「『ぬう坊』がイジメられている!」 (9)
私は、
この教室に、突然、押し入って来て、
「『ぬう坊』をイジメるな!」
と、
クラス全員を恫喝したんだけれど。
(完璧な御都合主義だ!)
という事は、
理解していた。
私の認識では、
(このクラスに、普段は、主にセクハラをしに来ていた)
だったのだけれど。
(注、この時代に『セクハラ』という日本語は、御座いません)
ちなみに、
『pv0作家の密かな楽しみ』の第十三話で書いた、
『セクハラしようとしたら、相手の女の子を好きな男に止められた』話の舞台は、
このクラスだ。
その男は、
私を止めた事でヒーローになり、
その御陰で、
私に好印象を持ち、
近付いて来てくれた。
今、思うと、彼に止められた時に、
逆ギレして、
彼を半殺しにしてあげれば、良かった。
そのくらいの【非日常】を起こして、
【場を乱さ】ないと、
彼の恋を成就させるチャンスは、
生まれなかっただろう。
ただ、
私の、その娘に対するセクハラは、日常的だったので、
彼はチャンスを伺っていたのかも知れないが。
しかも、
【女は頭が良い】
からね。
その娘に、
それを見透かされていた可能性が高い。
でもね。
彼と仲良くなれたのは、
嬉しかったんだけど。
第八話で書いた、
『高校入試の試験会場で、トップ合格宣言』したのは、
コイツなんだよ。
本当! 止めて欲しいよな! 他校の生徒の前で、豹変するのは!
私の認識では、
私は、ただのセクハラ男だったんだけれど。
他の人達の認識では、
『私』 = 『暴力』
だった様だ。
中学を卒業して四十年後の同窓会で言われたよ。
「テストの答案が返却されると、
お前がやって来て、点数を聞かれ、
お前よりも良いと殴られ、
お前よりも悪いと、また殴られる」
(注、そんな事はしておりません)
その後に言われたのが、
「中一の時、なんで? 『隣の奴』をボコボコにしたんだ?」
ここで言う『隣の奴』とは、
この同窓会で、
この質問者の隣に座っていた奴だ。
被害者様御本人様の目の前で、普通? こんな事を聞くか?
中一の時に、
『隣の奴』を大怪我させて、
私の父が謝りに行ったんだけど。
父が亡くなる前に、
その時の事を聞いた事が有った。
私の父が謝罪すると、
『隣の奴』の父親が、こう言ったのだそうだ。
「ここまで完膚なき程に叩きのめされるとは!
私の息子にも、
何か? 悪い所が有ったに違い無い。
今後は、
どうか! 仲良くしてやって欲しい」
凄ぇよな! 戦前の教育を受けた父親は!
現代だったら、絶対に、こんな事、言わないだろう。
自分の大事な息子をボコボコにした相手に。
でも、
これを聞いた時は、
(一緒に謝りに行かなくて、良かった!)
と思った。
その理由は。




