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第721話 バッドエンドはいりません⑩ ―Ai side―




バシャーッ!! っと思いっきり水をかけられた。


「げほっごほっ! ちょ、ちょっと! なにすんのよ!!」

「………眠られたら困るんだよ」

「これぐらいの拷問、屁でもないだろう」


なんの表情も――いえ、嫌悪のこもった瞳で見下ろされる。


「はぁ!? 私は聖女なのよ!」

「それがどうした」

「なっ…!?」


どうして私がこんな目に遭わなきゃいけないの!?


「なんで私にこんな事するわけ!?」

「はっ」


こ、こいつっ!

鼻で笑いやがった!!


「サンチェス国王女に危害を加えた罪。それ相応に受けなきゃいけないだろ」

「なんであんなモブを庇うわけ!? 私はヒロインなのよ!? ラファエルに愛されるのはこの――きゃぁ!?」


バシッと鞭で叩かれる。

容赦ない男の一撃は、身体に痛み以外を与えない。

私の服までも裂いた。


「…いっっ……ふざけんじゃないわよ…!」

「当たり前だ。正当な罰だから容赦などしない」

「か弱い女に何すんのよ!!」

「「か弱い?」」


この牢に入ってきている男2人が、可愛くもないのに首を傾げる。

馬鹿にしてんの!?


「王太子の婚約者に化け物を嗾ける女のどこがか弱いか分かるか?」

「そんなの分かりたくもねぇよ。畏れ多くも王太子の名を呼び捨てる女の何処に惚れろと言うんだろうな」


2人の言葉にカッとなる。


「あんた達もモブなんだから、分かるわけないわよね! 頭悪いし、プログラムされた言葉しか喋るんじゃないわよ!!」

「………は?」

「プログラムが喋るかよ」

「………ぇ…」


何言ってんだこいつ、みたいな目で見られた。


「何? 俺ら機械だと思われてるわけ?」

「頭悪いなこの女」

「こんなバカ女に王太子が惚れるわけねぇよなアホらし」

「王太子は、サンチェス国王女にベタ惚れだもんなぁ」

「そうそう。改国の女神とまで呼ばれてるらしいぜ? この間街に飲みに行ったときに、噂聞いたぜ」

「マジか! でも納得できる二つ名だな! 王女は本当に国のことを、民のことを思う、まるで聖女のような方だもんな!」


勝手に盛り上がる2人の言葉に、苛立ちしか感じない。

あの女が聖女、ですって……!?


「ふざけんじゃないわよ!! 聖女は私よ! なんであんなブスが聖女なのよ!!」

「………ふざけてんのはどっちだよ」

「お前なんかが聖女と呼ばれるわけねぇじゃねぇか!」

「きゃぁぁぁああああ!!」


鞭を思いっきり振り下ろされた。

今までは、痛い、と思うだけだった。

でも今度のは全身に痛みが走り、床に倒れ込んだ後に、動けなくなった。

悶絶するしかなかった。


「はっ。他者を見下す女を聖女と呼ぶやつなんているわけねぇだろ」

「自分のためだけに動く。まさに腐った貴族と一緒だな」


言いたい放題言われて、言葉を発することも出来ずに唇を噛む。

それもこれも全部、あの女のせいよ!

ユーリア・カイヨウだったなら、絶対私になびくのに!

なんでバグってんのよ!

モブはモブらしく、すみっこにいなさいよ!

表舞台に立つんじゃないわよっ!


「王太子は本当に良い出会いしたよな」

「ああ。王太子と王女、互いに助け合ってて、幸せそうだしな」


その幸せは私のためにあるのよ!?

本当に、許さない。

ソフィア・サンチェス!

覚悟してなさいよっ!

ギリッと歯を食いしばった。


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