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レベル0で最強の合気道家、いざ、異世界へ参る!  作者: 空地 大乃
第四章 ナガレ激闘編

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第八十五話 鉱山での緊急依頼

おまたせ致しました更新再開ですm(__)m

「皆さんお集まりのようですね」


 職員からの話を聞き、ある程度情報が確認出来た頃、二階よりギルド長であるハイル・ミシュバーンが下りて来て、改めて今回の件についての説明がなされた。


 ここハンマの街より馬車で一日程の距離にあるアロンの街は、アロン鉱山で働く鉱夫の為に作られた宿場が大きくなり出来たものだ。

 元々はハンマの街を見下ろせる丘の上に居を置く、レイオン伯家の管轄領であったが、当時の鉱山長マーインの働きぶりを認めた先代が推薦し彼が授爵されたことで、現在はマーイン男爵が治め管理している。


 そういった背景からアロン鉱山で採掘された鉱石などは、その多くがハンマの街に流れてくる。

 

――わけだが、そのアロン鉱山より突如魔物が溢れ出てきてしまい、当然鉱夫も仕事どころではなく、現状は鉱山も緊急封鎖せざるを得ないといった状況らしい。

 勿論封鎖といっても一時凌ぎのようなものであり、そのまま放っておけば魔物にいつ破られるかも判らない程度のものだ。

 大事な仕事場が魔物に占拠され、町の住人もいつ魔物が襲ってくるかと不安な状況に置かれているという。


「そういうわけでとにかく今は、少しでも多くの冒険者の助けが必要となる緊急事態だ。Dランク以外であればこの依頼に出来るだけ参加して欲しい」


「でもよ。確かアロンの町にだって出張所はあったし、少数でも常駐している冒険者はいただろ? そいつらはどうしたんだ?」


 冒険者ギルドは基本ある程度大きな街であればほぼ間違いなく設置されているものだが、規模の小さな町の場合、周辺のメインとなるギルドからの出向という形で準備される。

 

 そしてアロンの町には、ここハンマのギルドからの出張所が一つ設置されていたようなのだが。


「勿論出張所にいた冒険者は鉱夫を助けるために一生懸命動いてくれたようです。しかし彼らからの報告で、出張所だけでは対処しきれないとあったのですよ。何せ彼らが確認しただけでも変異種が二体。更にオーガやラットマン、シャドーウィドウにレッドツインスネークといった魔物が少なくとも一〇〇以上はいるというのですから」


 ハイルの説明にギルド内が喧騒に包まれた。ナガレ達は職員から変異種の存在も聞いていたが、集められた冒険者はまだそこまで詳しい話は聞かされていなかったようである。


 何せギルドに情報が上がってきたのもついさっきといったところなようで、錯綜する話を纏めるだけでも一苦労といった様相だ。


「とにかくそういった状況なので特に出来ればBランク以上の冒険者の皆さんは必ず参加ぐらいの気持ちでいてもらえると助かります。鉱山に向かうメンバーだけでなく、いざとなった時に街を守るメンバーも必要となりますので――」


 こうしてある程度ギルド長からの話も終わり、とにかく準備ができ次第改めてギルドに戻ってきて欲しいという形で一旦ギルド長もその場を離れた。

 領主への報告など色々やることが残っているようだ。それに冒険者の脚となる馬車も手配しなければいけない。


「先生! 何か大変な事になってるようですね!」

「ふむ、確かにそうですが――フレムはどこか嬉しそうですね」


 ナガレが赤髪の彼の表情を見ながらそう告げる。

 確かにフレムは何かを期待しているような目と、そして全体的にどことなくムズムズしている様子だ。


「いや! 違うんですよ先生! 勿論鉱山の事はとんでもないことです! 早く何とかしないととも思います! でも……魔物の大群相手に先生から教わった技術を振るえると思うと、どうしてもこう、カー! っと熱くなってしまうんですよね」


 仕方のない人ですね、といった目でフレムをみやるナガレだが、それについて責める気にはなれない。

 やはりナガレも武闘の道をゆく者として彼の気持ちも理解できるのである。


「ふふっ、その考え方、私嫌いじゃないわ」


 すると、そんなフレムのクビに回る細く逞しい腕。

 そして耳元でフッ、と息を吹きかけると、ゾワゾワゾワっ! とフレムの全身が粟立った。


「だ、誰だテメェ!」


 涙目になりながら振り向きざまに剣を抜くフレム。

 すると、あらん、と両手を上げ男が降参のポーズを取った。


「ごめんなさいね。可愛らしい男の子を見るとつい」


 そう言ってウィンクを決めたのは、蒼髪翠眼の見た目には長身のイケメン。

 しかし口調がオネェ系という男である。

 

「あらいやだ! カマオってばもう気に入った男に唾つけて! 油断もすきもありゃしないわ~」


 そして、カマオの名を呼びながら近づいてくる彼は、男にしては裏声のような声が耳に残る。

 そしてそんな彼を見た一行の目が即座に動揺に揺れた。

 何せこの男、丸々とした顔に金髪の縦ロール、更にフリル付きのミニスカート系ローブと杖といった出で立ちである。

 可愛らしい美少女ならまだしも、いい年のおっさんがこんな格好、ナガレのいた世界なら軽く職質を受けるレベルであろう。


「うふん、でも私はやっぱり、このケモミミの彼の方が、こ・の・み」

「え? え? ええぇええぇええぇえ!」


 そして彼はカイルに近づいたかと思えばギュッと抱きしめ、その膨よかなお腹にカイルの身がめり込んだ。

 とはいえ脂肪が多い為なのか、それが直接的ダメージに繋がる事はなさそうではある。

 精神的ダメージは計り知れないと思うが。


「ロ、ローザ助けて……」


 カイルが後ろに手を伸ばし助けを乞うが、瞬時にして距離をとったローザは、首を激しく左右に振った。


「ん? あらん、貴方ももしかして聖魔術師かしらん?」


「え? え? あ、あ、あ――」


 口をパクパクさせて何をどう応えていいかわからないといった様子のローザである。思考がこの状況を受け止めきれていない。


「全くカマオもダンショクも判ってないな」


 今度は長身痩躯でスキンヘッドといった男がナガレの隣に立つ。

 彼の特徴は額に赤い宝石のような物が埋め込まれている事か。

 そんな彼だが、他のメンバーとは違い、口調はそのまま男っぽいのだが。


「やはり男はここにいる彼のようなのが一番、あれ?」


 しかし、どさくさに紛れてナガレに腕を回そうとしてきた。勿論それはスッと躱すナガレであるが。


「え? あれ? ちょっと、ねぇちょっと! もう! いいじゃないちょっとぐらい!」


「……てか何なのよこいつら――」


 ナガレを捕まえようとやっきになる男を見ながらげんなりとした表情でピーチが言った。

 しかしナガレはともかく、フレムとカイルは他のふたりに随分と苦戦しているようでもある。

 尤も助けにいこうなどと微塵にも思わないピーチだが。


「ほらほら、モーホ、カマオ、ダンショク、三人ともいいかげんにしなさい。皆さん困っておられるでしょう」


 ふと、そこへ彼らを止めるように手を叩きながら現れるは背中まで達する亜麻髪が印象的な美しい冒険者。


「わおっ、おいらこんな美人さん目にしたの初めてかも……」

「くっ、た、確かに綺麗だけど、よ――」

「あわわ! な、何か凄く眩しいです!」


 その人物の登場でフレムとカイルは一旦解放されるも、今度はその美しさに目を奪われている様子。

 ローザも祈るようなポーズで目をキラキラさせている。


「き、綺麗……あ、あのお姉様も彼らの知り合いなのですか?」


 そして、その美しさに思わずピーチもどこかぽ~っとしながら問い掛けてしまう。

 すると、ニコリとやはり様になる優しい笑みを浮かべた後、その口を開き。


「えぇ、私も含めてここの皆は聖なる男姫のメンバーなの」


 その返事に、ふぁ~、とぽわんっとした顔を見せつつ声にし更に言葉を続けた。


「そうなんですか。聖なるお、お、と? 乙女?」

「男・姫、ですよピーチ。ゲイがリーダーを務めているパーティーですね」


 いつの間にかピーチに近づいていたナガレが、補足するように伝える。

 すると、ピーチが目をまん丸くさせ。


「ゲイってあの試験官やってくれたゲイ?」

「そうですね」

「それで、パーティー名が男姫で、え? てことは?」


 ニコリと微笑みを湛え、彼がその先を答える。


「ふふっ、私はニューハ・フーといいます。戸籍上は男だけど気持ちは女よ。宜しくね」


『え? えええぇえぇえええぇえええぇえええええぇええ!』


 ナガレを除いた四人の絶叫がギルド内に響き渡った――

というわけで随分前に名前が出たっきりでしたがここで彼のパーティー登場です。



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