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エピローグ

 俺が今いる世界は、『異世界』と言われている。だが、ここの生活や文化、科学技術は、俺が元いた世界とさほど変わらない。


 この異世界を統べる神──アマテラスが、俺の元居た世界から、たくさんの人たちを勇者(・・)として呼び込んだからだ。

 結果、この異世界は、俺の元居た世界と大して変わらない生活が出来るようになっていた。


 一見平和に見えるこの異世界だが、魔獣が出たり妖物がさ迷ったりしていて、夜や人気の無い所は危険だ。

 それに、この世界には、元は勇者だったとしても、心の曲がってしまった者も居る。それが、盗賊団や夜盗なんかだ。人々は、魔獣や盗賊たちに、自らの力で立ち向かわなくてはならないのだ。


 そんな異世界に、神アマテラスは、どうして人々を勇者として引き入れたのだろう?


 遥かな昔、この異世界は、アマテラスに護られた平和な浄土だったと言う。そこに、いつの頃からか、別世界から『邪の者』が侵入し、この異世界のバランスを崩してしまったのだ。「アマテラスの祭壇」をネットワークして秩序を保っていた異世界は、祭壇を(けが)され封印されて、本来は居るはずの無かった魔獣や妖物の徘徊・跋扈する世界になってしまった。

 アマテラスは、そんな異世界に本来の秩序を取り戻すため、俺たちの世界から『才能のある者』たちを『勇者』として招き入れて来たのだ。


 しかし、希望を託された勇者も、『邪の者』を容易には倒せなかった。


 勇者が一人、また一人と倒れ、挫折して勇者を辞める度に、アマテラスは勇者を呼び込み続けた。そうした結果、この異世界は、元勇者たちが住まう──ある意味ではアマテラスの考えとは別の秩序を持った世界へとなった。


 だがそれは、本来のこの異世界の姿ではないのだ。元勇者たちが、一見、平和に住まうように見えても、その裏では、『魔獣』に襲われたり、『邪の者』に心を奪われて悪の道に迷う者も居る。



 だから、俺は、アマテラスに導かれた『最後の勇者』となるのだ。


 『勇者』とは勇気ある者の称号。俺の心に勇気の力が溢れる限り、俺は死なない。俺の身体に勇気の力が漲る限り、俺は負けない。

 そうして、異世界で旅を続ける俺は、仲間とともに、汚されたアマテラスの祭壇を浄化してきたんだ。



 そうだ、俺の仲間を紹介しよう。


 生粋の異世界人で、『アマテラスの巫女』である巫女ちゃん。

 『邪の者』の気配を感じとったり、治癒魔法や探知魔法が使える、ちょっぴり天然のカワイコちゃんだ。


 そして、このでっかいのが、『勇者ロボ』のサンダーだ。

 自動車からロボットに変形したり、巨大なサポートメカ『ブレイブ・ローダー』と合体して、最強の巨大勇者ロボ『ブレイブ・サンダー』になれるんだよ。


 それから、このツンとした美少女が、『魔導師(まどうし)』のミドリちゃん。

 色々な攻撃魔法や特殊魔法を使えるんだ。空を飛んだり水に潜っても戦える、オールラウンドプレイヤーだ。


 三人目のグラマラスな美女が、シノブちゃん。なんと、自称『くの一』なんだよ。

 でも、得意なのはプロレス技(・・・・・)なんだ。本人は忍術(・・)だと思い込んでるから、言っちゃダメだよ。

 相棒のバイクロボ『流星号』とのコンビネーションで繰り出される必殺技は、機械(・・)魔獣でさえ平気で倒してしまうような、生きた凶器である。絶対に敵にしてはいけない人だ。


 そして、この俺が、この異世界の現勇者。自分の名前は……、もう忘れてしまった。



 俺は仲間とともに、この異世界を旅して巡る。いつか、全てのアマテラスの祭壇を浄化し、『邪の者』を倒すまで、俺たちの旅は終わらない。

 今日も魔獣を倒し、妖物を駆逐し、アマテラスの祭壇を浄化する日々が続く。

 時には傷つき、時には倒れる事もあるだろう。しかし、それも『勇気の力』があれば、何でもない。仲間が居れば、何てことはない。



 これからも、アマテラスの祭壇を探して浄化する旅は続く。いつまでも……。



 おっと、最後に一言だけ付け加えておかなくちゃ。


「異世界ってウンコしなくても大丈夫なんだぜ」






     (了)



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