マーリンさん、講義を受ける
「つまり、下級ポーションを調合する時に、ななの実の皮を煎じた物を加える事で、効果を維持したまま使用期限を約1カ月伸ばす事が出来るのです」
今日、私達は講堂でユウ先生の薬草学の講義を受けている。
私も師匠に基本的な物は教わっていたが、ユウ先生の講義はそれ以上に高度な物だった。
手の空いている他の先生や王宮の薬師様も講義を聴きに来ていた。
正直、あまり知的な印象では無かったので驚いている。
もっと気合いとか根性の人だと思っていた。
レオやクルスも驚いている。
アルも驚いているが私達程では無い。
やはり、妹を助けて貰った薬師だからなのだろうか?
そして、シアだ。
串焼きを食べてからシアの様子がなんだかおかしい。
何か考えているみたいだ。
どうせ、あの串焼きのタレの作り方を教えて貰って一儲けとか考えているに違いない。
私達以外にはあまり知られていないが、シアはお金が大好きだ。
まぁ、商人としては正しいと思うが、友人としては少し怖い。
そんな事を考えていたら、授業終了の鐘がなった。
「おや、今日はここまでですね。
では、また次の授業で」
ユウ先生は授業が終わると、直ぐに教室から立ち去って行く。
今日も機嫌が良さそうだ。
「しかし、ユウ先生の講義はすごいな」
「確かにね。
普通、基本的な調合法ならともかく、特殊な解毒薬や既存のポーションの効果を高める方法なんかは、自分の利益のために内密にするものだしね」
「ユウ先生に教えて頂いたポーションを作成して、今度の遠征に持って行くのは如何でしょうか?」
「いい考えだな。
3年の遠征と言えば、伝統行事だが、過去には死者も出た事がある危険なものだ。
しっかりと準備して臨むべきだな」
王都の学院の遠征と言えば有名だ。
3年間、学んだ事を活かすべく魔物が出現する森に遠征に出るのだ。
これは、当然、貴族や王族なども関係なく、毎年少なくない負傷者が出るし、死人が出ることもある。
過去には、貴族から死者が出たこともあるらしい。
森は奥に行く程強力な魔物が現れる。
そして、どこまで森に入るかは成績によって変わってくる。
私達はSクラス、当然1番奥まで森に入ることになっている。
「装備なんかも1度見直したら方が良いんじゃないかな?
もう、3年目でかなり使い込んでいるから、少しガタがきているかも知れないよ」
「そうだね。1度、ユウ先生に相談してみようか?
ユウ先生は辺境を拠点にしていて、危険地帯に何度も入ったことがあらるらしいからアドバイスをくれるかも知れないよ」
「そうね。
ユウ先生に相談してからだけど、1度みんなで街の武具屋に行ってみましょうか?」
私達はもう数カ月に迫った遠征について、話し合いを続けるのだった。




