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第667話 王族主催茶会⑦




なかなか立ち去ろうとしないラファエルに痺れを切らしたルイスは、ラファエルの耳元で何かを囁いた。

途端にラファエルの笑顔が凍り付き、席を外すことを詫びてそそくさと立ち去った。

………何を言ったのルイス……


「ふふっ」


マーガレット嬢に笑われ、私はそちらを見た。


「す、すみませんソフィア様。ラファエル様は本当にソフィア様とご一緒にいたいのだなと。学園にいらっしゃる時より親密で、とても微笑ましく思いまして」

「お、お恥ずかしいですわ…」


面と向かって言われ、私は体温が高くなる気がした。

全身が熱い。


「マーガレット嬢もスティーヴン殿と仲慎ましく、見ていて微笑ましいですわよ?」

「まぁ…! ありがとうございます。元々幼馴染みなのですが、兄であったヒューバートが婚約を解消してからの婚約でしたので、幼馴染みの延長みたいなものであまり変わりませんのよ?」

「つまり、昔から想い合っていらっしゃったのですね」

「………ぁ……」


マーガレット嬢の頬が少し赤らんだ。

思いもよらない方向から、打った球が返ってきたのに気付いたようだ。

こちらもからかわれてばっかりではいないわよ?


「まぁ。マーガレット、貴女がソフィア様に勝つことは出来なさそうね?」

「お、お母様!」


くすくすと周りの夫人と令嬢達も笑う。


「政略結婚が当たり前の貴族が、恋愛結婚できるのは幸せなことですわよね」

「ラファエル様もお幸せですわよね。ソフィア様という素晴らしい方がいらしてくださり、更にラファエル様はお好きな方とご結婚できるのですから」


温かい目で見るのは止めて下さい!

体温が更に上がってしまう!!


「そうですわ! わたくし、ソフィア様にお聞きしたいことがございますの」

「なんでしょう?」


今日は私主催のお茶会で無礼講だ。

相手から私に話しかけることが出来る。

もちろん質問し放題だ。

それでも礼儀は必要だけれど。


「ランドルフ国へもたらして下さった数々の案。わたくしの夫が是非、その案を出せるまでのことを、何故その案が出せたのかをお聞きしてこいと仰ったのです」

「あ、それはわたくしも是非お聞きしたいですわ!」

「わたくしも!」


一気に私は夫人達に囲まれてしまった。

同じテーブルにいない夫人達も、こちらを伺っているのが分かる。

目の前の夫人達のギラつく瞳が怖い。

そんなに聞きたいか、私の案がどんな風に出ているのか。

詰め寄ってくる夫人達が怖いけれど、私は笑顔を絶やさぬことに成功していた。


「皆様はわたくしの案を喜んで下さっているのですか?」

「勿論でございます!」

「国が過ごしやすくなっておりますのは、全てラファエル様とソフィア様のおかげですわ」


穏やかに笑う夫人達に嘘は見えず、ホッとした。

実際に見て安堵した。


「分かりました。どのような案のことをご説明しましょうか?」


そう言った瞬間、彼方此方から違う機械名が出てくる為、どれから説明したらいいか迷った。

我先にと、有限の時間の中で自分が知りたいことを優先させろと言わんばかりの勢いで、私は暫く落ち着くまでその場で微笑んで眺めていた。


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