表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/43

おまけ:ifの世界〜選択肢aを選んでいたら〜

リディアが最終選択で選択肢aを選んでいたら

初代リディアはどう思ったのか

【初代リディアの独白】


 あぁ……選択肢a(そっち)を選んでしまったのね。

 白く輝く光の中で、私は静かにその選択を見届けるしかなかった。

 崩壊。リセット。やり直し。そう……また一から。


 仕方ないわ。これも、あなたの選んだこと。あなたの選んだ世界。

 今回は、せっかく……せっかくトゥルーエンドに辿り着けたというのに。

 すべての心に寄り添い、光を灯してくれたというのに。


 でも、あなたは怖かったのね。

 本当に選び、選ばれることが。

 間違えることが。

 見えない未来を進むことが。

 だから、決められた物語のある世界に戻ろうとした。選択肢に導かれる安心の中へ。

 それを責めたりはしないわ。その気持ち……よく、わかるから。私も、同じ、だったから。


 思い出すわ。前回のリディアは……カイルのルートだったね。

 彼女は確かに彼を愛していた。けれど、戦争が起きてしまった。

 カイルの帰還を信じて待とうとした。でも……耐えきれなかったのよね。

 不安に飲まれ、孤独に震え、彼のいない日々に心が折れてしまった。

 そして去ってしまった。彼が必死に守ろうとした未来から。


 その前は……好感度を上げきれなかったリディアだった。

 あのときは、シナリオの強制力が働いた。攻略対象の心が動かないなら、ルールに従ってヒロインが選ばれる。

 そして……アイラが選ばれた。

 その瞬間、リディアは物語の外へと追放されたのよね。

 悪役令嬢として皆を苦しめた存在だと断罪され、彼女は幸せにはなれなかった。


 どれも苦しかった。痛かった。

 次はどんなリディアかしら。

 私は……アイラの中で、この深い意識の奥で、ずっと待っている。

 いつか、本当にこの世界を解き放ってくれるリディアが現れることを。

 私を、私たちを、この繰り返されるシナリオの檻から救い出してくれる人が現れることを。


 だから私にできるのは……待つことだけ。

 いくらでも、何度でも。

 ただ、少しだけ。

 ほんの少しだけ、この世界の真実の欠片を散らしておくの。

 気づいてもらえるように。


 たとえば、あの古びた絵本に。

 たとえば、劇場の台本に。

 たとえば、王家の図書室の奥深くに。

 たとえば、強い魔力を持つ者が見る夢の中に。


 そのどれかに、気づいてもらえたら……いつか。

 いつか、あなたは本当の選択をする。

 きっと、その日が来る。私が消えゆくその前に。

 私は信じてる。信じるしかないの。


 だから……待つわ。リディア。

 いくらでも。いつまでも。

 どれだけこの物語が繰り返されても。

 どれだけ私という意識が薄れていっても。


 あなたがこの檻を壊すその日まで。

読んでいただき、ありがとうございました。

もしよろしければ、評価、感想いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ