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第651話 ひとときの休息②

誤字報告ありがとうございます。




ラファエルは仕事中、お兄様は視察中、そんな中私は読書に勤しむ。

そんな状態が3日続いた。

いつも(?)どおりに私が本を読んでいると、寝室の扉が開いた。


「ソフィア、ただいまー!」


いつもの如くお兄様がノックもなしに入ってくる。


「………お兄様。寝室に入るときぐらいノックして下さい。着替え中だったらどうするんですか」

「俺は貧相な身体を見ても何とも思わないよ」


真顔で返ってきた言葉に、私はクッションを投げつけた。

楽々避けられたけれども。


「冗談だよ。本当にダメだったら騎士と侍女が止めるでしょ」


それで判断しないで欲しい。

っていうか、一応良いか悪いかの判断はしてくれていた、と。

嬉しくないよそんなこと。

お兄様はベッド脇に用意された椅子に座って、足を組んだ。


「いいねぇあのロメンデンシャ。早く完成させてサンチェス国にも廻らせて欲しいなぁ」


非情に良い笑顔で言うのはいいのだけれど…


「お兄様?」

「ん?」


1つ問題があるのを分かっているのだろうか…


「サンチェス国へ繋げるのは大丈夫でしょうが、サンチェス国内に引くとなると、それなりの土地が必要ですが」

「………」

「田畑を一部潰して開通させますか? それとも国同士を隔てる壁に廻らせるのですか? それはあまりに無駄かと」

「………」

「田畑の間にある民用の道を利用しますか? それは可能ですが民が無くなっても大丈夫な所を選びませんと、逆に不便になりますわよ」


私の言葉にお兄様の笑顔が消えた。

うん、ごめん。

でも、考えないといけないことだから。


「それは盲点だった。便利さだけに目を奪われてた。帰ったら親父と相談するよ」

「はい。それに、実用的になるのはまだ先ですからね」


外壁に沿わすだけでも民が歩いて移動するより遙かに早いから、悪いことだらけではないのだけれど。

便利さを求めるなら、街に続く線路を引かなければ意味が無い。


「ありがとソフィア。あとガイアス殿の様子も見てきたよ」

「如何でしたか?」

「相当へろへろになってたよ。歩くのもおぼつかないほどにふらふらしてた。作業も危なっかしかった」


ガイアス・マジュがやらされていたのは、簡単な掃除らしい。

線路用の溝も線路も、設置させるのは信用ならないから、その前準備である線路予定地の地面に落ちている石や草を取り除き、綺麗に掃いてならしたり。

子供でも出来る作業だ。

ちなみに元親族の双子に与えられた仕事もこれだ。


「王族がいきなり掃除させられたら、体力すぐ尽きるよねぇ」


楽しそうに笑うお兄様。

よほど惨めだったのだろう。


「けれど、そうすることで普段民が、使用人がしている苦労を知れば、横柄な態度は今後も取れないでしょうね」

「だろうね。近くで日よけをつくって、椅子を用意して、優雅にお茶を飲んでいたリーリエ王女も、場に相応しくなくて笑えたけど」


………するだろうね。

あのリーリエ王女なら。

一緒にいれば私もそうしていたかもしれない。

サボらないための見張りだったとしても、王族自らが監視するのだから、退屈で仕方ないだろう。

私ならそこで本を読んだりもするかもしれない。

そんなことを考えていると、お兄様に頬を撫でられた。


「………どうしたの?」

「いや? 大分顔色が戻ったなと思って」


優しく笑うお兄様に、私はキョトンとしてしまった。


「………そんなに悪かったですか?」

「うん」


即答されてしまった。

それならば、ラファエルにも相当心配かけてしまっていただろう。


「あと数日で動けるようになるかな。それまで大人しくしてるんだよ?」

「もぉ……お兄様は心配しすぎです。私も学習するんです」


プクッと頬を膨らませると苦笑される。


「それが続くことを祈ってるよ」


随分信用がない。

やらかした後だから仕方がないけど!!

そのままラファエルが帰ってくる間、他愛もない話をお兄様としていた。


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