表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
702/740

第702話 マジュ国⑨




「リーリエ王女!」


私はラファエルに抱きかかえられたまま、運ばれております。

なんだこの羞恥プレイ……

何事かと皆に注目されている…

リーリエ王女は怪我人全てを治療し終えていたようで、座って休んでいた。


「まぁ!? ソフィア王女!」


………私を王女と呼ばないで……


「この怪我は!?」

「あの者に負わせられたのだ」


ラファエルは何も隠さずに顎で後方を示した。

その場にはラファエルの騎士に拘束されている聖女がいる。


「まさか……聖女が!?」


リーリエ王女は声を落とそうともせずに叫ぶ。

………いいのかそれで。

内密にした方が良いんじゃないかな……?


「あの者がマモノを操り、ソフィアを攫って怪我を負わせたのだ」


………ラファエルも隠そうとしない…

というか、聖女とも呼ぼうとしない…


「すぐに治療いたします!!」


リーリエ王女が回復魔法を使ってくれ、私の身体の怪我も痛みもなくなっていく。


「………凄いですわ……」


改めて便利な魔法だと思う。

この便利さに慣れてしまったら、すぐに治療してもらおうと思ってしまうかも。

怪我は自然に治すもの。

自分に言い聞かせておかないと。

便利さと自分の身体の頑丈さ。

どちらかをと言われたら、私は後者を選ぶ。

だって、ずっとマジュ国の者が近くにいるわけでもないし、自分の耐性も無くなっちゃう。

治癒力が衰えるのもよくないし。

免疫力無くなっちゃったら、毒耐性も無くなっちゃったら困る。

………実際、私狙われやすいみたいだし…

身体も強くなきゃ、すぐに命を落としてしまうかもしれない。


「ありがとうございます」


治療が終われば、私はリーリエ王女にお礼を言う。


「いえ……ご迷惑をおかけしましたわ。これから城へ行こうと話してたんです」

「城、ですか?」

「はい。この者達も住むところがすぐに見つかる保証はありませんので、一先ずは保護をと」

「そうですね……」


辺りを見渡せば、去る前と何も変わってはいない。

復旧には時間がかかるだろう。


「建造物に特化した魔導士も城にいますし、順次直していこうと」

「建造物に特化した?」

「はい。土や木の魔法が得意な魔導士主導の下に、復旧作業をするのです」


成る程。

私が土精霊ジン木精霊ジュリに頼むようなことがやれる人間がいるんだ。

いいね。

それなら民も早い段階で戻ってこられるのだろう。


「罪人のことも王に報告しなければなりませんし」


チラッとリーリエ王女は聖女を見る。

私達の話を疑ったりしないんだ……

ちょっと意外だな。

良く思っていなかろうとも、相手はこの国にとって大切なことには変わらないから、保留するのかと思ったのに。

庇うことはしないだろうけれど。

それはリーリエ王女だからかもしれないけどね。

ガイアス・マジュは庇いそうだ。


「では皆さん、少し歩きますが、頑張って城まで行きましょう」


リーリエ王女の言葉に民は素直に動き出す。

それを見てて思った。

――子供の数が少ない…と。


「………リーリエ王女。子供が少ない気がしますが……」

「………ああ、元々このくらいの数です。なかなか生まれなく…」


ガイアス・マジュが言っていたことと一致する。

やはり子が出来にくいのだろう。


「そうなんだ。なら、死者はいないのかな?」


ラファエルがリーリエ王女に聞くと、彼女は頷いた。


「はい。幸いなことに」


嬉しそうに笑うリーリエ王女に笑い返し、私達は足を動かした。

ちなみに、私は未だにラファエルに抱きかかえられたまま。

恨めしく見つめると、良い笑顔が返ってきたので諦めました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ