ある意味透明人間かもしれない
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「そこのカップル! 別の街に行くつもりなら、俺の背中に乗っていかないか? 護衛もしてもらえると助かるし、写真を撮らせてもらえたら、尚良いんだけど」
巨大な象の魔物は自身を乗り物として、運送の仕事をしてるみたいだ。プレイヤーじゃなくて、NPCだろうな。色んな荷物を別の街へ運ぶため、護衛が必要なのかも。野良魔物もそうだけど、プレイヤーにも狙われそうだな。
俺はシンリーの街を移動場所に選択して、すぐに到着。装備として、レイや草井さんも同行してる。シンリーの街は湖になってるけど、その周囲にはバザーは開催されていた。他には別の街へ移動するための様々な乗り物、魔物達がアピールしていた。その一体が巨大な象の魔物だ。
「写真……それは一体何に使うわけ? 運営の仲間なの?」
レイに運営を警戒するように、象に質問させた。そもそも、象がどうやって写真を取るんだ?
「運営? それが何かは知らないけど、こんなカップルが乗ったって、宣伝出来るだろ」
象の魔物は運営を知らないみたいだけど、その写真を交換道具とされたら運営に回るかもしれない。ここは止めさせよう。
「すまんが、同乗されてもらうが、護衛だけだ」
草井さんが渋い声で、象の魔物の提案の一部を却下した。次の街へ行くために、護衛するのはありだ。普通に移動するのは困難だろうし。
「護衛だけでも助かるから。屈むから、そこから背中に乗ってくれ。ん……乗るのは二人だよな? ゴーストでも重さを感じるからか?」
象の魔物は違和感を感じながらも、レイと草井さんを背中に乗せた。今までの流れで分かると思うけど、象の魔物……だけじゃなく、周囲に俺の姿は見えていない。透明人間に転生したわけじゃないぞ。謎の鎧の中に頭蓋骨を引っ込めただけ。レイにしか謎の鎧は見えないんだから、プレイヤー達には俺の姿は見えないわけだ。
ただ、『謎の鎧』の中に頭蓋骨を隠すから、視界は鎧の首部分のところからしか見えない。それとバットの翼骨で羽ばたけないから、移動するためには、唯一見えているレイに運んで貰うしかない。象が違和感を感じたのも、『謎の鎧』は重さを感じなくても、頭蓋骨の部分はそうではないって事。




