「俺はお前が嫌いなんだよ!」 (1)
高三の時だった。
『イケメン君』と同じクラスになった。
『イケメン君』とは?
この直後に、
地元の女子高生達に、
「カッコイイ!」と騒がれた奴だ。
私が通っていた底辺不良中学は、
地元じゃ、
評判が頗る悪かったんだけれど、
私の学年は、
「男がカッコイイ!」で、
話題となった。
何人かの奴が、
「カッコイイ」と有名になったんだけれど、
たぶん、
最後に人気が出たのが、
この『イケメン君』だ。
コイツは、
少年っぽい、甘いマスクだったからね。
元々、大人になった方が、女性受けするタイプだったんだけれど。
底辺不良中学に馴染む様な奴では無かったんだ。
だって、
コイツ、
底辺不良中学なのに、
中二で、英検二級とか、受けたんだぜ。
もちろん、落ちたけど。
ちなみに、
この時代の英検では、
準一級と準二級が無く、
最低ランクが四級だった。
そして、
部活には、
所属していなかった。
底辺不良中学だったので、
「男は運動部」
が常識だったのに。
ただ、
この時は、
戦後の平和教育の時代だったからね。
「中学生は、どこかの部活に入らなくてはならない!」
とか、
【学校に依る強制】は、基本的に無いんだよ。
ついでに、
底辺不良中学の真面目な奴等は、
中三になってから、
英検三級を受けた。
試験会場が隣の附属中学だったからね。
近くて楽だったんだ。
もちろん、
私は受けていない。
彼等が附属ヘ行って、
無人化した校舎で、
『結婚詐欺師』と、こっそり会っていたんだ。
『結婚詐欺師』とは?
それから三十九年後に、
テレビを觀ていたら、結婚詐欺師として登場した女だ。
その前から、
愛人が二人死んだりして、
(注、配偶者は生きていた)
『警察にマークされている』のは、
知っていたけど。
そんな、ウルトラパーな女だったので、
天下の嫌われ者の私とも、
付き合ってくれたんだ。
でも、
英検を受けなかった事が、
担任の女教師の逆鱗に触れてしまい、
事ある毎に、
圧力を受けた。
その女教師は、英語の教師だったんだ。
でも、
実力は無い。
話はズレるが。
第十話で書いたAが、
授業中に質問した事が有ったんだ。
「英語の『class』は、日本語の『クラス』の様に、
『階級』という意味が有るんですか?」
この質問に答えられ無かったので、
その女教師は、
わざわざ師匠の所に聞きに行って、
答えた。
姿勢としては誠実で、十分信頼に値するんだけれど。
中学の時は、
何とも思わ無かったが、
高校ヘ入って、
ちょっと勉強したら、
(何故? こんな簡単な質問に答えられない!)
話がズレまくったので、戻すと。
その『イケメン君』とは、
小学校の頃から知り合いだったけど、
同じクラスになったのは、
高三の時が初めてだった。
それで、話し掛けたら、
最初に言われたのが、
「俺はお前が嫌いなんだよ」




