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レベル0で最強の合気道家、いざ、異世界へ参る!  作者: 空地 大乃
第四章 ナガレ激闘編

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第九十五話 鉱山での戦闘

「【デコイ】!」


 スキル名を叫びあげ、大柄な男が前に飛び出した。

 すると彼に向けて一斉に正面の魔物が跳びかかっていく。

 デコイは周囲の魔物の注意を使用者に惹きつけるスキルだ。

そこへ更に【ケルパーフォルト】――とスキルを重ね迎え撃つ。

 ただでさえ頑強な重装鎧の上に、攻撃を受けた時のダメージを軽減させるスキルを重ねた事で、四方八方から繰り出される魔物達の攻撃が彼に与える損害は僅かである。


 そして彼は、手持ちの大剣、【グレートハンティングソード】を振り回した。


「おらおらーーーー! 【スイングトレイン】!」


 更に気勢を上げ、武器を振り続ける。この技、要は武器を振り回しながら前に突き進むという単純なものなのだが、気合の篭った攻撃は単純だが強力無比。

 群がる敵を物ともせず、振りぬかれた斬撃は無数の魔物を纏めて切り捨て、攻撃から生じる余波によって、間合いの外側にいる魔物も蹂躙していった。


「相変わらず優秀な盾役ぶりだな、ゴーリキ」

「がっは! ただの盾じゃないぞ。近づく奴は全員粉砕する、最強の壁よ! 【パワーリフティング】!」


 言下に闘気の篭った救い上げるような一撃。放出された力の波は噴水のように吹き上がり、周囲の魔物が天に投げ出される。

 一つ一つの技は荒々しく、洗練されてるとはとても言い難いが、威力は申し分ない。


 すると、今度は青白い雷が魔物の群れに直撃し、更に放射状に電撃が走り広範囲の敵を一掃した。


「お~ほっほっほっほ! 至高の雷帝、クリスティーナのサンダーブレイクのお味は如何かしら? 痺れなさい朽ちなさい恐れなさい、そしてしっかりとこの名をその目に刻みなさい!」


 すると、杖を片手に前に踊り出た女が、随分と高飛車な笑いを披露した。

 口に手を添える見事なまでのお嬢様スタイルである。

 金色の髪に金瞳、目鼻立ちの整った顔と、見た目には美人の部類に入ると思われるが、相手を見下すようなその瞳はどこか小生意気な雰囲気も感じさせる。

 

 そんな、自らクリスティーナと名乗った彼女は、手に持つ杖から察するに恐らくは魔術師、もしくは魔導師であろうと思われる。

 ただ、杖はともかく金髪を縦巻きにしたヘアスタイルに、ローブと言うよりはドレス、しかもかなり気合の入ったキラキラのドレススタイルは、この場では少々浮いている感じもする。


「……どうやって名前を目に刻むんだよこの馬鹿」

「な!? あ、貴方生意気ですわよ! バットウの癖に!」


 

 そんな彼女に呆れたような目で突っ込むは、先ほどフレムを小馬鹿にするような発言をした男。

 彼女の反応を見るにバットウというのが彼の名のようだ。

 

 アッシュグレイの短髪に、金属製の胸当て。

 そして片手にサーベル。

 少々変わっているのは、戦闘が既に始まっているにも拘らず、未だに鞘に収めたまま腰に吊るしたりもせず左手で鞘ごと持ち続けている事か。

 

「チッ、大体何が雷帝だ。実際はそんな称号持ってないだろ」

「う、うるさいですわ! 私は選ばれた至高の魔導師ですのよ! この雷鳥の杖とて、雷帝の素質を持った私だからこそ手に入れることが出来たのですわ! 雷帝の称号を手に入れるのも時間の問題、なのですわ!」


 どうやら自慢の一品らしい杖をぶんぶんと上下に振りながら抗議の声を上げるクリスティーナ。

 柄はおそらくは魔鉱石、そして先端には彼女の髪色と同じ金色の羽が左右に広がり、中々気高い雰囲気漂う鳥の頭があしらわれている。

 

 そして彼女はバットウに向けて言いたいことを言い終えると、そっぽを向き腕を組んでツンっとお澄まし。

 押し上げられた胸は、改めて見るとピーチやビッチェ程ではないが中々に大きい。

 スタイルも悪くないが、ただ性格には少し難がありそうだ。


「おいバットウ! 仲間内でくだらない掛け合いしてる場合じゃねぇぞ。魔物はまだいやがるんだ」

「チッ、判ってるよ」


 ゴーリキの言葉に面倒くさそうに返すバットウ。

 先ほどゴーリキに声を掛けていたのも彼だ。それにクリスティーナとのどこか慣れ親しんだようなやり取り、どうやら三人とも鋼の狼牙団のメンバーなようである。


――シュッ!


 そして、バットウの手元から発せられた風切音。

 その瞬間には、目の前まで近づいてきていたリザートマンの胴体がふたつに割れた。


 どうやらバットウの斬撃によるものなようだが、彼の武器は今もまだ鞘に収まっている。


「なるほど、あれは居合ですか。しかも中々の腕前ですね」


 そんなバットウの戦いぶりをみながら、休憩所の中心で佇んでいたナガレが感心したように呟く。

 ナガレにとっては居合は馴染みの深いものであるが、それを異世界の人間が使用している事に関心を抱いたのだ。


「先生! どうですか俺の技は!」


 そんなナガレの横から、フレムが自らをアビールするように叫び上げた。

 群がる人型の鼠のような見た目のラットマンや、鍵型の鋭利な爪が特徴で、土に潜り、地面から強襲する攻撃を得意とするモーラなどを相手にし、最近会得したという目切りで次々と片付けていく。


「ふふっ、流石私の惚れたオ・ト・コ、惚れ惚れするような動きね」


 そんなフレムを流し見るようにしながら、ウィンクを決めるカマオ。

 フレムの背中にゾクゾクと悪寒が走る。


「き、気持ち悪いこと言ってんじゃねぇよ!」

「あら、つれないわね」


 そんな事を言いながらも、カマオはカマオでその独特な形状をした剣を振るい、次々と敵の首を刈り取っていく。

 

 【スイクルデスダンシング】が、そのスキル名。踊るような動きで的確に首を刎ねていくそのスキルは、見た目の優雅さとは裏腹に恐ろしい技とも言える。


 カマオの通り過ぎた後には、首なしの魔物の骸が残り、落とされた頭が咲き乱れた。


「乱れ打ち!」


 更にそこへカイルの弓術が炸裂。フレムとカマオが倒しきれなかった分は、彼の矢によってしっかりと摘み取られていった。


「いいですよフレム。正面はAランクの三人だけでも十分に対処し切れますからね。右翼は聖なる男姫の方とも協力してフレムとカイルが、そして左翼は――」

「勿論! 私の出番よねナガレ!」


 任せて! と言わんばかりに元魔術師のピーチが前に飛び出す。

 そして、魔力形成で杖をトゲ付きの棍棒状に変形させて魔物たちを殴り飛ばしていった。


 魔力強化によって身体能力を向上させる事も可能となったその戦闘スタイルは、魔術師の魔の字も感じさせないものだが、戦士ばりに戦うピーチの表情はどこか活き活きとしていた。


「開け魔道第五門の扉、水術式【ウォーターフォール】!」


 そんなピーチから少し離れた位置に身を置き、ニューハが杖を抱えて術式を刻み魔法を行使。

 魔物が集まった中心に、大量の水が降り注ぐ。

 強烈な水圧に押し潰され、更に息継ぎも許されないぐらい大量の水を強制的に飲まされ魔物も一溜まりもない。


 結局その場に残ったのは、水場でもないのに水死体となって転がる魔物共。


 ニューハの行使した魔法の威力を目の当たりにした周囲の魔物達が、思わずその場から退くが、そこへ円形の刃物が通り過ぎ、残りの魔物たちのアレを跳ね飛ばしていった。


「中々立派なものを持っているのもいたようだけど――魔物には容赦しないわ」


 キラリと瞳を光らせモーホが言った。

 その戦いぶりを遠巻きに見ていた他の冒険者達は、一斉に股間を押さえたという。


(左翼も問題なさそうですね。後は後方ですが――)


「――支援術式【バトルフォース】!」


 チラリと後ろの様子を見やるナガレであったが、そこで翠髪の少女が魔法を行使し、周囲の冒険者達の戦闘力を向上させた。


 マッシュルームカットな髪型で、前髪は目が隠れるぐらいまで下ろしてる小柄な少女だ。

 ローブ姿に杖と、基本に忠実な魔術師スタイルで、攻撃魔法よりはサポート向きな魔法が得意なようである。


 彼女の扱う支援術式は強化術式や付与術式の両方を兼ね備えたような力を持ち、効果範囲も広く同時に多くの仲間を補助できるのが特徴だ。

 

 また仲間の能力を底上げするだけではなく、敵対する相手の能力をダウンするような魔法も利用できる。


 実際彼女は仲間を強化支援した後は、魔物に向けて防御力を弱める魔法を使用し、他の冒険者の戦闘を補佐していた。


 後方は鋼の狼牙団とフレム、カイル、ピーチ、そして聖なる男姫の三人を除いたメンバーが担当し、魔物の群れと戦いを演じている。

 

 これはナガレが上手く誘導してそういう形に持って行った。

 Aランクの集まる鋼の狼牙団や聖なる男姫、ピーチやフレム、カイル、ローザを主力メンバーとすると、どうしても残りの冒険者は実力的には劣ってしまう。


 その為、ナガレはその分を数で補う形を取り、後方に残りの冒険者を集中させた。

 そこへ、支援術式の扱える少女も加わり、おかげで魔物の群れを相手にしても十分戦えている。


 ただ、それでもやはり怪我するものは出てきてしまう。が、それに関しても問題ない。

 ローザと、聖なる乙姫の回復要員ダンショクがある程度自由に動き回り、負傷者の回復に務めているからだ。


「ロ、ローザちゃん。怪我したから回復を――」

「あら、大変! だったら私にお任せよん」

「え? あ、いや、俺たちローザちゃんに――」

「メルルン・クルルン・パラリンチョ・ラブリン・セクシー・キューティクル――」


 しかし、そんな彼らの訴えに聞く耳持たず、独特な詠唱を紡ぎながら、ダンショクはフリルのスカートを靡かせ、サービスといわんばかりのパンチラ全開でくるくる回り。

 そして、性、もとい聖魔法を唱え彼らの怪我を癒やしていった。


 ただ、怪我は治ったにも拘らず、彼らの顔色はすぐれなかった。

 中には吐き気を催し、余計なものを吐き出してしまっている物もいる。


「うふっ、男の回復は私にお任せよ! ローザちゃんは女性を任せたわん」


 は、はぁ……と、言いつつローザの治療は主に女性冒険者に向け行われていった。


 何はともあれ、彼らの活躍によって冒険者達は誰一人欠ける事なく、休憩所の魔物を一掃する事ができたのであった。


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