表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル0で最強の合気道家、いざ、異世界へ参る!  作者: 空地 大乃
第四章 ナガレ激闘編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/565

第五十七話 のじゃロリ誕生

「え? うそ? あれが最終形態……?」


 観戦を続けていたピーチが些か唖然とした表情でそれを口にした。 

 勿論これは相手があまりに強そうで、と、いうわけではなく。


 何せ光の柱が収まった先にあらわれたのは、のじゃ~と叫び上げる愛らしい幼女。

 そう、これでもかというぐらいの、三頭身しかない幼女(のじゃロリ)なのである。


 第一弾、第二弾の筋肉マッチョな風体はともかくとして……最初にみた胸も大きく美麗な面影はほぼ消失。

 一緒な点と言えば金色の髪と金の虹彩ぐらいか。

 しかしその瞳にしろ、今はくりくりっとした可愛らしいものに変化している。

 

 そしてどういう理屈かわからないが、透明感のある羽衣も、彼女のサイズに合わせて縮小していた。

 しかし幼女でこれは少し危険ではないかといういらぬ心配まで湧いてしまう。


 ナガレ式グレイヴに関してはそのままだが、現在の自分の上背より長い得物を手にしていても、彼女には気にする様子はない。


 どっちにしろ――その見た目だけで言えば全く強い感じがしない。

 故に、ピーチには戸惑いも見えるのだが――


「ねぇ? 本当にあれが最終形態、て、エルシャス?」


 思わず首を巡らせ、ピーチは側近の彼女に問いかけようとするが、どこか様子がおかしい。


「……あれが、エルマール様――最終形態、嘘、あ、あんな、あんな……」


「え、エルシャス?」


 思わず目を細め、改めて彼女に問い直すピーチだが。


「あ、あんなかわえぇなんてずっこいやん! もう、なんなん! 卑怯やん! ずるいやん! きゃ~ごっつ抱きしめたい! ほんまなんやの、もう!」


「……いや、あんたがなんやの? なんだけど――」


 思わずピーチがジト目で突っ込んだ。

 少し前から怪しくはあったが、今やクールビューティーぶりが瓦解したどころか、口調そのものがおかしなものに変わってしまっている。


 そして、そんなピーチの視線に気がついたのか、ハッ! とした表情を見せ、エルシャスがコホンッ、と咳きし。


「そうでございます。あれこそがエルマール様の真骨頂。紛れも無くエルフ族最強を名乗るに相応しい御姿なのです」

「いや、貴方絶対今日初めて見たわよね? あの状態の実力なんて本当は知らないわよね?」


 ピーチとエルシャスがそんな会話をしてる最中、当のエルマールはナガレの前でのじゃのじゃ言っていた。


 そして、ふふん、と零しドヤ顔でナガレをみやり腕組みした。

 小さなポニョポニョした腕や三頭身な姿からは、長としての威厳が全く感じられない。

 

「どうじゃ? 妾の姿は? 愛らしいじゃろう?」


「いや……だからそういう事は自分で言っちゃうんだ」

「愛らしいでエルマール様!」

「……突っ込まないわよ」


 改めてエルマールの姿と発言を認め、呆れ顔なピーチと何故か似非関西弁喋り方になってしまっているエルシャスである。


「くふふっ、じゃがのう、妾の見た目だけで判断しては、痛い目をみるのじゃ!」


 ビシッ! と小さな指を突き付け、忠告するように声を張り上げるのじゃロリ。

 しかしナガレは、終始落ち着き払った様子で顎を引き。


「えぇ、判ってますよ。確かに今の貴方からは先程とは比べ物にならない程のパワーが感じられます」


「のじゃのじゃ、流石によく判っておるのじゃ!」


「てか、あのエルフのじゃ率増してない?」

「はぅ! 最高や! 素敵すぎやねん!」

「……」


 ちょいちょい覗き見えるエルシャスの変化に、思わずピーチは固い笑みを張り付かせた。


『なんで小さな女の子が現れたのかな?』

『……』

『判った! きっと隠し子って奴だよ!』


「違うわよ! てか呑気か!」


 言下に否定し吠えるように述べるピーチ。既にオーク語の理解率はかなりのモノである。


「ふふん、妾はこの状態になることで光の精霊の力も取り入れてるのじゃ。言うておくがさっきも言ったようにもう手加減は出来んのじゃぞ?」


「そうですか。それでは少し楽しませて頂きますか」


「むぅ! やはり貴様は生意気なのじゃ! 後悔しても遅いのじゃーーーー!」


 小さい割にかなり好戦的になっている幼女エルマール。

 プンプンと頬を膨らますその姿はどこか幼気であるが、しかしその瞬間、エルマールの身体から黄金の光が溢れだし彼女の小さな身を包み込み。


「覚悟するのじゃ! 精霊式戦闘術奥義光速連武!」


 発光したエルマールがナガレの周りを飛び回る。

 完全に光と化し、その軌跡を追うように幾重にも光の帯が重なり交差し、その周囲を取り囲んだ。


「どうじゃ! 今の妾は光と同じなのじゃ! この動きも光と同様! いくらお主でも光の速さにはついてこれまい!」

 

 音速を超え、遂に光の域にまで達したのじゃロリエルマール。

 少し離れた位置から見ていたピーチやエルシャスには光の残像しか視えていない事だろう。

 

「そして光と化した妾の攻撃はその一撃一撃が必殺! しかもこの速さを活かした全包囲攻撃なのじゃ! まさにお主にとって万事休すなのじゃ!」


 自信満々な声がナガレを中心に全方向から飛び交う。

 そして、確かにナガレはピクリとも動いていない。正面を見据えたまま、一見すると全くエルマールの動きに追いついていないようでもあるが――


「これで終わりなのじゃ!」


 そして、宣告と共にナガレを取り囲む光の帯から光刃が発される。その数は万にも及んだ。

 これは流石のナガレでも受け流すのは不可能か? いや違う。合気を極めたナガレがこの程度で怯むわけがそもそもないのだ。


 光速回転――そう、全方位から攻撃が飛んで来るのなら、その全てに対応すればいいだけ。

 つまり、回転すれば死角はなくなるのである。

 まさに合気を極めたナガレならではの対処法である。

 

 光速には光速、見事なまでの機転でナガレは放たれた光の刃を全て受け止め流し、そしてその軌道を変えた。

 ナガレの回転力も相まって、エルマールから放たれた光刃はナガレを中心に旋回を続ける。そして回転に合わせて巻き起こる竜巻に巻き込まれ遂には黄金の竜巻と化し、それが一気に周囲に広がった。

 

 当然、いくら光の速さを誇る幼女エルマールと言えど、これを躱しきることは不可能であり、見事に黄金の暴風に巻き込まれた幼女は空中へと投げ出された。


「のじゃ~!」


 そして頭から落下し、両手で頭蓋を押さえ痛いのじゃ~痛いのじゃ~と転げまわった後、ゆっくりと立ち上がる。

 そんな幼女(のじゃロリ)は若干涙目である。


「はぅん! いちいちかっわいいねん! なんなんあのいきもん、ペットにしたくてたまらんわ!」


「いや……さっきまでエルマール様とか言っていたわよねあんた……」


 エルシャスの残念な変化についていけないピーチでもある。


「こ、こんな事で勝ったと思っていたら甘いのじゃ! 今度こそトドメなのじゃ! 精霊式戦闘術奥義永追光球弾!」


 すると、今度は幼女エルマールがのじゃのじゃ言いながら飛び跳ね、かと思えば高速回転しその身が大きな光球へと変化した。


「どうじゃ! 妾自身を武器とするこの奥義! 光の速さで例え避けられたとしてもどこまでも追いかけるのじゃ!」


 刹那――光の球と化した幼女がナガレに迫るが。


「……なんとも残念な技ですね」


 言ってナガレが光球と化した幼女を両手を組み受け止めた。

 それはナガレの世界で言うバレーボールのレシーブと同じような腕の組み方であった。

 少し腰を落としギュルギュルと回転を続ける幼女光球を合気で受け止め、その力を受け流し、己の身体で増幅したパワーを乗せ上空へ打ち上げる。

 

 かと思えばナガレは打ち上げた勢いをバネに変え、ほぼ同時に飛び上がり、上空で幼女目掛け容赦のないスパイクを決めた。


 光球と化していた幼女エルマールはそのままコート(地面)に突き刺さり、のじゃー! という悲鳴が辺りに鳴り響いた。


「全く、そもそも私は一度も貴方の攻撃を避けていませんからね。追いかけるという要素自体全く意味が無いのですよ」


 着地したナガレが教えるように述べると、うぅ、と悔しそうにエルマールが立ち上がり、キッ! とナガレを睨みつけた。

 

「ふ、ふふっ、妾をここまでコケにするとはのう。じゃが、この程度で勝った気になられては困るのじゃ。何せ妾はまだ精々半分程度の力しか出してないのじゃからな」


「いや、さっきまで力の制御が効かないとか手加減は出来ないとか言ってなかったっけ?」


 ピーチの鋭い突っ込みが炸裂するも、エルマールはそこはしっかり無視をした。


「……なるほど、ソレは中々凄いですね。今の私は無量大数分の壱(・・・・・・・)状態とはいえ、既に二割ほど力を出してますからね。確かに今の貴方はかなりのものです」


 な、なんじゃと? とエルマールの右眉が僅かに上下し、そして怪訝な顔でナガレに目を向け。


「つまり……お主は妾相手にまだ二割しか力を出していないと、そう言う事なのかのう?」

「……えぇまぁそういう事ですね」


 ここでナガレは取り敢えず流したが、エルマールは完全に勘違いをしている。

 ナガレは合気を極めた男だ。故にその力は絶大。

 普段よりナガレは平常時、己の力を完全に無としている。が、戦いとなればその瞬間瞬間に合気の力を開放している。

 それがナガレの戦い方だ。

 

 しかし、とはいえやはりナガレは強くなりすぎた。それは自分自身がよく判っていた。

 だからこそ、ナガレはいつしか自分の力を抑制するようになっていた。

 つまり、ナガレは合気を使用する際においても本来の力を発揮する事はなく、その場その場で必要な力のみを開放するようにしているのである。

 

 そして、現在ナガレが普段戦闘において使用する合気力は無量大数分の壱。

 これは異世界に来てからも一切変わっていない。

 

 つまり、エルマール相手に使用している二割の力というのは、あくまで本来の力の無量大数分の壱状態中の二割でしかないという事なのである。


 だが、とは言えナガレの言うように今のエルマールの力がかなりのモノであることは確かである。

 何せナガレは異世界に辿り着いてからの戦いにおいても、現在の力(無量大数分の壱)で五分の力も発揮することなく勝利を収め続けていたのだ。

 

 しかし、もしエルマールのいう半分の力というのが事実であるなら、エルマールの本気は無量大数分の壱状態のナガレの四割を引き出すという事に繋がる。 

 尤も、それであってもナガレの不可思議にも遠く及ばないわけだが――


 

あまり強そうに思えないかもしれませんが、異世界にきてからナガレが戦った中では彼女が今のところ最強です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ