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第394話 なんだこれ?




私は早急に用意された、山積みになっている資料を1つ1つ確認していく。

………明日でいいって言ったはずなのになぁ…

今日早速仕事するつもりなんてなかったのに…

あ、誰かが『ちゃんと仕事しろよ』って言ってる気がする。

だって、私今日は仕事モードじゃなかったし、明日からちゃんとするぞって思ってたのに。

………また誰かが『小学生の言い訳かよ』って言ってる気がする。

ため息をついたとき、ビクッと身体を震わせる人物が視界に入った。

あ、ごめん。

現実逃避していた思考を戻す。


「………ぁぁ、ごめんなさいねラン。もう行っていいわ」

「え……」

「確認して指示を出すのに時間がかかりますから、明日にまた――」

「嘘を仰らないで下さいソフィア様」


せっかく後腐れなくランを退出させようとしてるのに!

余計なこと言わないでよフィーア!


「ソフィア様なら資料を見た瞬間、対策が頭の中で出ているはずです」


ウワー…ワタシッテ、スゴインダネー(棒読み)

………って、どんだけフィーアの中の私は凄い人になってるのよ!?

すぐに対策打てるなら、学園の授業に余裕でついていけてますから!!


「帳簿の間違いはございませんでしたか?」

「え? ………ああ、そうね…。間違いがないのが理想ですわね」


備品購入リストを最後までチェックし、首を傾げる項目には赤で色づけする。

それが終わって机に置いた。

次に階級別リストを開き、給金割当リストは机に広げた。


「………?」


思わず首を傾げた。

なんか変な階級が入っているんですけれど…

騎士なら普通、隊長・副長・階級なしで班構成されていればいい。

けれどリストは、隊長・副長・準副長・準々副長・階級なし。

………って、おい……

何だ準と準々って。

何する役割なんだよ。

思わず赤の二重線を引いた。

露骨に一般騎士より高給金だし。

ラファエルに要報告、っと。

これ、ルイスも気付いてないわけ…?

………いや、泳がせている可能性もあるかも…

迂闊に他言しない方が良いな。

続いて侍女は…

筆頭侍女、給仕侍女、掃除侍女、買出侍女、接待侍女――ってなんだ接待侍女って!

給仕侍女と変わらないじゃない!

赤線っと。

その他諸々の使用人も確認し、いらない階級のものを全てチェックしていく。

………うん、もう大丈夫かな。

リストを閉じ、机に置く。

無駄な出費が多い………というか、無駄な階級作って不当に給金摂取していた、というのが正しいかな。

こんなことをするのは、旧国派だよね…

ホント、私は何もかも後から後から気づくなぁ…

ここにも国庫を食い潰す貴族が潜んでいた。


「………」

「………ソフィア様?」

「あ、何です?」

「いえ、考え込まれていたようですので」

「…ええ。ラファエル様にご相談しなければ何とも言えませんので、ここでは言葉を控えますわ」


………それに騎士の場合は……ヒューバートにも見てもらおう。

侍女はソフィーとローズにちょっと相談してみようかな。

侍女の仕事はこういうものがある、ということを言葉としては知っている。

けれど、仕事のスピードは人それぞれだから平均時間を知らない。

ソフィーなら平均時間を出せると思うし、ローズは侍女を使い慣れているからどうして欲しいとか、どういう侍女が欲しいとか教えてくれるだろう。

私は選定者だったから、侍女を使うことはあまりなかったから。

未だにソフィーに視線で注意されているしね。

………私主……


「とにかく、明日は今のままでしてちょうだい。明後日には指示を出すわ」

「は、はい…」


ランを退出させ私は報告しないといけないことと、聞かなきゃいけないことを箇条書きでメモし、ソファーに深く座って息を吐いた。

………ぁぁ……ちゃんとお母様に聞いておくんだった…

私は少し後悔しながら、ベッドへと潜り込んだ。


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