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第686話 進む③




カリカリカリ

私は現在机に向かっていた。

勿論、長期休暇明けの試験対策だ。

前回まさかの2位という、不本意な順位を取ってしまったために、猛勉強するはめになった。

2位ならよかっただろ?

ダメだよ!

今後一切気が抜けなくなったんだから!!

………1人突っ込み虚しい……

息抜きも兼ねて、ラファエルが北に行くって言うから、一緒に行こうとしたらダメって言われた。

それにムッとしてしまったのだけれど。

本当に私を放って行っちゃったし!!

私も見たかったのにぃ!!


「………もぉ…!」


バキッ!!


「………ぁ……」


ちょっと力を入れただけなのに、ペンが折れちゃった……

幸い、ラファエルが作ってくれた試験問題の紙にインクは飛んでない。


「前回みたいに真っ黒にならなくて良かった…」

「良くありません」


あ、怒った顔でフィーアに言われた。


「ドレスにかかってるじゃないですか!」

「………ホントだ…」


下に視線を向けると、ベッタリとペンのインクが広がっている。


「………ラファエルに貰ったドレスが……」


欲しいとは言ってないけれど、いつの間にか衣装部屋に増えていた。

まぁ、私の侍女とグルだろうけれど。


「これは落ちませんね…」


フィーアが残念そうにこぼした。

私も残念だ…

もう贈られてしまった以上、ラファエルに返却できるはずもなく、大事に着ていたのに……


「………またドレスが増えちゃう……」

「………そういう問題ではないですよ姫様…」

「冗談だよ」


汚してしまって着られなくなった、と言ったら絶対にラファエルはまた買おうとするな……と思っただけ。

大事に着ようと思ったのに…


「お湯を準備してきますので、お待ち下さい」

「うん。ありがと」


フィーアが手渡してくれた濡れ布巾で手を拭きながら頷く。

そして手が綺麗になった後、無理と思いつつもドレスに布巾を置いた。

ポンポンと上から優しく叩く。

じわりと布巾が黒く染まっていく。

ある程度押さえたところでそっと離してみるけれど、ドレスは黒く染まったまま。

………ですよねぇ…

ガックリと肩を落とした。


「………ラファエルが怒らないといいな…」


そう思ってハッとする。


「わ、私もラファエルに怒ってるんだもん! お互い様だよね!?」


壁際に立っている今日の私の護衛、オーフェスとヒューバートが冷え切った視線を送ってきた。

………わ、私…主なんだけどな……


「………どっちもどっちだと思いますが?」

「ソフィア様の方がやってしまった感ありますが」

「………ソウデスネ…」


私は再度、ガックリと肩を落とした。

フィーアが呼びに来て、私は入浴タイムになったのだった。


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