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第517話 計算違い




シュルッと袖を通し、キュッと帯を絞める。

姿見でクルッと回って可笑しな所がないか確認する。


「うん。ちゃんと着付けが出来たわ」


1人嬉しくて笑っていると、はぁっとため息が飛んでくる。


「………何?」

「………何故姫様が自分で着付けするんですか」

「………わたくし達がいますのに」


手を出してこようとしたソフィーとアマリリスの手を振り切って、私は記憶を頼りに着付けをした。


「だって、途中で崩れたら直さなきゃでしょ」


自分で1からしないと、構造があやふやなままで、人前で哀れな姿になるかもじゃない。


「………姫様は着崩れる可能性がある前提ですか…」

「………破廉恥です」

「なんで!!」


普通に歩いてても崩れるでしょうが!!

お花を摘みに行ったときとかも!!


「あ、それともラファエル様とそういう事を期待して……!」


想像して顔を赤くするんじゃない!!

ラファエルの裾直ししてから遠慮なさ過ぎでしょ!!


「してないから!!」


2人に突っ込みながら私は脱いでいく。

まだラファエルには見せられないのよ。

私のにはちょっと凝った刺繍をしようと、柄の位置を確認するために着ただけ。


「ソフィー、決めたところにマチ針で印けておきたいから持ってきてくれる?」

「はい」


私は全て脱ぎ終え、部屋着用ドレスを着る。

これはアマリリスに手伝ってもらう。


「姫様」

「ありがと」


私は数カ所にマチ針を刺し、隣室へ持っていってもらうように頼んだ。

アマリリスが背中のボタンを留めてくれた後、私も隣室へ向かった。


「さて…やっぱり柄は桜がいいかなぁ?」

「薄桃色の生地には合わないのでは?」

「糸が桃色でもダメかな」


糸を生地の上に当てて色を確認する。


「少しぼける気がします」

「ダメかぁ…」


ラファエルが作ってくれた桜の髪飾りを付けようと思っているから、合わせたかったんだけど…


「では姫様、帯に刺繍するのはどうでしょう?」

「帯に?」

「帯は姫様の色の紫にしましたし、桃色が映えるのでは」

「あ、そっか」


そうしよう。

ソフィーが持ってた帯を受け取る。


「じゃあこっちはどうしよう」


せっかく刺繍の位置を決めたのに…


「練習しただけ、でよろしいではありませんか」

「無地でも綺麗ですし、最初から凝った物を作られると、後から柄を考えるのが難しそうです」

「………ぁ」


2人の言葉で、私はハッとする。

そうだった。

私がファッションの最先端になる可能性もあるのだ。

最初から柄物だとネタが尽きて、似たり寄ったりになりそう…


「そ、そうだね」


私はささっとマチ針を抜いていった。


「これ、掛けておいてくれる?」

「はい」


アマリリスが着物を持って衣装部屋へと消える。


「よし。がんばろ」


私は針に桃色の糸を通し、帯に刺した。

中途半端はかっこ悪いから、何とかお祭りまでに仕上げようと集中した。


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