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第540話 もういいよ




ラファエルがリフトの打ち合わせするために、王宮へ戻ってから技術室へ向かった。

私といえば、また暇人と化した。

………はっ!!

いやいや!

暇ではないですよ!

余計なトラブルいりませんから!!

あ、そうだ!

ラファエルが作ってくれた自主宿題がまだ残ってた!

この時間でやってしまおう!

バタンッとソファーに座ろうとした私の耳に、勢いよく扉が開く音が届いた。

………もうヤだこのパターン…


「ソフィア様!!」

「………私はいない。ここにはいない」

「いや、いるだろ!!」


慌てて入ってきたのはヒューバートで、聞こえないフリしていたらアルバートに突っ込まれた。

聞かなかったことにしたいんだよ!

余計なこと言うなアルバート!!

私は今度こそソファーに座った。


「………今度は何…」


グッタリと背もたれにはしたなく腕を乗せて聞く。


「騎士見習い達が次々と音を上げて、訓練に参加しないそうです!」

「………」


私は頭を抱えてしまった。

扱きすぎなのか、根性がないのか、どっちなのか。

………っていうか…


「………それ、私の管轄?」


机に突っ伏したまま聞く。


「ラファエル様が捕まらないと騎士達が言ってましたので、取り急ぎ」

「………ぁぁ、そう……」


私はゆっくりと立ち上がった。


「ラファエルは今技術室だから、余計なこと言って失敗されたら困るわね……」


………最初に暇人なんて言ったからかな!?

見習い雇って問題が起きないとは思えないけれども!

っていうか、私が管轄外のことに首を突っ込んで、反感とか起きても困るけど…

………王女の私が騎士の問題解決できるの?

ラファエルの領域に踏み込んでいいの?


「………ヒューバートとオーフェスで、何とか解決できないの?」


ふと気付いて2人を見る。


「出来ないですね」


即答され、私は首を傾げた。


「何故?」

「私達はソフィア様の騎士ですから、ランドルフ国――ラファエル様管轄の騎士らとは指揮系統が違います」

「故に我らの言葉は聞かないでしょう」


………いやいやいやいや!!

じゃあ何故私に話を持ってきた!?


「私の言葉はもっと通じないでしょうよ!?」


王族付きの騎士の言葉を聞かないってどういう事!?


「いえ。ソフィア様はラファエル様の次に守るべき対象であると同時に、忠誠を誓う相手です」

「………忠誠? それは1人の主に対してでしょう?」

「この方こそ自分の主、と決めた相手ならばそうですが、王宮騎士というものは、王族全員に忠誠を誓っていると思って下さって結構です」

「………そうなの? 王へ忠誠を誓っているのかと思ってた…」


だって、前のランドルフ国王にも王子にもそれぞれ騎士が付いてたし。

階級が載っていた資料にも誰が誰付きの、ときちんと分けられていて、王族騎士、なんて分類なかったし…

サンチェス国での兵士の忠誠も……忠誠………あれ?


「………そういえばサンチェス国の兵士も王宮の訓練場で訓練した後に、誰かの元へ戻る、なんて事はなかったね」


良く訓練場に差し入れしてたけど、訓練が終わっても宿舎に行くだけで、王族の元に行かなかったな…


「はい。専属兵士や騎士は基本的に主の元におり、訓練や休みを貰ったときくらいしか離れません。王宮騎士や兵士は訓練したり街の巡回へ行ったり、要請があれば王族の外出に付いていきます。基本的に王族の命令であれば誰にでも従う者達です」

「ふぅん…」


そっか。

そういうものよね。

小説とかでも、誰付き、って明記されてない者達もいたものね。


「………あ! 王族と言っても、ここランドルフ国王宮騎士は、ラファエル様とソフィア様とルイス様にしか従いませんから! 他国の王や王族に命じられても、お3方の許可がなければ動きませんから!」

「そのぐらい分かるわよ…」


ヒューバートに力説され、私は苦笑した。


「………分かった。私が話してみたらいいって事ね」

「はい。お願い致します」


私は重い足を動かし、部屋を出たのだった。


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