有名にした作品だ。
映画を観終わって、
自殺した主人公を、私がボロ糞に貶したら、
それを、
真剣な表情で、
『特徴の無い人』は、聴き続けてくれた。
それからニ〜三年後に、
彼は自殺したそうだ。




