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【資本主義社会】における人生とは、こんな物

 私が通っていた底辺不良中学では、

個人事業主の子供が多かった。


 農家は居ない。

農地は、

高度経済成長期に、

住宅用に売られたか、

場所が良い所は、商業施設に貸し出された。


 私が住んでいた地域は、

準工業地帯だった。

戦前は、

村の外れの超田舎だったんだけど、

戦後、

県庁所在地と合併すると、

中心部に近く、土地が安いため、

多くの零細企業が進出した。

高度経済成長期になると、

その小さな工場の周りに、

住宅が出来た。


 私の家の隣は、

木工所だった。

隣の作業場から電動ノコギリの音が聞こえて来て、

恐かった。

昔の映画やドラマで、

主人公がピンチに陥る、あの回転式のノコギリだ。


 でも、

それらの町工場で現存している物は無い。

『チョンキー』の家も、

その一つだ。


 その家の跡地は、

現在、

大型スーパーの『ヤ○コー』に成っている。

もし、仮に、

『チョンキー』が持っていれば、

彼の資産は、

十億円どころか、百億円コースだった可能性が。

『ヤオ○ー』に成るくらいだから、

太い道路に面していて、

敷地も広い。


 そして、

何よりも、場所が良い。


 私が通っていた中学は、

隣に国立大学の附属中学が並んでいたから、

底辺不良中学のレッテルを貼られてしまった。

その附属幼稚園、附属小学校、附属中学が近くに在るため、

後に教育熱心な御家庭に人気が出て、

『チョンキー』の家の辺りは、

高級住宅街と成った。


 資産が百億円有れば、

年利1%で運用しても、

年収一億円。

ハイ!

一般家庭出身者が、どう足掻いても、

対抗出来ましぇん。


 だから、

資産が十億円無いのに、

【共産主義】を否定しちゃう人って、

【現実を受け入れたくない人間】と、

評価されてしまうんだよ。


 ついでに、

もう一人、残念な人が。


 『みっちゃん』は、

私の家から20メートルくらい離れた、自動車修理工場の子供だった。

彼とは、

私が中学ヘ入学するまで、

遊び続けた。

私が小六の時、彼は中二。

でも、

もう一人の遊び相手は、

高一。

つまり、

小六、中二、高一の三人で遊んでいた。

ただ、

私は小学生だったので、

何の違和感も感じていなかったが。

背も、

私が一番高かったし。

中学へ入学すると、

彼等とは、

一切、付き合いが無くなった。

彼等が、

『底辺不良中学には付いて行けない人種』である事に気付いた。


 その『みっちゃん』は、

中学を卒業すると、

高校には進学せずに、

蕎麦屋で出前の仕事をしていた。

お父さんが、

亡くなってしまったらしい。

そして、

二十歳を過ぎた頃、

自動車修理工場跡地にマンションを建て、

その一階に蕎麦屋を開業した。


 『みっちゃん』の蕎麦屋が登場すると、

地元では、

或る噂が囁かれた。

前話の、

「今年は景気が悪いから、お年玉を貰うな!」

と言われた奴の実家の蕎麦屋が、

潰れるのではないか? と。


 『みっちゃん』の蕎麦屋は、

味が良かった。


 【中卒】で修行しているから。


 それに対して、

倒産の危機に陥った蕎麦屋は、

元競輪選手が経営者。


 【どんな分野でも、

若い時に努力した人には、敵わない】


 話はズレるが、


 「何故? 勉強する必要が有るの?」


 と、

子供に聞かれたら、


 【どんな分野でも、

若い時に努力した人には、敵わない】


 と答えておこう。


 話を戻すと。


 元競輪選手の蕎麦屋を救ったのは、

競輪だった。

『みっちゃん』が競輪に狂ったらしい。

マンションも手放してしまったそうだ。


 【中卒】資産十億円コースだったのに。


 【資本主義社会】では、


 『資産』 > 『学歴』


 を、

実証出来たのに。



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